【完結】スキル「癒し」のみですがまだ生き残っています!

鏑木 うりこ

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魔のモノ

49 存在意義

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「まあいい、試してみよう」

 魔王様は例の見えない手をざくりとアヴリー王子に突き刺した。

「ひ、ひぃ、…いいいい…!」

 グリグリと体の中をかき混ぜ、何かを取り出す。俺の目には手もソレも見えないが、何かがアヴリー王子の中から取り出された。

「10年…20年分くらいかな?これを弄って、変換する……まあ、お前の玉みたいな物だよ、ヨシュア。口、開けて」

 凄く嫌だが、今すぐ首がさようならするのは避けたい。あーん、と大きく口を開けた。中にその玉を放り込まれる。

「ゔっ」

 不味い。臭い。苦い。どろっとしていて、じゃりじゃりする。早く吐き出したい、吐き気がする!自分の中に入れちゃいけない物が、飛び込んで来たような。間違って虫を口に入れてしまったようなそんな感覚。

「気持ち悪い……吐きそう……」

 ぶはっ!魔王様は大笑いをして噴き出した。

「親友!お前の20年生きる予定だった命は、ヨシュアにとっては気持ち悪くて吐きそうだったらしいぞ!良い人生ならば甘美で麗しいのに!吐きそうな人生しかなかったようだ!」

 ええー!この虫みたいのが、王子の20年……?この人どんな人生を送るつもりだったんだ。なんだか少し可哀想になって来た。

「で、どうだ?玉は出るか?」

「へ?玉?」

 ふん!踏ん張ってみると、コロンと1つ出た。

「出ます」

 ふむ。出るのか。

「10歳でも出せるのだな。これは大人になってからでも出せそうだな。2年や3年で使い物にならなくなるのはつまらんからな」


 ああ、そうか。

俺はずっとここに居なくちゃいけないのか。

 現実がストンと落ちて来た。

この瞬間から、俺は一切玉が出なくなった。




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