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5 王子様は僕を愛してくれました!
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「カイー!どこだー!」
「いますってば」
僕はあれから、猫の姿と人の姿、どちらでも生活するようになった。ご飯も美味しい物を沢山もらえるし、キルリス様ははいっぱい遊んでくれるしで、痩せっぽっちだった体もしっかりしてきた。
茶色で艶のなかった髪も真っ黒で艶々になったし、目の色も金色に変わって来た。
「栄養失調ですね!いろんな物を食べましょうね」
って言われた。そしてマナーとかあんまり気にしなくて良いよ、と言われるとストレスも無くなった。
「お昼寝して下さい!」
お昼寝を強要されたりしてびっくりした。ジーク様の所ではその時間はずっと勉強だったし……。
「猫の性質を持つものにやらせる事ではありませんね!」
「夜の散歩も大丈夫ですが、衛兵に声をかけてから行ってくださいね。王子が大騒ぎしますから……」
「はい」
一度月夜が綺麗でふらりと外に出たら
「カイが!カイがいないーーー!誘拐かああああ!犯人は八つ裂きにしてくれるうううう!」
と、キルリス王子の叫び声が聞こえてきて、城中が大騒ぎになっていて、慌てて戻った事があった。
「私に内緒で行かないでくれ!」
しっかり抱き抱えられて泣きそうになりながら言われたので、お散歩に行く時は必ず言うようにしている。
何せ夜はいつも一緒のベッドで寝てるし……僕は大体黒猫の姿で居るけどね。
「カイがいてくれるお陰で今年は疫病が我が国を避けて行ったぞ!」
「にゃ?どういう事ですか?王様」
そこはお父様で!とよく分からないことを言われたが、宰相さんが猫じゃらしを振りながら教えてくれた。
「古来よりケットシーは幸運を招く猫妖精ですからねぇ。国にいるだけで幸運が舞い込んできますよ」
あっ!あっ!やめて下さい、やめて下さい!お話が何にも頭に入って来ません!僕の目は右に左に揺れる猫じゃらしに釘付けなんです!
「あんなに強い呪でカイ様を縛り付けておいて、その幸運を享受していたのに……人とは忘れるものです。ずいぶん昔の方がやっと施した呪でしたが、自らの手で捨て去ったんですから」
「にゃふっ!」
捕まえたーー!あれ?何か言いました??僕、聞いてなかったです!
「お見事ですよ、カイ様。小魚のカリカリを差し上げましょう」
あっ!僕の好きなおやつだー!わーい!
「くっ!宰相め!姑息な手を使いおって!」
王様がギリギリ歯軋りをしてるけど、どうしたんだろう?カリカリ小魚は美味しいけど沢山食べるとご飯が食べられないから気をつけてって言われてるんだ。
ここでのご飯は皆で食べるからとっても美味しいし、僕用に熱くないスープも用意してくれる。嬉しいなぁ。
「農業も漁業も順調ですし、鉱山の発掘の方も順調だと聞いています。レア鉱脈を掘り当てる日も近そうです」
お城の人は皆ニコニコしてるし、僕は昔みたいにお城から出られない訳じゃない。昔から僕の中に響いていた声は僕を閉じ込めていた呪いの声だったと聞いてびっくりした。
「今、カイ様にかかっている呪いはキルリス王子との婚約だけです。破棄しようとすれば出来ますが……」
宰相さんに説明を受けていたら、柱の影からキルリス様が涙目でじーっと見ていた。
「まさか、まさか……私を捨てないですよね……カイ」
「え?僕から特に破棄しようとは思ってませんが……」
「良かったぁああ!!」
泣きながら走って来てまた僕に抱きつくので、なんだか可愛く思えてしまう。
「ごめんね、お国の為とはいえ、僕みたいな男……猫?と婚約なんて、嫌でしょう?」
