【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?

鏑木 うりこ

文字の大きさ
6 / 33

6 ちょうど良く婚約破棄された娘がいました

しおりを挟む
「それにお前のような無知で、マナーも最悪な者が民の上に立てるわけがないだろう。国の沽券にも関わる。っと、この国はそんなのでも良かったんだっけなぁ」

 そして見たこともない鋭い目をして

「帝国じゃ、あり得ない話だ」

 取り付く島もなくバッサリと切り捨てた。呆然とする3人をおいて、馬車は走り出します。

「あ、あの、シュー……?」

「ふふ、帝国まではまだまだ遠いからね。ゆっくり説明しよう」

「……お願いします」

 もうなるようにしかならない。私はラング家から完全に切り離されたし、頼れる人はこの目の前の怪しいシューだけだ。腹を括るしかないわ。

 揺れの少ない最新式の馬車の中で、シューは一つずつ丁寧に私に説明をしてくれました。

「皆が呼ぶように、俺の名前はシューレウス・グスタフ・マラガラム。マラガラム帝国の第二皇子で間違いない。そして今一番次期皇帝に近い皇子だ」

 私はとにかく驚いた。だって第一皇子はどうしたと言うのでしょう?!

「あ、あのシューレウス様。確かファルク第一皇子がいらっしゃいましたよね……失礼ながら……」

「ああ、あの馬鹿はやらかしたんだ。聞きたいか?」

 ニヤリ、と唇を吊り上げて意地悪く笑う。庭師の時にそんな顔はした事なかったですよね??

「俺はそうでもないんだが、第一皇子のファルクと第三皇子のデリアスは仲が悪くてね」

 第一皇子のファルク様と第三皇子のデリアス様は共に正妃様のお子様で一つ違いなのだそうです。二人とも王の椅子を争って対立していたそうなのです。

「俺は正妃様のメイドだった女の子供だからな。現皇帝に襲われて俺を身篭り、側室にあげられた。出自が低いから、無視されてた。」

「えっ……」

 突然の内容に私はなんと言えば良いか分からなくなる。そんな事って……。

「俺の母と正妃様は仲が良い。今でもな。まあその辺は安心しろ。だが、同じ正妃様の子供達は事あるごとに諍いを起こしてな。第三皇子の仕掛けた罠に第一皇子が嵌り、失脚したんだよ」

「まぁ……」

 また悪い顔。

「自分に付けてもらっていた公爵令嬢を断罪、婚約破棄の上、子爵令嬢を婚約者に据えた。その途端に子爵令嬢は行方をくらませるって言うな?どこかで聞いた話に似ていて笑えるだろう?」

 ちくりと胸の奥が痛みました。これでも長年アレクシス殿下をお支えしてきたつもりなのですけれど。
 私が顔を曇らせたので、「すまん」と謝ってくれました。

「いいんです。もう、終わった事なのですから……吹っ切れない私が女々しいだけですわ」

「いや、悪かった。君の十数年の努力を笑う方がおかしいんだった」

 こんなに真摯に謝って貰ったのは初めてなので、私は戸惑ってしまいました。シューは誠実な人です、庭師の時も私を貶めたりしなかった。
 それだけで信用出来る人だと思ったのです。

「で、第一皇子が失脚。それを仕掛けた第三皇子も家臣の信用を失ってね。俺に白羽の矢が当たったのさ。何せ皇子は俺の他に残ってなかったからね」

「なるほど……」

「で、俺は母親がメイドだからってのもあって婚約者を設けてなかった。派閥争いもあったしね。そしたら国内に令嬢が一人もいねーの!あははは!」

「あら、まぁ……」

 確かに小さな頃から、婚約者を決めますわね。いくら王太子候補とはいえ、長年連れ添った婚約者を差し出すなんて人聞きも悪いですし。

「俺も断ったよ、嫌だよ!そんなの。そんな時リリアス公爵がユーティアの事を教えてくれてね。どうも不遇な目に合っているらしいと。ならちょうど良いかなーって」

「ちょうど良く、婚約破棄された私がいた訳ですね……」

 なるほど、ちょうど良いですわね……。

「俺は皇帝になんかなりたくないけど、そうも言っていられない。今、分裂すれば帝国が割れ、戦争が起こり得るからな」

「戦争は……嫌ですね」

「ああ」

 争いは無いに越したことはありませんものね。私でも無用な争いは起こって欲しくないと思います。

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。

138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」  お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。  賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。  誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。  そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。  諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~

村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。 だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。 私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。 ……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。 しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。 えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた? いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?

永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~

畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。

妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。 それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。 リオーラは、姉である私のことを侮っていた。 彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。 ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。 そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。

お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア 姉の婚約者は第三王子 お茶会をすると一緒に来てと言われる アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる ある日姉が父に言った。 アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね? バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た

従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです

hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。 ルイーズは伯爵家。 「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」 と言われてしまう。 その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。 そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。

初恋を諦めたあなたが、幸せでありますように

ぽんちゃん
恋愛
『あなたのヒーローをお返しします。末永くお幸せに』  運命の日。  ルキナは婚約者候補のロミオに、早く帰ってきてほしいとお願いしていた。 (私がどんなに足掻いても、この先の未来はわかってる。でも……)  今頃、ロミオは思い出の小屋で、初恋の人と偶然の再会を果たしているだろう。  ロミオが夕刻までに帰ってくれば、サプライズでルキナとの婚約発表をする。  もし帰ってこなければ、ある程度のお金と文を渡し、お別れするつもりだ。  そしてルキナは、両親が決めた相手と婚姻することになる。  ただ、ルキナとロミオは、友人以上、恋人未満のような関係。  ルキナは、ロミオの言葉を信じて帰りを待っていた。  でも、帰ってきたのは護衛のみ。  その後に知らされたのは、ロミオは初恋の相手であるブリトニーと、一夜を共にしたという報告だった――。 《登場人物》  ☆ルキナ(16) 公爵令嬢。  ☆ジークレイン(24) ルキナの兄。  ☆ロミオ(18) 男爵子息、公爵家で保護中。  ★ブリトニー(18) パン屋の娘。

処理中です...