【完結】スキル「癒し」のみですがまだ生き残っています!

鏑木 うりこ

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とある令嬢物語

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「じ、女性騎士……?警護……?」

 あれ?あれれ?アナベルさまは何を言っているのかな?私はそう言うんじゃなくて、そう言うのに守られる方になる予定ですよ?貴方の隣で、貴方の妻として!リアンは思ってもみなかった事を言われて混乱した。

「リアン?リアン?大丈夫ですか?そんなにボーッとしては警備できませんよ?貴族は何処から狙われているか分からないのですから、終わりまで緊張を持って職務をこなしてくださいね?」

「お兄様、この方何か様子がおかしいですわ?どうなさいまして?」

 ルルカは普段のリアンの様子を知らない。それ故の気遣いだった。

「わ、わた、私、私は!騎士など目指しておりません!私は貴方の!アナベルさまの妻に!妻になりたいのです!!」

 大声が会場中に響き渡り、ほぼ全ての参加生徒たちがこちらを向く。なんの騒ぎだ?またあのピンク頭がセーブルに迷惑をかけているらしいぞ?と。

「え?無理です」

 鋭くて美しく容赦のない一閃がリアンを切り捨てた。

「お兄様……容赦ない……」

 ルルカですら苦笑する中、アナベルは大真面目な顔で訴えた。

「だってルルカ。私はセーブル家の長男だ。そしてヨシュアはジュリアス殿の妃だぞ?そんな私が男爵令嬢と婚姻しては皆に迷惑がかかるだろう?」

「確かにそうですが」

 切り口に塩をこれでもか、これでもか!と塗りたくる。しかもアナベルに悪意など、一欠片もない。当然の事を言っているだけなのだ。

「しかも彼女はマナー教養、ダンス全てにおいて侯爵家の妻に相応しいとは言えない。何度注意しても直る気配もないのです。女性騎士として貴族を守る気概があるようなので弟子として、教育はしてきたが……」

 私の実力が及ばず、まだマナーの一つも教えられていないのだ、と。
 ルルカはショックのあまり呆然とするリアンを気の毒そうにみてから

「好きではなかったのですか?」

 止めの一言を繰り出した。

「何故好きにならねばならんのだ?私はマナーのなっていない人間は嫌いだぞ?しかもいつも短いスカートではしたない。何度注意しても直らないんだ。弟子だと思って甘く見ていたがそれではダメだと言うことだな」

 アナベルは至極当然と言い放つ。いや、至極当然のことなのだ、貴族で上流ともなれば、責任と義務が伴う。

「騎士……弟子……嫌い……はしたない……あは、あははは……」

 リアンはその場にがっくり膝をつき、会場警備の者に連れて行かれた。

「お兄様ってたまにかなーりきついわよね?」

「そうか?普通だろう?」

 妹にそう言われてアナベルは自分の行動を思い返すが、悪かった点は見つからない。

「お兄様、できれば結婚して下さいね?」

 兄の設定するハードルはものすごく高い。兄の自身がこなせることを伴侶にも求めるのは大変だろうな、とルルカは諦めつつも呟く。

「そのつもりだが、ルルカだってどうなんだ?そろそろ婚約者を決めねばならんだろう?」

 ルルカはにっこり笑って「わたくしはお兄様と違いましてよ?」と、言う。

「誰かいるのか?」

「ええ!わたくしは岩と結婚するのです、もう決めましたのよ?」

「岩?!?!」

 突然、無機物が現れてアナベルは目を白黒させたが、ひとつだけ有機物の岩に心当たりがある。

「か、家族会議!家族会議を!可及的速やかに開催するーーー!!」

「お兄様、パーティーではお静かに。減点対象でしてよ?」

 パーティーは恙無く続く。淑女達の胸のつかえがすーっと消え、対象の攻略のハードルの高さを知り、1人の少女は救護室でウンウン唸りながらも

流石はセーブル家……。

 と、畏怖と情景の念を込めて。


「岩って何?」

 一つの疑問をアルナとその他大勢の生徒達に残して。





とある令嬢物語 終わり





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