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6 自由なくここで生活していくしかないのだ
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「兄さんは最高なんだけど、ちょっと別の世界も見てみたいなー。兄さんはお留守番だよ、いなくなったらダメだからね」
「エセル、エセルダメだ、ここにいろ、エセル。エセル……」
「やですぅ~そうだ、折角だから子供を作ることを許可してあげる!兄さんに似た子供ってどうなるか気になるんだよね、もう兄さんはぜーんぶ僕のものだし?」
エセルはとびきり力のある魔物の傲慢さでこの土地を飛び去ってしまった。そして私はこの土地に縛られなければならない。エセルの言いつけ通りに。
「どうしよう、なんて事……」
嘆いても私にはどうする事もできない。
「ルドガーさまぁ」
「ルドガーさまぁ」
目の色が元に戻ったにゃんこちゃんとこうちゃんが泣きながら近くに立っていた。やっとエセルの支配が外れて、私と一緒に暮らしてくれていた状態に戻っている。
この二人もとても優しい性格で人間を傷つけることは大っ嫌いなんだ。でもエセルに支配されている間、エセルが望んだ通り、屋敷の敷地に入ってくる人間達を皆殺しにして回った。だから、血に染まった姿になってしまっていたんだ。
「にゃんこちゃん、こうちゃん、ごめん、ごめんね……私はどうしたら良いんだろう……」
「ふええ……あたしはずっとルドガーさまと一緒におりますぅ」
「わたしもですぅー!」
どうしようもないできない私達は互いに慰め合いながらこの土地で暮らして行かなくてはいけないのだ。
「……死体、持って帰って貰えますか?申し訳ないですが真祖が噛んだ人は処分させて貰います」
「は、はい……」
エセルが飛び去ったあと、生き残った刺客達にそう声をかけた。
「もし、吸血鬼化してしまう人がいたら……なんとかして下さい。私の使い魔達が行ける距離なら始末はできますが、遠くだと無理です」
「はい……」
冷静に話すときちんと話を聞いてくれた。もしかしたら、この人達は反撃をしてこない私達を過小評価していたのかもしれない。私が吸血鬼であることはこの辺の人間なら誰でも知っているはずなのに。いや、知っていてなお、命令に逆らえなかったのかもしれない。
でももう分かっただろう?私達が如何に化け物かと言うことが。
「私はここから離れる事はできません。そして勝手に死ぬ事も許されていません。ここでこのまま暮らすしかないんです。ご了承下さい……庭に立ち入る許可を与えます。でも庭だけです、家屋に近寄らないように。命の保障は致しません」
そう頭を下げて私は屋敷に戻って行く。きっと庭を調べあげてから刺客達は帰るだろうがそれは徒労と言うものだ。庭には何もない。この屋敷を守るゴーレム君達がまたガサゴソと土に潜る。体の一部だけ外に出して庭石のような姿に変わる。数年も動かなければコケなんかが生えて岩なのかゴーレム君なのかわからなくなる。
私は死ぬことを許されていないから、ここで生活していかなければならない。
中央から来た刺客達は帰って行った。最後まで領主の息子を探していたようだが、この街にもこの屋敷にもいない。彼らがこの屋敷の庭を徹底的に調査している間に彼は遠くへ落ち延びただろう。
「良いんですかにゃ?あいつら返しちゃって。きっと面倒くさいやつらがまた来ますにゃ」
「良いんだ、何をしてもどうせ来るんだ。そして何も出来ず私の存在は隠匿される……私を殺せるくらいの凄い人を連れて来てくれれば良いのにね」
「……ルドガーさまを倒せるような人は……いないと思います。何に対しても本気で戦ったこと、ないでしょう? 」
それに関しては曖昧に笑うしかなかった。エセルを封じて300年はエセルが起きないように静かに暮らす事だけに徹した。この土地に余計な血を撒かないよう、怨嗟の声が響かないよう注意して暮らしていた。
そうしたらすぐに分かったんだ。私は普通の人間より遥かに強いって。多分、エセルは物凄く強いんだと思う。手に入るだけの文献で調べると、自ら吸血鬼になり、仲間を増やせる真祖の力を持ったものは物凄く強く、その真祖が手をかけ直々に作った吸血鬼もかなり強いらしい。
ずっと昔のことなのに、思い出してしまってぞくりと寒さが駆け抜ける。あの時、私に噛みついたエセルはゆっくりゆっくり楽しむように私を作り替えて行った。
「ああ!兄さんの体の一欠片づつ、僕のモノになって行くみたいで最高の気分だよぉ!あーでも今日は、人間みたいにエッチするぅ?僕はエッチも好きだよ!兄さんが本気で嫌がって泣いて懇願するのを見るの好きなんだぁ」
「や、やめろエセル!」
「そう!その顔だよ。兄弟なのにさぁ、男同士なのにぃ?ぶっといモノ突っ込まれて、ひんひん啼いちゃう兄さんを可愛いがるのが、僕大好きなんだぁ♡」
エセルがどこで壊れたかはわからなかった。私が気づけなかったからエセルが壊れたのかもしれない。
子供の頃、きちんといえば良かったのか?
