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3 スコットさんの出生

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 スコットさんの本名はスコット・アルフリットと言います。正真正銘、このアルフリット王国の前の王様の血を引いているんです。
 今はスコットさんの腹違いのお兄様が国王様なのでスコットさんは王弟殿下と言うことになります。
 数人いらした前王のお妃様の中で、スコットさんのお母様だけがΩでありました。
 そして前王のお子様の中でスコットさんだけがΩとして産まれたのです。やはり王族たるもの、αが主流。スコットさんのお母様も側妃として生きるつもりもなく、スコットさんにも、静かに生きる事を望みました。
 早々にスコットさんは王位継承権を放棄し、平民になる事になります。

 しかし、赤ちゃんのスコットさんはとってもとっても可愛らしかったのです。

 王家の証ともいえる金髪に紫水晶アメジストの瞳を色濃く継ぎ、にこにこ笑ったむちむちの赤ちゃんにみんな虜になりました。
 たくさんミルクも飲み、元気いっぱいの赤ちゃんはとてもとても可愛らしく、しかも、スコットさんは人見知りも少なかったので、誰のお膝の上でも機嫌良くしているので、大層可愛がられました。
 側妃の子供なのに正妃様にも可愛いがられ、スコットさんのおばあさまにも可愛いがられ……。
 もちろん兄弟の中で一番下のスコットさんは可愛がられました。

 それでもスコットさんのお母様は静かに暮らす事を選び、普段はひっそり、角の小さな離宮で親子2人で過ごしていました。
 スコットさんは7歳まで王宮にいましたが、自分はちょっとだけ裕福な商人か何かの家の庶子だと思っているそうです。お母様を追い出した家を探すつもりも復讐つもりもない。
 お母様も静かに暮らす事を選びましたし。

 色々スコットさんは知らないことが多いようです。

「こんな所に花屋なのかい?」

「ええ、安かったもので」

 スコットさんは訪れた人と話をしています。

「はは!なるほど。町外れは安いもんな。その白い奴一本くれ」

「はい、まいど」

 男は普通の客であったようで、皆胸を撫で下ろしながら、食卓に戻りました。

「スコットさん、可愛いなー。金髪紫目ウチの色だとあんなにキラキラしてるのに、茶色のだとあんなに可愛い」

「子リスみたいよね」

 スコットさんは38歳の男性です。

「あー!抱きしめてぎゅーってしたい!」

 Ωでも、スコットさんは背が高い方で、すらりとしています。

「あースコットさん、可愛いなー!」

 大丈夫でしょうか?αの皆さんはまだフェロモンが出ていないはずなのに、何かにやられているのでしょうか?

「わしは兄としてスコットの意に沿わぬつがい契約を阻止せねばなるまいなぁ!」

「なんですって?!」

 密やかに親子戦争が勃発したようですよ!スコットさん!


「へ、へくち!風邪かな?」

 スコットさんは鼻をすすりながらくしゃみを一つしたのでありました。
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