キルリス様はその綺麗な青い瞳をパチクリさせて、なんで?と首を傾げた。
「カイみたいに人間姿でも可愛らしく、しかも猫姿でも美しい人と結婚出来るなんて最高に幸せなのに。何か嫌な事があるのか?私はしつこすぎるか?駄目か?!駄目ならなんとか直すから!」
「だ、駄目とかじゃないですけど……」
どうもジーク様に婚約破棄を叫ばれた時は、あんまりにも上手く行くし、折角先祖が苦労してケットシーである僕を縛る強烈な呪を作り上げたのに、子孫である王子や王が自分の手でボロボロ壊していくのが面白くて面白くて、吹き出しそうになるのを堪えるのに必死だったらしい。
「ものすごく素晴らしい呪でした。私達が100人集まっても解けない、ほぼ永遠にカイ様を括り付けて置けるくらいの。カイ様自身、自らがケットシーだということもお気づきではなかったし、ましてや縛られている事も感じさせぬくらい完璧な物でした」
あの時同行した魔術師達は思い出して耐えきれなくなったのか、ぶはっ!と吹き出した。
「そ、その!完璧な呪をあんなに!あんなに簡単に!!ぶ、ぶふふ!と、解いて壊して……あーー!思い出しただけでも笑える!」
「わかります、分かります!!どんなすごい呪いでもあれはない!」
「無造作に指輪を持って来た時、もう鼻から鼻水が噴き出るかと思いましたよ!か、要をあんなに、あんなに!しかもうちの王子に渡すって!」
あーひゃひゃ!と腹を抱えて転がりだす魔術師さん達。た、楽しそうだけど……。
「ま、まあ……あれは笑ったな。あの呪をそのままジーク殿から私に書き換えれたのも笑ったがなぁ。血の縛りが付いてなかったのが幸いだった」
「あれであの完璧な呪をうちのものに出来たんですから、解析も進んで魔術師達も大喜びですよ」
「全くです」
そ、そんな事があったんだぁ。僕は気がつくとキルリス様の膝の上に乗せられていて、顎の下を撫でられていた。クルクルと喉が鳴るのが止められないやーえへへ。
「いますってば」
僕はあれから、猫の姿と人の姿、どちらでも生活するようになった。ご飯も美味しい物を沢山もらえるし、キルリス様ははいっぱい遊んでくれるしで、痩せっぽっちだった体もしっかりしてきた。
茶色で艶のなかった髪も真っ黒で艶々になったし、目の色も金色に変わって来た。
「栄養失調ですね!いろんな物を食べましょうね」
って言われた。そしてマナーとかあんまり気にしなくて良いよ、と言われるとストレスも無くなった。
「お昼寝して下さい!」
お昼寝を強要されたりしてびっくりした。ジーク様の所ではその時間はずっと勉強だったし……。
「猫の性質を持つものにやらせる事ではありませんね!」
「夜の散歩も大丈夫ですが、衛兵に声をかけてから行ってくださいね。王子が大騒ぎしますから……」
「はい」
一度月夜が綺麗でふらりと外に出たら
「カイが!カイがいないーーー!誘拐かああああ!犯人は八つ裂きにしてくれるうううう!」
と、キルリス王子の叫び声が聞こえてきて、城中が大騒ぎになっていて、慌てて戻った事があった。
「私に内緒で行かないでくれ!」
しっかり抱き抱えられて泣きそうになりながら言われたので、お散歩に行く時は必ず言うようにしている。
何せ夜はいつも一緒のベッドで寝てるし……僕は大体黒猫の姿で居るけどね。
「カイがいてくれるお陰で今年は疫病が我が国を避けて行ったぞ!」
「にゃ?どういう事ですか?王様」
そこはお父様で!とよく分からないことを言われたが、宰相さんが猫じゃらしを振りながら教えてくれた。
「古来よりケットシーは幸運を招く猫妖精ですからねぇ。国にいるだけで幸運が舞い込んできますよ」
あっ!あっ!やめて下さい、やめて下さい!お話が何にも頭に入って来ません!僕の目は右に左に揺れる猫じゃらしに釘付けなんです!