「大きくなったら、僕!兄さんをお嫁さんにするの」
「それは無理だよーエセル」
年頃の頃、何か言いたげな目で私を見ているエセルに向き合えば良かったのか。
「どうした?何かあるのか」
「兄さん、僕兄さんの事が……ううん、何でもない」
でも現在エセルは人間をやめてしまった。この領にいた人間はもう一人も生きていない。父さんも母さんも、執事もメイドもエセルが全員殺してしまったんだ。
「もう!きちんと可愛くして!ほら、足を開いておねだりすんの。そりゃあ人間みたいにエッチするより、噛まれた方が気持ちいいの知ってるけどさぁ?」
「や、やめ」
首筋に近づいてエセルの息がかかるだけで闇の力で動いている心臓が喜んで跳ねる。そう、血を吸われるのは恐ろしい快楽を伴う。あんなに気持ちいい事はない……だからこそ嫌なのに!
「うんうん、嫌だよねー?だから人間みたいに気持ちよくなろう?でもさ、この吸血鬼の体って快楽を拾いにくいみたいなんだ。だから、兄さんは可愛いから感じやすくしてあげるね?」
真祖に逆らう事は出来ない。
「エセル、エセルダメだ、ここにいろ、エセル。エセル……」
「やですぅ~そうだ、折角だから子供を作ることを許可してあげる!兄さんに似た子供ってどうなるか気になるんだよね、もう兄さんはぜーんぶ僕のものだし?」
エセルはとびきり力のある魔物の傲慢さでこの土地を飛び去ってしまった。そして私はこの土地に縛られなければならない。エセルの言いつけ通りに。
「どうしよう、なんて事……」
嘆いても私にはどうする事もできない。
「ルドガーさまぁ」
「ルドガーさまぁ」
目の色が元に戻ったにゃんこちゃんとこうちゃんが泣きながら近くに立っていた。やっとエセルの支配が外れて、私と一緒に暮らしてくれていた状態に戻っている。
この二人もとても優しい性格で人間を傷つけることは大っ嫌いなんだ。でもエセルに支配されている間、エセルが望んだ通り、屋敷の敷地に入ってくる人間達を皆殺しにして回った。だから、血に染まった姿になってしまっていたんだ。
「にゃんこちゃん、こうちゃん、ごめん、ごめんね……私はどうしたら良いんだろう……」
「ふええ……あたしはずっとルドガーさまと一緒におりますぅ」
「わたしもですぅー!」
どうしようもないできない私達は互いに慰め合いながらこの土地で暮らして行かなくてはいけないのだ。
「……死体、持って帰って貰えますか?申し訳ないですが真祖が噛んだ人は処分させて貰います」
「は、はい……」
エセルが飛び去ったあと、生き残った刺客達にそう声をかけた。
「もし、吸血鬼化してしまう人がいたら……なんとかして下さい。私の使い魔達が行ける距離なら始末はできますが、遠くだと無理です」
「はい……」
冷静に話すときちんと話を聞いてくれた。もしかしたら、この人達は反撃をしてこない私達を過小評価していたのかもしれない。私が吸血鬼であることはこの辺の人間なら誰でも知っているはずなのに。いや、知っていてなお、命令に逆らえなかったのかもしれない。
でももう分かっただろう?私達が如何に化け物かと言うことが。
「私はここから離れる事はできません。そして勝手に死ぬ事も許されていません。ここでこのまま暮らすしかないんです。ご了承下さい……庭に立ち入る許可を与えます。でも庭だけです、家屋に近寄らないように。命の保障は致しません」
