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25 今俺達のすべきこと
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外から魔力と一緒に声が注ご込まれた。
一度戻って!
俺はその声に従う。これは速攻治せるもんじゃない、かなり時間が必要だと思う。戻って対策を取ってからにしよう。俺はホルランド様の中から出て、シャトルリアの体に戻る。
「目覚められました!」
「当たり前です、そういう治療をするのですから大声を出さないでください」
宰相さんがいてくれて良かった。糸クズの俺が抜けると、シャトルリアの体も死んだようになっちゃうからね。宰相さんが適切に対応してくれていたんだ。
そして俺に声をかける。そうだ、皆知りたいもんな。
「どうでした?」
「どこもここもボロボロだけど、分かりました。頭の中にでっかい瘤があります。そのせいで酷い頭痛が起き、性格がおかしくなったようです」
「も、もう原因を突き止めたのですか!?」
俺はお城の医師に聞き返されたけれど、頷くしかない。
「殿下が……ホルランド様が私に冷たくなったその辺りからきっと瘤が出来始めたんでしょう。頭の中にそういうものが出来始めると性格すら変わってしまうそうなので……私がもっと疑問を持って、ホルランド様に診療を勧めていればこんなことにならなかったはず」
「いいえ、シャトルリア様のせいではございません! 我々医師団がついていながら、まったく気づかずにいたのが……」
俺達はそこで黙ってしまった。何を言ってももう遅い。殿下はこんなに衰弱してしまったんだから……。もう俺が悪いとか医師団が悪いとか責任を取りあったって何にもならない。今俺達がすべきことは過去何があったかを細かく分析することじゃない。
「……殺しません、絶対治して……元のホルランド様に戻って貰います」
「何とお力強い……我々も微力ながら全力を尽くします!」
全員で頷きあい、俺達の戦いが始まった。体にたまった薬を追い出すために、なるべく水分を摂らせる。俺が探ってる間に魔力の補給と色々をやってもらう……なるべくホルランド様に物を食べさせる。皆、必死で頑張ってくれた。シャトルリアが赤ちゃんだった頃、お腹の上から祈りと共に生命力まで注いだ人がいた。そう、自分の命を削っても助けたいという強い願いを持っていたんだ。殿下にもそういう人がたくさんいる……調子が悪くなってからホルランド様はとんでもないこともしたけれど、それまでは本当に素晴らしい王太子だったんだ。
「シャト……」
「いますよ」
「シャトが私を励ますんだ……死なないでって」
「そりゃ励ましてますからね」
「もっと、もっと近くで……なんだか頭の中からいつも聞こえるんだ」
そりゃ毎日頭の中にお邪魔してるからね。侍女ちゃんが俺に柔らかく煮たパン粥を渡してくる。俺はそれを小さな木の匙で掬ってホルランド様の口元に運んだ。最初は唇を濡らされるのも嫌がったけれど、ちょっと叱ると渋々うっすらと口を開く。俺達がまだ子供だった頃におんなじ事をしてたんだ。風邪をひいて喉が痛くて食べ物を受け付けなくなったホルランド様の口に俺が無理矢理スプーンを突っ込む。あの頃より優しく看病できるようになっているしね。
「きっと殿下の頭の中に小っちゃい私が住み着いているんですよ」
「はは……可愛いなぁ。私の頭の中にいるなら……どこにもいかないでずっといてくれるかな」
「どうでしょうね」
ゆっくりほんの少しだけ食事をさせ、他愛もない話もたくさんする。手を握ったり顔を触ったり。殿下の目の濁りはまだ取れないけれど、自分で手を動かして俺を探したりしているから良い方向へ向かっていると思う。その手を握ってここにいるよと教えてやる。熱でフラフラした時も同じことをしたね。
「シャト……どこ?」
「いますよ、そばに」
「良かった……でもどうして……私は、シャトを傷つけた」
「……パンケーキが焼き上がらないんです。料理長がまだ持って来てくれません」
「そうか……きっと何枚も重ねてくれているんだろうね……」
夢うつつのホルランド様はきっと時間の感覚も日にちの感覚も曖昧だ。だから俺がもう10日以上傍にいても全然分かっていないし、子供の頃の記憶と最近の記憶がごちゃ混ぜになっている……それで良いと思う。
何日もかけて俺はホルランド様の頭の中に入って瘤を隔離する作業を繰り返している。頭の中の瘤は大きすぎてちっちゃな糸くずの俺ではなかなか対処できない。でもちょっとずつ血管から瘤に繋がる部分を縫縮めながら隔離していて、あと少しで何とかなる。隔離さえ終わっちゃえば破裂するとかそういうヤバイ状況にはならないから一安心だろう。それが終わってもやることが山盛りだけど……やめた薬の禁断症状が激しくなりそうだ。
ちょっと先の見えない状態に俺達は疲れてきている。
一度戻って!