「あんなに強い呪でカイ様を縛り付けておいて、その幸運を享受していたのに……人とは忘れるものです。ずいぶん昔の方がやっと施した呪でしたが、自らの手で捨て去ったんですから」
「にゃふっ!」
捕まえたーー!あれ?何か言いました??僕、聞いてなかったです!
「お見事ですよ、カイ様。小魚のカリカリを差し上げましょう」
あっ!僕の好きなおやつだー!わーい!
「くっ!宰相め!姑息な手を使いおって!」
王様がギリギリ歯軋りをしてるけど、どうしたんだろう?カリカリ小魚は美味しいけど沢山食べるとご飯が食べられないから気をつけてって言われてるんだ。
ここでのご飯は皆で食べるからとっても美味しいし、僕用に熱くないスープも用意してくれる。嬉しいなぁ。
「農業も漁業も順調ですし、鉱山の発掘の方も順調だと聞いています。レア鉱脈を掘り当てる日も近そうです」
お城の人は皆ニコニコしてるし、僕は昔みたいにお城から出られない訳じゃない。昔から僕の中に響いていた声は僕を閉じ込めていた呪いの声だったと聞いてびっくりした。
「今、カイ様にかかっている呪いはキルリス王子との婚約だけです。破棄しようとすれば出来ますが……」
宰相さんに説明を受けていたら、柱の影からキルリス様が涙目でじーっと見ていた。
「まさか、まさか……私を捨てないですよね……カイ」
「え?僕から特に破棄しようとは思ってませんが……」
「良かったぁああ!!」
泣きながら走って来てまた僕に抱きつくので、なんだか可愛く思えてしまう。
「ごめんね、お国の為とはいえ、僕みたいな男……猫?と婚約なんて、嫌でしょう?」
キルリス様はその綺麗な青い瞳をパチクリさせて、なんで?と首を傾げた。
「カイみたいに人間姿でも可愛らしく、しかも猫姿でも美しい人と結婚出来るなんて最高に幸せなのに。何か嫌な事があるのか?私はしつこすぎるか?駄目か?!駄目ならなんとか直すから!」
「だ、駄目とかじゃないですけど……」
どうもジーク様に婚約破棄を叫ばれた時は、あんまりにも上手く行くし、折角先祖が苦労してケットシーである僕を縛る強烈な呪を作り上げたのに、子孫である王子や王が自分の手でボロボロ壊していくのが面白くて面白くて、吹き出しそうになるのを堪えるのに必死だったらしい。
「ものすごく素晴らしい呪でした。私達が100人集まっても解けない、ほぼ永遠にカイ様を括り付けて置けるくらいの。カイ様自身、自らがケットシーだということもお気づきではなかったし、ましてや縛られている事も感じさせぬくらい完璧な物でした」
あの時同行した魔術師達は思い出して耐えきれなくなったのか、ぶはっ!と吹き出した。
「そ、その!完璧な呪をあんなに!あんなに簡単に!!ぶ、ぶふふ!と、解いて壊して……あーー!思い出しただけでも笑える!」
「わかります、分かります!!どんなすごい呪いでもあれはない!」
「無造作に指輪を持って来た時、もう鼻から鼻水が噴き出るかと思いましたよ!か、要をあんなに、あんなに!しかもうちの王子に渡すって!」
あーひゃひゃ!と腹を抱えて転がりだす魔術師さん達。た、楽しそうだけど……。
「ま、まあ……あれは笑ったな。あの呪をそのままジーク殿から私に書き換えれたのも笑ったがなぁ。血の縛りが付いてなかったのが幸いだった」
「あれであの完璧な呪をうちのものに出来たんですから、解析も進んで魔術師達も大喜びですよ」
「全くです」
そ、そんな事があったんだぁ。僕は気がつくとキルリス様の膝の上に乗せられていて、顎の下を撫でられていた。クルクルと喉が鳴るのが止められないやーえへへ。
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