70 / 71
とある令嬢物語
5
しおりを挟む
「じ、女性騎士……?警護……?」
あれ?あれれ?アナベルさまは何を言っているのかな?私はそう言うんじゃなくて、そう言うのに守られる方になる予定ですよ?貴方の隣で、貴方の妻として!リアンは思ってもみなかった事を言われて混乱した。
「リアン?リアン?大丈夫ですか?そんなにボーッとしては警備できませんよ?貴族は何処から狙われているか分からないのですから、終わりまで緊張を持って職務をこなしてくださいね?」
「お兄様、この方何か様子がおかしいですわ?どうなさいまして?」
ルルカは普段のリアンの様子を知らない。それ故の気遣いだった。
「わ、わた、私、私は!騎士など目指しておりません!私は貴方の!アナベルさまの妻に!妻になりたいのです!!」
大声が会場中に響き渡り、ほぼ全ての参加生徒たちがこちらを向く。なんの騒ぎだ?またあのピンク頭がセーブルに迷惑をかけているらしいぞ?と。
「え?無理です」
鋭くて美しく容赦のない一閃がリアンを切り捨てた。
「お兄様……容赦ない……」
ルルカですら苦笑する中、アナベルは大真面目な顔で訴えた。
「だってルルカ。私はセーブル家の長男だ。そしてヨシュアはジュリアス殿の妃だぞ?そんな私が男爵令嬢と婚姻しては皆に迷惑がかかるだろう?」
「確かにそうですが」
切り口に塩をこれでもか、これでもか!と塗りたくる。しかもアナベルに悪意など、一欠片もない。当然の事を言っているだけなのだ。
「しかも彼女はマナー教養、ダンス全てにおいて侯爵家の妻に相応しいとは言えない。何度注意しても直る気配もないのです。女性騎士として貴族を守る気概があるようなので弟子として、教育はしてきたが……」
私の実力が及ばず、まだマナーの一つも教えられていないのだ、と。
ルルカはショックのあまり呆然とするリアンを気の毒そうにみてから
「好きではなかったのですか?」
止めの一言を繰り出した。
「何故好きにならねばならんのだ?私はマナーのなっていない人間は嫌いだぞ?しかもいつも短いスカートではしたない。何度注意しても直らないんだ。弟子だと思って甘く見ていたがそれではダメだと言うことだな」
アナベルは至極当然と言い放つ。いや、至極当然のことなのだ、貴族で上流ともなれば、責任と義務が伴う。
「騎士……弟子……嫌い……はしたない……あは、あははは……」
リアンはその場にがっくり膝をつき、会場警備の者に連れて行かれた。
「お兄様ってたまにかなーりきついわよね?」
「そうか?普通だろう?」
妹にそう言われてアナベルは自分の行動を思い返すが、悪かった点は見つからない。
「お兄様、できれば結婚して下さいね?」
兄の設定するハードルはものすごく高い。兄の自身がこなせることを伴侶にも求めるのは大変だろうな、とルルカは諦めつつも呟く。
「そのつもりだが、ルルカだってどうなんだ?そろそろ婚約者を決めねばならんだろう?」
ルルカはにっこり笑って「わたくしはお兄様と違いましてよ?」と、言う。
「誰かいるのか?」
「ええ!わたくしは岩と結婚するのです、もう決めましたのよ?」
「岩?!?!」
突然、無機物が現れてアナベルは目を白黒させたが、ひとつだけ有機物の岩に心当たりがある。
「か、家族会議!家族会議を!可及的速やかに開催するーーー!!」
「お兄様、パーティーではお静かに。減点対象でしてよ?」
パーティーは恙無く続く。淑女達の胸のつかえがすーっと消え、対象の攻略のハードルの高さを知り、1人の少女は救護室でウンウン唸りながらも
流石はセーブル家……。
と、畏怖と情景の念を込めて。
「岩って何?」
一つの疑問をアルナとその他大勢の生徒達に残して。
とある令嬢物語 終わり
あれ?あれれ?アナベルさまは何を言っているのかな?私はそう言うんじゃなくて、そう言うのに守られる方になる予定ですよ?貴方の隣で、貴方の妻として!リアンは思ってもみなかった事を言われて混乱した。
