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8 俺ととんかちの新しい仕事
しおりを挟む「じゃ、じゃあ俺達どうやって暮らせばいいんだろう……」
「わかんないにゃ……」
「この世界ってハロワある……? そしてまず、俺達、今晩どこに泊まる……?」
「と、とんかちは外でも寝れるよ」
「そんなことさせられるわけないだろう! とんかちに変な虫とかくっ付いたらどうするんだ!」
「にゃ……ぼくの心配かにゃ……」
「当たり前だろう!? この世界ののみ取り薬あるのか分かんないのに」
「むむむ……」
知り合いもいない土どんな場所かも分からない世界で俺ととんかちは天を仰いだ。
「す、すみません……お邪魔します……」
「あらあら……いいのよ、シロのお友達なんでしょう」
「シロの友達に悪い人はいないからね!」
「にゃーん」
「本当に……ありがとうございます!」
少し歩くと村があって、そこにいた真っ白い猫ととんかちが友達になり……俺は村の外れに立っている小さな家にお邪魔させて貰った。持つべきものは有能な猫と猫友達だ。その家にはおばあちゃんと孫の男の子、今10歳だというショーンが白猫のシロと一緒に暮らしていた。
「ボクのお父さんとお母さんは病気で死んじゃって、それからお婆ちゃんとシロと暮らしてるんだ」
「そっか……」
「お兄さんは違う世界から来たんだって? よくわかんないけど……」
「俺もよくわかんないけど、この世界で暮らして行こうと思ってさ。どうやって暮らせばいいかも全然分からないんだ……何かできる仕事ってあるかな?」
「うーん、何かあると思うけど」
ショーンは俺の話を信じてくれて、一緒に考えてくれた。言葉が通じたのはとてもありがたいし、今夜はこの家に泊って明日村長さんに話を聞いてくれることになった。
「ショーンは俺が嘘をついてるって思わなかったのか?」
「だってシロが連れて来たんだよ~。シロはとっても賢い猫だから嘘つきは連れてこないよ」
「そうなのか!」
とんかちと猫語でにゃごにゃごと話しているシロはとても落ち着いた猫だった。多分かなり高齢なんだろう……ショーンを見る目がお婆ちゃんと似ている。
「アキラさんや、粗末な物ですがお夕食ができましたよー」
「あっ! すみません、お婆ちゃん! お手伝いもしないで」
「いいの、いいの。久しぶりのお客様ですものねー。ショーンに色々な話を聞かせてくれると嬉しいわ」
「でもお片づけは僕と一緒にしようね、お兄さん」
「そりゃもちろんだ!」
豪華な食事ではない。でもこの村に相応しい位のパンと暖かいスープが出てきた……猫が連れてきた知らない人間に出してくれる料理としては破格じゃないかな、と思えるくらい美味しい食事だった。
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