【完結】スキル「癒し」のみですがまだ生き残っています!

鏑木 うりこ

文字の大きさ
45 / 71
魔のモノ

45 ピンチと人々

しおりを挟む
「あっ!坊主!お前、駄目系の奴だ!その玉も駄目だ!満足して部下が昇天しちゃう!」

「あ、はぁ」

 サーたんとレウリルさんの大喧嘩はまだ続いていて、色々な建物が破壊されている。騒音が煩く、夜の闇と死を司るダレンマリエル・リッチーさんが俺をしっしっと追い払う。

「ったく!子供はこれだから!笑っただけで弱い死者は払っちまうし、その玉、駄目だよー!死者を癒したら死んじゃうでしょ!」

 死んでるから死者なのでは……?俺の玉は「蘇った死者」にも効くらしいが、効きかたが違うようで満足して、昇天してしまうらしい。
 なので、死の軍団を率いるダレンマリエルさんに追い払われていたのだ。

「坊主はうちの側来ないでね!」

 怒って行ってしまった。なんだかごめんなさい。

「お前、可愛いね!我の卵を産まないか?」

「は?」

「なぁに人間だから、卵が出る時ちょっと裂けて死ぬが、お前可愛いから回復させてやるよ!どうだ?我の卵を100個位産まないか??」

「えっ!い、嫌です!」

「そんな事言わずに、我の卵産もうぜ!お前に入れとけば絶対大きくなるし、子竜も真っ直ぐ育ちそうだ!卵から出ていきなり親を食らいに来るようなヤンチャ者にならなそうだ」

 ひえ!今度は全身真っ黒な人に肩組みされて、嫌な提案を受けている。この人の雰囲気、どこかでみたような……あ!イージスだ。
 金色の目の虹彩が縦に長くて爬虫類の目だ。

「黒コゲとかげ!ヨっちゃんに触るな!生臭くなるー!!」

「クソとかげは石っころの隙間に挟まってろよ!ヨシュアはまだもふもふするんだよ!」

「ごちゃごちゃうっせーよ!我の保卵機は渡さんぞ!」

「あわわ……」

 もうこの際ジュリアスさんでも良いから助けに来てください!俺は物陰に隠れてプルプルするしか無かった。

 出来ればレン、お前に助けに来て貰いたいよ……怪我してなきゃ良いな。




「「今ヨシュアに呼ばれた」ッス!」

「だと良いですね」

 ピシャリ!レギルの言葉は短く終わった。

 今、セーブル家の住人は全員マクドル・ソール公爵の家に引っ越している。ここは地下に帝国直通の転移門があるので、何かと便利だからだ。

「今、マロードの王宮には魔王がおり、その四方に4人の魔族の侯爵がおります」

 レギルは集めた情報を基に、地図に書き込む。

「南がサリシュエル・ジェルロンド侯爵。種族はサキュバスで、女性型。彼女が根城にしている街は若い男性は全て徴用されているそうです。
 東がリウレル・ガー侯爵。種族は獣魔人。人型と獣形、両方の姿を駆使します。力が強く肉体派が多いそうです。我が帝国に1番近く、1番被害を受けています。
 北にダレンマリエル・リッチー侯爵。死を扱うアンデットの軍団を率いているそうです。
 西がドランセルニウル・ロウゼット侯爵。竜でも邪竜と呼ばれる種族で、人型にも竜型にもなれるそうです。

 そしてヨシュア様を拐ったのは南のサリシュエル・ジェルロンドその人だろうと推測されます」

「サキュバス……ヨ、ヨシュアは色々無事なんだろうか……?!」

 ジュールは色々取り乱す。早く早く助け出さないと!サキュバスと言えば淫魔と言われるアレでソレでイヤンな奴だ!
 赤くなったり青くなったりするジュールの肩をポンとジュリアスは叩く。

「俺は……例えヨシュアが傷物になっていても、愛する自信がある!」

「ジュリアス殿!ヨ、ヨシュアを!ヨシュアをよろしくお願「落ち着いてくださませ、旦那様」」

 笑顔だが笑っていないマリーにピシャリと言われ、ジュールは黙った。

「ヨシュアは無事です。あの子は賢い子供です。母親のわたくしが言うのですから、無事に決まっております。下らない事は後にして、どう助けるかのお話を致しましょう」

「そうよ、マリーの言う通りよ。良い?レンは不意をつかれた、そして魔族だと知らなかったから大怪我をしたわ。でもこちらには聖女が2人もいるのよ、魔族の天敵のね!」

 デイジーはキラリと目を光らせた。

「そう!それなのですよ、デイジー様!ルルカ嬢もこちらの本を見てください。神聖魔法が載っています。退魔の魔法らしいのですが、私では良く分からなくて。お2人なら……」

 奪うようにデイジーとルルカは本に見入る。

「古い神聖語ですね……読めます」

「力の配分が難しそう」

 ぶつぶつと2人で解読をしている。

「材料が必要ね……うう…凄いレア素材っぽいです」

「何がいるんです?帝国にあるものなら良いのですが……」

「ええと……フェニックスの尾羽」

「ピィ?」

「スレイプニルのたてがみ」

「うん?」

「フェンリルの爪」

「ほお?」

「エルダードラゴンの鱗」

「ほい」

「グリフォンの風切羽」

「痛いから一枚で良い?」

「あと、猫の髭」

「ヨシュアのためならーーー」



「あるわね?」「ありましたね!」
 

「全ての材料と聖女の祈りで「神聖水」を作ります。場所は清らかな水が溢れ出す湧き水や井戸が良いと書かれています」

「庭の池で良いんじゃね?緑の魚の池はすげーきれいな水だろ」

ふむ レギルは頭の中で計算を始める。100万ギルの翡翠鮎のいる池の湧き水が神聖水……。

「この退魔の泉のある場所は魔を寄せ付けないので、王宮に作るのは良いかもしれません」

「決定ですね」


 
「祈りは10日間、交代でつとめます。帝国全土から、祈り手を集める予定ですが、聖女はいないはずなのでデイジー様とルルカ嬢が中心となります。」

「任せてよ!弟の為なら頑張れるわ!」

「私も孫の為なら!まだ抱っこもしてないのよ!魔族なんかに孫は渡せないわ!」

「わたくしも微力ながら祈らせて頂きますわ」

「そうね!そうしましょう」

「我らもやるぞ」

「そうだな、ジュール。お前たちは体力勝負だぞ」

 シュレイに言われて男性陣はきょとんとする。

「え、私達は聖女ではないよ?」

「我ら神獣はお前たちから体力を搾り取って神聖力に変換する。覚悟しろよ、アナベル」

「なぁに死なない程度だ。日に5.6度倒れる事になろうが、大丈夫だぞ?カレル」

「ヨシュアのためならどんどんやって欲しい!」

「レン」

 イージスが黒猫を呼んだ。

「お前は特殊な繋がりがジュリアスとの間にある。あいつの力を引き出せ。あの男が鍵になる」

「ど、どうやって……?」

「それは私には分からない。でも何かあるはずだ」

 レンはこくんと頷き、まだ痛む体でジュリアスの元に向かった。




 
しおりを挟む
感想 81

あなたにおすすめの小説

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】双子の兄が主人公で、困る

  *  ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……! 本編、両親にごあいさつ編、完結しました! おまけのお話を、時々更新しています。 本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

処理中です...