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キノ殺
27 シャラ
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シャラの記憶が流れ込んでくる。
王子に生まれながら、あまり良いとは言えぬ人生だった。何十人もいる側妃から生まれ、ただ男子だという事で、何度も命を狙われた。
毒を盛られ、暗殺者に追われてシャラの心は変質していった。
狩られる側から狩る側へ。技術と体を磨き、とうとうその力で、血塗られた第一王子へと駆け上がった。
最初は保身のためだったかもしれない。しかし、失敗を知らない故に狩りに愉悦を見出してしまった。
より強い獲物。より大きい獲物。より難易度の高い場所、そしてたどり着いた「王」という国の1番高み。
シャラは何人もの王を狩った。
その中で1番高潔であったのが、エドヴァルドであった。
だから愛したと。だから殺したと。
シャラは壊れていたと言うしか無かった。
「その君をこんな方法で殺してしまう俺はもっとおかしいんだろうな」
血に濡れているであろう手を見る。俺を拉致して以来、シャラは暗殺の依頼を全て断っていた。
しかし、アージェン王から依頼された暗殺は行う予定であったようだ。
「……俺にはそんな事は出来ないからな」
体は覚えているだろうが、最終判断を下すのがキノコでは、そんな依頼は成功しないだろうし、何より暗殺なんてしたくない。
「そうだ……竜は乗せてくれるかな?」
シャラの首には飛竜を呼ぶ為の笛が掛かっている。中身が違うから、来てくれないかも知れない。でも。
俺は竜笛を吹いた。通常なら、常人は鳴らすことも出来ないらしいが、体は覚えていた。
ピゥーーイィーー……
アージェンの竜舎から、シャラの竜が飛んで来た。竜は不信感をいだきながらも、キノコの生えたシャラを乗せ
「行けるだけ、北の山に」
意味の分からない命令を実行してくれた。雪と氷に閉ざされて、人が寄り付かないような岩山に降り立つと、竜に帰るように命じる。
寒さが苦手な竜は急いで飛び立った。
小さな岩の隙間に入り込む。
「寒いなぁ。ここじゃ胞子が飛んでも休眠だよ」
南国育ちのシャラの体は、寒い寒いと訴える。大丈夫、俺も凄く寒い。
「シャラ、殺してごめんね」
両手でシャラの体を抱きしめる。
「殺されたから、殺すなんて最悪だった。許してあげれば良かったんだ。君を殺してもエドは帰って来ないんだから」
寒い、寒いなぁ。
「君をたくさん傷つけたら、俺の恨みが晴れると思ったんだ。そしたら……違ったんだ。君も間違えたけど、俺も間違えたんだ」
キノコを凍らすと旨味成分が増えるんだってよ?
「許して、あげれば良かったんだ……そしたら、俺はきっと苦しく無かったのに。」
ごめんね、殺してごめんね。
「人を殺すってこんなに苦しい事だったんだね……分かってあげられなくてごめんね、シャラ」
ここでなら、俺もゆっくり死ねそうだよ。
「一緒に死んであげる事しか、もう出来なくてごめんね」
シャラの体はまだ生きていたけれど、心は俺に殺されてしまったのだから、シャラと言う人間は死んでいる。
「ごめんね、俺も苦しいんだ。もう一度死んでくれ。今度は俺も一緒だから……」
体が眠気に勝てなくなって来た。
「シャラ、ごめんね」
俺は深く深く氷の中に沈んだ。
王子に生まれながら、あまり良いとは言えぬ人生だった。何十人もいる側妃から生まれ、ただ男子だという事で、何度も命を狙われた。
毒を盛られ、暗殺者に追われてシャラの心は変質していった。
狩られる側から狩る側へ。技術と体を磨き、とうとうその力で、血塗られた第一王子へと駆け上がった。
最初は保身のためだったかもしれない。しかし、失敗を知らない故に狩りに愉悦を見出してしまった。
より強い獲物。より大きい獲物。より難易度の高い場所、そしてたどり着いた「王」という国の1番高み。
シャラは何人もの王を狩った。
その中で1番高潔であったのが、エドヴァルドであった。
だから愛したと。だから殺したと。
シャラは壊れていたと言うしか無かった。
「その君をこんな方法で殺してしまう俺はもっとおかしいんだろうな」
血に濡れているであろう手を見る。俺を拉致して以来、シャラは暗殺の依頼を全て断っていた。
しかし、アージェン王から依頼された暗殺は行う予定であったようだ。
「……俺にはそんな事は出来ないからな」
体は覚えているだろうが、最終判断を下すのがキノコでは、そんな依頼は成功しないだろうし、何より暗殺なんてしたくない。
「そうだ……竜は乗せてくれるかな?」
シャラの首には飛竜を呼ぶ為の笛が掛かっている。中身が違うから、来てくれないかも知れない。でも。
俺は竜笛を吹いた。通常なら、常人は鳴らすことも出来ないらしいが、体は覚えていた。
ピゥーーイィーー……
アージェンの竜舎から、シャラの竜が飛んで来た。竜は不信感をいだきながらも、キノコの生えたシャラを乗せ
「行けるだけ、北の山に」
意味の分からない命令を実行してくれた。雪と氷に閉ざされて、人が寄り付かないような岩山に降り立つと、竜に帰るように命じる。
寒さが苦手な竜は急いで飛び立った。
小さな岩の隙間に入り込む。
「寒いなぁ。ここじゃ胞子が飛んでも休眠だよ」
南国育ちのシャラの体は、寒い寒いと訴える。大丈夫、俺も凄く寒い。
「シャラ、殺してごめんね」
両手でシャラの体を抱きしめる。
「殺されたから、殺すなんて最悪だった。許してあげれば良かったんだ。君を殺してもエドは帰って来ないんだから」
寒い、寒いなぁ。
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ごめんね、殺してごめんね。
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「ごめんね、俺も苦しいんだ。もう一度死んでくれ。今度は俺も一緒だから……」
体が眠気に勝てなくなって来た。
「シャラ、ごめんね」
俺は深く深く氷の中に沈んだ。
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