そう頭を下げて私は屋敷に戻って行く。きっと庭を調べあげてから刺客達は帰るだろうがそれは徒労と言うものだ。庭には何もない。この屋敷を守るゴーレム君達がまたガサゴソと土に潜る。体の一部だけ外に出して庭石のような姿に変わる。数年も動かなければコケなんかが生えて岩なのかゴーレム君なのかわからなくなる。
私は死ぬことを許されていないから、ここで生活していかなければならない。
中央から来た刺客達は帰って行った。最後まで領主の息子を探していたようだが、この街にもこの屋敷にもいない。彼らがこの屋敷の庭を徹底的に調査している間に彼は遠くへ落ち延びただろう。
「良いんですかにゃ?あいつら返しちゃって。きっと面倒くさいやつらがまた来ますにゃ」
「良いんだ、何をしてもどうせ来るんだ。そして何も出来ず私の存在は隠匿される……私を殺せるくらいの凄い人を連れて来てくれれば良いのにね」
「……ルドガーさまを倒せるような人は……いないと思います。何に対しても本気で戦ったこと、ないでしょう? 」
それに関しては曖昧に笑うしかなかった。エセルを封じて300年はエセルが起きないように静かに暮らす事だけに徹した。この土地に余計な血を撒かないよう、怨嗟の声が響かないよう注意して暮らしていた。
そうしたらすぐに分かったんだ。私は普通の人間より遥かに強いって。多分、エセルは物凄く強いんだと思う。手に入るだけの文献で調べると、自ら吸血鬼になり、仲間を増やせる真祖の力を持ったものは物凄く強く、その真祖が手をかけ直々に作った吸血鬼もかなり強いらしい。
ずっと昔のことなのに、思い出してしまってぞくりと寒さが駆け抜ける。あの時、私に噛みついたエセルはゆっくりゆっくり楽しむように私を作り替えて行った。
「ああ!兄さんの体の一欠片づつ、僕のモノになって行くみたいで最高の気分だよぉ!あーでも今日は、人間みたいにエッチするぅ?僕はエッチも好きだよ!兄さんが本気で嫌がって泣いて懇願するのを見るの好きなんだぁ」
「や、やめろエセル!」
「そう!その顔だよ。兄弟なのにさぁ、男同士なのにぃ?ぶっといモノ突っ込まれて、ひんひん啼いちゃう兄さんを可愛いがるのが、僕大好きなんだぁ♡」
エセルがどこで壊れたかはわからなかった。私が気づけなかったからエセルが壊れたのかもしれない。
子供の頃、きちんといえば良かったのか?
「大きくなったら、僕!兄さんをお嫁さんにするの」
「それは無理だよーエセル」
年頃の頃、何か言いたげな目で私を見ているエセルに向き合えば良かったのか。
「どうした?何かあるのか」
「兄さん、僕兄さんの事が……ううん、何でもない」
でも現在エセルは人間をやめてしまった。この領にいた人間はもう一人も生きていない。父さんも母さんも、執事もメイドもエセルが全員殺してしまったんだ。
「もう!きちんと可愛くして!ほら、足を開いておねだりすんの。そりゃあ人間みたいにエッチするより、噛まれた方が気持ちいいの知ってるけどさぁ?」
「や、やめ」
首筋に近づいてエセルの息がかかるだけで闇の力で動いている心臓が喜んで跳ねる。そう、血を吸われるのは恐ろしい快楽を伴う。あんなに気持ちいい事はない……だからこそ嫌なのに!
「うんうん、嫌だよねー?だから人間みたいに気持ちよくなろう?でもさ、この吸血鬼の体って快楽を拾いにくいみたいなんだ。だから、兄さんは可愛いから感じやすくしてあげるね?」
真祖に逆らう事は出来ない。
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