俺はその声に従う。これは速攻治せるもんじゃない、かなり時間が必要だと思う。戻って対策を取ってからにしよう。俺はホルランド様の中から出て、シャトルリアの体に戻る。
「目覚められました!」
「当たり前です、そういう治療をするのですから大声を出さないでください」
宰相さんがいてくれて良かった。糸クズの俺が抜けると、シャトルリアの体も死んだようになっちゃうからね。宰相さんが適切に対応してくれていたんだ。
そして俺に声をかける。そうだ、皆知りたいもんな。
「どうでした?」
「どこもここもボロボロだけど、分かりました。頭の中にでっかい瘤があります。そのせいで酷い頭痛が起き、性格がおかしくなったようです」
「も、もう原因を突き止めたのですか!?」
俺はお城の医師に聞き返されたけれど、頷くしかない。
「殿下が……ホルランド様が私に冷たくなったその辺りからきっと瘤が出来始めたんでしょう。頭の中にそういうものが出来始めると性格すら変わってしまうそうなので……私がもっと疑問を持って、ホルランド様に診療を勧めていればこんなことにならなかったはず」
「いいえ、シャトルリア様のせいではございません! 我々医師団がついていながら、まったく気づかずにいたのが……」
俺達はそこで黙ってしまった。何を言ってももう遅い。殿下はこんなに衰弱してしまったんだから……。もう俺が悪いとか医師団が悪いとか責任を取りあったって何にもならない。今俺達がすべきことは過去何があったかを細かく分析することじゃない。
「……殺しません、絶対治して……元のホルランド様に戻って貰います」
「何とお力強い……我々も微力ながら全力を尽くします!」
全員で頷きあい、俺達の戦いが始まった。体にたまった薬を追い出すために、なるべく水分を摂らせる。俺が探ってる間に魔力の補給と色々をやってもらう……なるべくホルランド様に物を食べさせる。皆、必死で頑張ってくれた。シャトルリアが赤ちゃんだった頃、お腹の上から祈りと共に生命力まで注いだ人がいた。そう、自分の命を削っても助けたいという強い願いを持っていたんだ。殿下にもそういう人がたくさんいる……調子が悪くなってからホルランド様はとんでもないこともしたけれど、それまでは本当に素晴らしい王太子だったんだ。
「シャト……」
「いますよ」
「シャトが私を励ますんだ……死なないでって」
「そりゃ励ましてますからね」
「もっと、もっと近くで……なんだか頭の中からいつも聞こえるんだ」
そりゃ毎日頭の中にお邪魔してるからね。侍女ちゃんが俺に柔らかく煮たパン粥を渡してくる。俺はそれを小さな木の匙で掬ってホルランド様の口元に運んだ。最初は唇を濡らされるのも嫌がったけれど、ちょっと叱ると渋々うっすらと口を開く。俺達がまだ子供だった頃におんなじ事をしてたんだ。風邪をひいて喉が痛くて食べ物を受け付けなくなったホルランド様の口に俺が無理矢理スプーンを突っ込む。あの頃より優しく看病できるようになっているしね。
「きっと殿下の頭の中に小っちゃい私が住み着いているんですよ」
「はは……可愛いなぁ。私の頭の中にいるなら……どこにもいかないでずっといてくれるかな」
「どうでしょうね」
ゆっくりほんの少しだけ食事をさせ、他愛もない話もたくさんする。手を握ったり顔を触ったり。殿下の目の濁りはまだ取れないけれど、自分で手を動かして俺を探したりしているから良い方向へ向かっていると思う。その手を握ってここにいるよと教えてやる。熱でフラフラした時も同じことをしたね。
「シャト……どこ?」
「いますよ、そばに」
「良かった……でもどうして……私は、シャトを傷つけた」
「……パンケーキが焼き上がらないんです。料理長がまだ持って来てくれません」
「そうか……きっと何枚も重ねてくれているんだろうね……」
夢うつつのホルランド様はきっと時間の感覚も日にちの感覚も曖昧だ。だから俺がもう10日以上傍にいても全然分かっていないし、子供の頃の記憶と最近の記憶がごちゃ混ぜになっている……それで良いと思う。
何日もかけて俺はホルランド様の頭の中に入って瘤を隔離する作業を繰り返している。頭の中の瘤は大きすぎてちっちゃな糸くずの俺ではなかなか対処できない。でもちょっとずつ血管から瘤に繋がる部分を縫縮めながら隔離していて、あと少しで何とかなる。隔離さえ終わっちゃえば破裂するとかそういうヤバイ状況にはならないから一安心だろう。それが終わってもやることが山盛りだけど……やめた薬の禁断症状が激しくなりそうだ。
ちょっと先の見えない状態に俺達は疲れてきている。
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―――
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