【完結】婚約者も両親も家も全部妹に取られましたが、庭師がざまぁ致します。私はどうやら帝国の王妃になるようです?

鏑木 うりこ

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19 廃嫡

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「国の守りが消えたようです!」

 夜半に警備の魔導士たちから告げられた言葉に、皆頭を抱えた。


「アレクシスよ!よくよく考えなおせ!!ユーティア嬢は「グラフの末の娘」なのだ!その意味を王太子であるお前が理解していないはずがない!」

「しかし父上!私はミーアを愛してしまった!もうユーティアを偽りの心で愛せはしない!」

「……これほど言っても駄目か」

 あの時、あの会場ですぐさま王太子アレクシスを切って捨てられなかったのは肉親として、親としての情であった。本来なら、国の王として「グラフの末の娘」を庇い、アレクシスとミーアを罪人として裁かねばならないとこだった。それをしなかったのはひとえに息子が可愛かった……それだけだったのだが。

「私はユーティアと婚約破棄し、ミーアと新たに婚約を結びます!!」

 パーティも終わり、すぐさまアレクシスを説得にかかったが無駄だった。頑として譲らない王太子アレクシスに、王は諦めのため息をつくしかなかった。

「ならば致し方がない。イセルバード、おるな。すぐさまオルティア嬢との婚約を解消し、ユーティア嬢との婚約を結びなおせ」

「心得ました、父上」

 第二王子はそのとんでもない提案をすぐさま受け入れる。アレクシスはぎょっとして弟のイセルバードを見た。

「お前……いいのか?お前とオルティア嬢は仲の良い婚約者であっただろう……それなのに何故ユーティアなどと……」

「など、ではございませんよ、兄上。ユーティア様だからこそ、です。ユーティア様こそ「グラフの末の娘」。この国になくてはならない大切なお方。兄上こそ何故ユーティア様にあのような恥辱を与えなさるのか、私には理解できません」

「そ、それはユーティアが事あるごとにミーアに辛く当たり……学園でもミーアを虐める。あのような女が王太子妃など務まる訳がないからだ」

 弟のイセルバードは憐みを込めた目で兄を見る。多少頭は悪くても優しく、人の上のたっても何とかやって行けるだろうと思っていた兄が、ここまで愚かな男だったと思い知らされたからだ。これでは駄目だとイセルバードは深くため息をついた。

「逆でしょう……ミーア・ラングは姉のユーティア様をことあるごとに貶め、冤罪を着せ、大声で詰る。実際ユーティア様にミーアを虐めている暇なんてあるわけないのに。学園で優秀な成績を納め、勉学に励み、王子妃教育も熱心にこなす。一体いつミーアを虐める暇があるのですか。あとミーアを虐める意味が分かりませんしね」

「っ!?イセル、どうして……そんなことを知っているんだ?」

「有名な話だからですよ。ミーアは王太子アレクシス様にすり寄り、婚約者である姉のユーティア様を虐める。ミーアの素行の悪さは大体の学園の生徒、そしてその親なら知っておりますし。見ましたか?今日のドレスも酷いものです。派手でセンスもないあの親子。それに引き換えユーティア様の美しい事。ドレスは安物を押し付けられているようですが、けばけばしい奴らより輝いておいでだった。
 ……兄上も思うところがあって、ユーティア様にドレスを贈らず、ミーアの好きにさせていた……と、皆思っておりましたが……そうではないと分かり、心底軽蔑したしましたよ」

「なっ!?」

 アレクシスはイセルバードの言葉に驚きと羞恥で顔が真っ赤になるのを感じたが、どうしようもなかった。

「アレクシスを王太子の座から降ろし、代わりにイセルバードを王太子とする。イセルバード、朝一番にユーティア嬢を訪ね、謝罪と婚約を結ぶ胸を伝えに言ってくれるな?」

「ええ、勿論です、父上。流石に今からでは失礼すぎますからね……それにしても魔導士たちの言葉が気になります。まさか……」

「……しかし今から訪ねて行くのは……」

 その時、急いでユーティアを訪ねれば間に合ったかもしれない。しかしその時はやはり夜が明け、朝一番に。という事になってしまったのだ。

「え?わ、私が王太子を降りる……?ど、どういう事ですか!?父上!ミーアとの婚約は?!」

「あのような得体のしれないものを王家に迎え入れる事などない!ユーティア様を、「グラフの末の娘」を王家に迎え入れる事は我が国の悲願!それをみすみす逃す者を王太子として置いてく訳がなかろう……残念だよ、アレクシス。部屋に戻って暫く頭を冷やしておれ」

「ち、父上!?お待ちください!父上!」

 アレクシス第一王子は衛兵たちに引きづられ、自室へと閉じ込められた。しかし城の人間たちは気づいていないのだ、もうあの瞬間にユーティアが国を出ていた事に。もうユーティアの心がこの国に残っていない事に、誰もきがついていなかったのだ。

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