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13 何一つないわよね?
「まず、その娘をどこかへやれ!不快だ!!」
第二王子イセルバードは汚いものを見る目でミーアを突き放す。
「なっ!何よ、何よ!私はアレクシス様の婚約者になったのよ!王太子の婚約者なのよ!いくらイセルバード様とはいえ、私をそんな風に扱っていいの!?皆、ユーティア、ユーティア!あんな地味な女より私の方が何倍も可愛いわ!あんな女いなくなって清々したわ!」
「黙れ、疫病神」
「娘、お前はアレクシス殿下の婚約者ではない。陛下はお認めにならないし、会議でも即却下された。それでもなおお前に執着したアレクシス殿下は王太子の座を降りられる。王太子はここにおられるイセルバード様だ」
さあっとミーアの顔は青ざめる。
「う、嘘。だってアレクシス様は、ミーアを婚約者にしてくださるっておっしゃったわ!」
「ああ、愚かな兄上はお前と言う質の悪い疫病神のせいで、大切なユーティア様にあのような辱めを与えただけではなく、愚かにも王太子の座を失ったよ。なんて馬鹿な兄上なんだ……もう少しまともな男だと思っていたのに。これも全てユーティア様があの兄を補佐なさっていたからだろうな……今までボロを出さずに王太子としてやって来れたのに」
部下たちに指示を出し終え、イセルバードは大きくため息を付いて椅子に座り込んだ。顔には疲労の色が濃い。これからの自国の行く末を考えただけで、頭が痛むとばかりに。
「え、嘘……嘘よね!?」
「娘、お前なんぞがどうして王太子妃になれるとおもったのだ?王太子妃という事は後の王妃だぞ。国の母たる女性に学園の勉強もできない、マナーも散々、勿論王太子妃教育もしていないそんなものがなれるとおもったのか?」
「ユ、ユーティアはなれるんでしょう!ならミーアだって出来るわ!」
宰相の目はいっそ哀れなものを見るようだった。
「ユーティア様は王子妃教育をほぼ終了し、王妃教育に入っておられた。学園では常に上位に位置し、マナーも完璧。そしてグラフの末の娘にして指輪を持つ者。何一つとしてお前がユーティア様に並べるものなどないではないか。何故自分も同じことが出来ると思ったのか、現実を見ろ。ここはお前の夢の中ではないのだぞ」
「え……だ、だってユーティアに出来てミーアに出来ない事なんて何一つ……ないわ……ないわよね……?」
1歳違いのユーティアとミーア。ユーティアの成績はいつも上位だった。ミーアの成績は常に下から数えた方が早い。ユーティアは学園からたくさんの賞状を貰って来た。羨ましくてミーアはそれを全部取り上げた。やっぱりユーティアの名前が入った賞状に価値はないから捨てたけど、自分の名前が入った賞状が欲しかったのに、ミーアは一つも貰えない。あの賞状は成績優秀者にのみ贈られるものだと知ったけれど、ミーアが自分の名前の入ったものを手に入れることは不可能だった。
「ない……はずよ」
蓋をしたはずの嫌な記憶が蘇りそうになって、ミーアは口を噤んだ。大丈夫、自分はユーティアに負けるわけがないのだと。
「ラングよ、お前は謹慎だ。沙汰があるまで外に出ることを禁止する」
宰相の声はとても厳しかった。
第二王子イセルバードは汚いものを見る目でミーアを突き放す。
「なっ!何よ、何よ!私はアレクシス様の婚約者になったのよ!王太子の婚約者なのよ!いくらイセルバード様とはいえ、私をそんな風に扱っていいの!?皆、ユーティア、ユーティア!あんな地味な女より私の方が何倍も可愛いわ!あんな女いなくなって清々したわ!」
「黙れ、疫病神」
「娘、お前はアレクシス殿下の婚約者ではない。陛下はお認めにならないし、会議でも即却下された。それでもなおお前に執着したアレクシス殿下は王太子の座を降りられる。王太子はここにおられるイセルバード様だ」
さあっとミーアの顔は青ざめる。
「う、嘘。だってアレクシス様は、ミーアを婚約者にしてくださるっておっしゃったわ!」
「ああ、愚かな兄上はお前と言う質の悪い疫病神のせいで、大切なユーティア様にあのような辱めを与えただけではなく、愚かにも王太子の座を失ったよ。なんて馬鹿な兄上なんだ……もう少しまともな男だと思っていたのに。これも全てユーティア様があの兄を補佐なさっていたからだろうな……今までボロを出さずに王太子としてやって来れたのに」
部下たちに指示を出し終え、イセルバードは大きくため息を付いて椅子に座り込んだ。顔には疲労の色が濃い。これからの自国の行く末を考えただけで、頭が痛むとばかりに。
「え、嘘……嘘よね!?」
「娘、お前なんぞがどうして王太子妃になれるとおもったのだ?王太子妃という事は後の王妃だぞ。国の母たる女性に学園の勉強もできない、マナーも散々、勿論王太子妃教育もしていないそんなものがなれるとおもったのか?」
「ユ、ユーティアはなれるんでしょう!ならミーアだって出来るわ!」
宰相の目はいっそ哀れなものを見るようだった。
「ユーティア様は王子妃教育をほぼ終了し、王妃教育に入っておられた。学園では常に上位に位置し、マナーも完璧。そしてグラフの末の娘にして指輪を持つ者。何一つとしてお前がユーティア様に並べるものなどないではないか。何故自分も同じことが出来ると思ったのか、現実を見ろ。ここはお前の夢の中ではないのだぞ」
「え……だ、だってユーティアに出来てミーアに出来ない事なんて何一つ……ないわ……ないわよね……?」
1歳違いのユーティアとミーア。ユーティアの成績はいつも上位だった。ミーアの成績は常に下から数えた方が早い。ユーティアは学園からたくさんの賞状を貰って来た。羨ましくてミーアはそれを全部取り上げた。やっぱりユーティアの名前が入った賞状に価値はないから捨てたけど、自分の名前が入った賞状が欲しかったのに、ミーアは一つも貰えない。あの賞状は成績優秀者にのみ贈られるものだと知ったけれど、ミーアが自分の名前の入ったものを手に入れることは不可能だった。
「ない……はずよ」
蓋をしたはずの嫌な記憶が蘇りそうになって、ミーアは口を噤んだ。大丈夫、自分はユーティアに負けるわけがないのだと。
「ラングよ、お前は謹慎だ。沙汰があるまで外に出ることを禁止する」
宰相の声はとても厳しかった。
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