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7 廃業、猫鍛冶屋
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「俺は猫鍛冶屋やりません」
「にゃんだってー!? アキラは天職したかったんでしょ!? なのにどうして!」
そんなの当たり前だろう! 俺はとんかちにしっかり言って聞かせた。
「猫を武器にしたら猫がこの世から一匹減るだろうが! そんなの全人類の損失だろうがあああ!」
「にゃんてこと!?」
この世から俺のせいで猫が減るなんて……そんなのいやだ!!
「それにとんかちで叩くってなんだ? 俺、猫を叩く事なんてできない」
「あー……いやでも、神様がいったにゃあ……猫武器で世界を救ってほしいって」
「そんなことしたら俺の魂が救われないでしょうに!」
「……そ、それもそう……にゃね……?」
俺の周りから猫を取り上げようなんてなんて酷い神様なんだ……!
「それにその猫武器ってやつを作る時はとんかちで猫を叩くっていってたよな?」
「そうにゃ。鍛冶屋は素材をとんかちでカンカンするにゃ」
「それも駄目だろう! だって叩いた方も叩かれた方も痛いだろ!」
「そ……そう、かな? でもあのとんかちになった時、とんかちはとっても硬いよ、きっと痛くないにゃ」
「なわけないだろう! 痛いもんは痛いんだよ~だめだよ~とんかちが痛いなんて俺やだよ~とんかちぃ~」
「にゃにゃっ……アキラぁ……」
とんかちはあのハンマーの姿から、猫の姿に戻って俺の膝の上にポンと着地した。
「とんかち~やっぱりとんかちは柔らかくてもふもふしてるのが俺好きだよ~」
「アキラ……ありがとう……」
とんかちの顔にすり寄ったら、立派な髭が俺の鼻をくすぐったが、それもまたいい……やっぱりとんかちには猫の姿でいてもらいたい。俺のわがままかもしれないけど……。
「とんかち、吸っていい?」
「仕方がないにゃあ~いっぱい吸えにゃ」
「うおーーっ!」
俺はとんかちの腹に顔を埋めてストレスを発散する……やっぱ、猫は叩くもんじゃねえ……吸うもんだ。
「でも世界がピンチになったらどうしよう?」
「多分そんときゃ、勇者とかいう奴が聖剣とかを持って悪い魔王とかを退治してくれるから大丈夫だ」
「そういうもんにゃ?」
「そういうもんだ」
ここは異世界だ、きっと違う世界からやってきたのは俺達だけじゃない。そういう使命を背負って来てる奴らがいるに違いない……そういう人たちにお任せしよう。俺はこの世界でとんかちと楽しく生きていきたいんだから。
「じゃあ猫武器を作らなかったらアキラは何になるにゃ?」
「でも鍛冶屋は鍛冶屋なんだろう? 普通の武器を作ればいいんじゃないか? 楽しみだな~」
「にゃ? アキラはネコ以外の材料で武器は作れないにゃ。だって猫鍛冶屋なんだからにゃ」
「な……なん……だと!?」
俺の異世界生活が突然暗雲に襲われたぞ!? 俺、この世界でどうやって暮らせばいいんだ!?
「にゃんだってー!? アキラは天職したかったんでしょ!? なのにどうして!」
そんなの当たり前だろう! 俺はとんかちにしっかり言って聞かせた。
「猫を武器にしたら猫がこの世から一匹減るだろうが! そんなの全人類の損失だろうがあああ!」
「にゃんてこと!?」
この世から俺のせいで猫が減るなんて……そんなのいやだ!!
「それにとんかちで叩くってなんだ? 俺、猫を叩く事なんてできない」
「あー……いやでも、神様がいったにゃあ……猫武器で世界を救ってほしいって」
「そんなことしたら俺の魂が救われないでしょうに!」
「……そ、それもそう……にゃね……?」
俺の周りから猫を取り上げようなんてなんて酷い神様なんだ……!
「それにその猫武器ってやつを作る時はとんかちで猫を叩くっていってたよな?」
「そうにゃ。鍛冶屋は素材をとんかちでカンカンするにゃ」
「それも駄目だろう! だって叩いた方も叩かれた方も痛いだろ!」
「そ……そう、かな? でもあのとんかちになった時、とんかちはとっても硬いよ、きっと痛くないにゃ」
「なわけないだろう! 痛いもんは痛いんだよ~だめだよ~とんかちが痛いなんて俺やだよ~とんかちぃ~」
「にゃにゃっ……アキラぁ……」
とんかちはあのハンマーの姿から、猫の姿に戻って俺の膝の上にポンと着地した。
「とんかち~やっぱりとんかちは柔らかくてもふもふしてるのが俺好きだよ~」
「アキラ……ありがとう……」
とんかちの顔にすり寄ったら、立派な髭が俺の鼻をくすぐったが、それもまたいい……やっぱりとんかちには猫の姿でいてもらいたい。俺のわがままかもしれないけど……。
「とんかち、吸っていい?」
「仕方がないにゃあ~いっぱい吸えにゃ」
「うおーーっ!」
俺はとんかちの腹に顔を埋めてストレスを発散する……やっぱ、猫は叩くもんじゃねえ……吸うもんだ。
「でも世界がピンチになったらどうしよう?」
「多分そんときゃ、勇者とかいう奴が聖剣とかを持って悪い魔王とかを退治してくれるから大丈夫だ」
「そういうもんにゃ?」
「そういうもんだ」
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「にゃ? アキラはネコ以外の材料で武器は作れないにゃ。だって猫鍛冶屋なんだからにゃ」
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