「リアン?リアン?大丈夫ですか?そんなにボーッとしては警備できませんよ?貴族は何処から狙われているか分からないのですから、終わりまで緊張を持って職務をこなしてくださいね?」
「お兄様、この方何か様子がおかしいですわ?どうなさいまして?」
ルルカは普段のリアンの様子を知らない。それ故の気遣いだった。
「わ、わた、私、私は!騎士など目指しておりません!私は貴方の!アナベルさまの妻に!妻になりたいのです!!」
大声が会場中に響き渡り、ほぼ全ての参加生徒たちがこちらを向く。なんの騒ぎだ?またあのピンク頭がセーブルに迷惑をかけているらしいぞ?と。
「え?無理です」
鋭くて美しく容赦のない一閃がリアンを切り捨てた。
「お兄様……容赦ない……」
ルルカですら苦笑する中、アナベルは大真面目な顔で訴えた。
「だってルルカ。私はセーブル家の長男だ。そしてヨシュアはジュリアス殿の妃だぞ?そんな私が男爵令嬢と婚姻しては皆に迷惑がかかるだろう?」
「確かにそうですが」
切り口に塩をこれでもか、これでもか!と塗りたくる。しかもアナベルに悪意など、一欠片もない。当然の事を言っているだけなのだ。
「しかも彼女はマナー教養、ダンス全てにおいて侯爵家の妻に相応しいとは言えない。何度注意しても直る気配もないのです。女性騎士として貴族を守る気概があるようなので弟子として、教育はしてきたが……」
私の実力が及ばず、まだマナーの一つも教えられていないのだ、と。
ルルカはショックのあまり呆然とするリアンを気の毒そうにみてから
「好きではなかったのですか?」
止めの一言を繰り出した。
「何故好きにならねばならんのだ?私はマナーのなっていない人間は嫌いだぞ?しかもいつも短いスカートではしたない。何度注意しても直らないんだ。弟子だと思って甘く見ていたがそれではダメだと言うことだな」
アナベルは至極当然と言い放つ。いや、至極当然のことなのだ、貴族で上流ともなれば、責任と義務が伴う。
「騎士……弟子……嫌い……はしたない……あは、あははは……」
リアンはその場にがっくり膝をつき、会場警備の者に連れて行かれた。
「お兄様ってたまにかなーりきついわよね?」
「そうか?普通だろう?」
妹にそう言われてアナベルは自分の行動を思い返すが、悪かった点は見つからない。
「お兄様、できれば結婚して下さいね?」
兄の設定するハードルはものすごく高い。兄の自身がこなせることを伴侶にも求めるのは大変だろうな、とルルカは諦めつつも呟く。
「そのつもりだが、ルルカだってどうなんだ?そろそろ婚約者を決めねばならんだろう?」
ルルカはにっこり笑って「わたくしはお兄様と違いましてよ?」と、言う。
「誰かいるのか?」
「ええ!わたくしは岩と結婚するのです、もう決めましたのよ?」
「岩?!?!」
突然、無機物が現れてアナベルは目を白黒させたが、ひとつだけ有機物の岩に心当たりがある。
「か、家族会議!家族会議を!可及的速やかに開催するーーー!!」
「お兄様、パーティーではお静かに。減点対象でしてよ?」
パーティーは恙無く続く。淑女達の胸のつかえがすーっと消え、対象の攻略のハードルの高さを知り、1人の少女は救護室でウンウン唸りながらも
流石はセーブル家……。
と、畏怖と情景の念を込めて。
「岩って何?」
一つの疑問をアルナとその他大勢の生徒達に残して。
とある令嬢物語 終わり
74
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
ルティとトトの動画を作りました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
本編、両親にごあいさつ編、完結しました!
おまけのお話を、時々更新しています。
本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年の乙女ゲー転生BLです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる