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43 バーグ伯爵夫人の涙
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「私の夫は自分より優秀な弟であるセラフィーナの父であるハワードさんのことを嫌っていたのです。前バーグ伯爵はそれに気づいても長男である夫をバーグ家の跡取りとし、きちんと接してきましたし、ハワードさんも兄である夫に逆らうことなく自分が継ぐのがジョゼ子爵領であることにも納得していました。しかし、夫はそれを良しとしなかった……弟に分け与えたはずなのにそれを盗まれたと認識しているのです」
「シ、シンシアッ!! 黙れ、黙りなさいッ!」
「そしてハワードさん達が不幸な事故にあったのを機にジョゼ領を取り返そうと画策しておりました……セラフィーナ、庇う事ができなくてごめんなさい」
「え……」
シンシア様は私の方を向いて頭を下げた。あまりのことに何も言えなくなる。
「そしてそんな夫そっくりに育ったジュリアナ……いくら教育をしても夫が甘やかすのでジュリアナは良い方向へ向かわせることができませんでした……お恥ずかしい限りです」
「お、お母様!? 一体何をいっているの!?」
「お黙りッ! あなたは発言を許されていない場です! 何度も何度も言われてどうしてわからないのですか! そしてなぜこの場についてきたのです? バーグ家が不利なることばかり口にして、一体この先どうするつもりなの!? イアソン様とセラフィーナを陥れて楽しかった? 本当に下賤で汚らしい考え……!」
「お、おかあさま……?」
「ああ、本当にどうしてこんなことに……マリアンヌはこんなに聡明な子に育ったのに、ジュリアナはなんて恥知らずなんでしょう……」
泣き崩れるシンシア様……そんな風に考えていたなんて知らなかった。でも確かにシンシア様が私を直接的に粗末に扱ったり、意地悪をしたことはなかった。私に嫌がらせをするのは主にジュリアナとジュリアナに命じられたメイドだった……マリアンヌは私に親切だったし優しくしてくれたのは、きっとシンシア様の許可があったからだろう。シンシア様が許してくれていてもバーグ家の一番の権力者はバーグ伯爵なのだから、限界はあった。この世界の貴族女性は自由も発言力も低い……夫であるバーグ伯爵に逆らえない人が大半なんだから、シンシア様の行動はまあ理解できる……にしても今になって国王陛下の前でこの告発は一体どうしたことだろう?
「私は何度も夫に言ったのです。ジョゼ領はジョゼ子爵の物、そしてセラフィーナの物なのだと。そんなことよりあなたはお義父様から譲り受けたバーグ領を大切にしてくださいと……それなのにあなたはバーグ領を顧みず、ジョゼ領をセラフィーナから奪う事ばかり考える……限界です」
「シンシア! 女が出しゃばるなッ!!」
「うう……うううっ」
シンシア様に鋭い罵声を浴びせるバーグ伯爵は弁解をする気もないのか怒り狂っていた……その本物の怒りがシンシア様の告白が真実だと告げている……なんてことなんだろう、バーグ伯爵はジョゼ領が狙いだった。私を引き取ったのもジョゼ領欲しさからだったんだ。モルガット家の皆さんと私との交流を阻んだのもそういうことだったの?
「ふむ……バーグ夫人のいうことは真実か?」
「恐れながら申し上げます、国王陛下……わたくしは長年バーグ家で執事として働いていたジョセフというものです……奥様の言っていることは真実でございます。わたくしもそんなことはしないで下さい、バーグ領を大切にしてくださいと言い続けておりましたが、その願いはかなう事がございませんでした。旦那様に蔑ろにされ、荒れて行くバーグ領を見かねて、ジュリアナ様の婚約者であるイアソン様に願い出たのもわたくしです……イアソン様が経営に携わるようになり、バーグ領は回復して参りました……」
頭を床にこすりつけたまま、執事のジョゼフは涙ながらに語る。確かにイアソン様に見せていただいたことあるバーグ領の資料はイアソン様が参入してから上向きになっているが、それ以前は散々たる有様だった。それを参考に領の立て直しについて色々議論したものだった。
「ジョセフッ!! お前まで何を言うっ」
「申し訳ございません、旦那様ッ! でももう無理なのです、旦那様ッ」
「黙れ黙れ黙れーーッ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶバーグ伯爵。そしてその様子を冷めた目で見つめるイアソン様。泣き続けるシンシア様……何が真実なのか、誰の目にも明らかになっていた。
「シ、シンシアッ!! 黙れ、黙りなさいッ!」
「そしてハワードさん達が不幸な事故にあったのを機にジョゼ領を取り返そうと画策しておりました……セラフィーナ、庇う事ができなくてごめんなさい」
「え……」
シンシア様は私の方を向いて頭を下げた。あまりのことに何も言えなくなる。
「そしてそんな夫そっくりに育ったジュリアナ……いくら教育をしても夫が甘やかすのでジュリアナは良い方向へ向かわせることができませんでした……お恥ずかしい限りです」
「お、お母様!? 一体何をいっているの!?」
「お黙りッ! あなたは発言を許されていない場です! 何度も何度も言われてどうしてわからないのですか! そしてなぜこの場についてきたのです? バーグ家が不利なることばかり口にして、一体この先どうするつもりなの!? イアソン様とセラフィーナを陥れて楽しかった? 本当に下賤で汚らしい考え……!」
「お、おかあさま……?」
「ああ、本当にどうしてこんなことに……マリアンヌはこんなに聡明な子に育ったのに、ジュリアナはなんて恥知らずなんでしょう……」
泣き崩れるシンシア様……そんな風に考えていたなんて知らなかった。でも確かにシンシア様が私を直接的に粗末に扱ったり、意地悪をしたことはなかった。私に嫌がらせをするのは主にジュリアナとジュリアナに命じられたメイドだった……マリアンヌは私に親切だったし優しくしてくれたのは、きっとシンシア様の許可があったからだろう。シンシア様が許してくれていてもバーグ家の一番の権力者はバーグ伯爵なのだから、限界はあった。この世界の貴族女性は自由も発言力も低い……夫であるバーグ伯爵に逆らえない人が大半なんだから、シンシア様の行動はまあ理解できる……にしても今になって国王陛下の前でこの告発は一体どうしたことだろう?
「私は何度も夫に言ったのです。ジョゼ領はジョゼ子爵の物、そしてセラフィーナの物なのだと。そんなことよりあなたはお義父様から譲り受けたバーグ領を大切にしてくださいと……それなのにあなたはバーグ領を顧みず、ジョゼ領をセラフィーナから奪う事ばかり考える……限界です」
「シンシア! 女が出しゃばるなッ!!」
「うう……うううっ」
シンシア様に鋭い罵声を浴びせるバーグ伯爵は弁解をする気もないのか怒り狂っていた……その本物の怒りがシンシア様の告白が真実だと告げている……なんてことなんだろう、バーグ伯爵はジョゼ領が狙いだった。私を引き取ったのもジョゼ領欲しさからだったんだ。モルガット家の皆さんと私との交流を阻んだのもそういうことだったの?
「ふむ……バーグ夫人のいうことは真実か?」
「恐れながら申し上げます、国王陛下……わたくしは長年バーグ家で執事として働いていたジョセフというものです……奥様の言っていることは真実でございます。わたくしもそんなことはしないで下さい、バーグ領を大切にしてくださいと言い続けておりましたが、その願いはかなう事がございませんでした。旦那様に蔑ろにされ、荒れて行くバーグ領を見かねて、ジュリアナ様の婚約者であるイアソン様に願い出たのもわたくしです……イアソン様が経営に携わるようになり、バーグ領は回復して参りました……」
頭を床にこすりつけたまま、執事のジョゼフは涙ながらに語る。確かにイアソン様に見せていただいたことあるバーグ領の資料はイアソン様が参入してから上向きになっているが、それ以前は散々たる有様だった。それを参考に領の立て直しについて色々議論したものだった。
「ジョセフッ!! お前まで何を言うっ」
「申し訳ございません、旦那様ッ! でももう無理なのです、旦那様ッ」
「黙れ黙れ黙れーーッ!!」
顔を真っ赤にして叫ぶバーグ伯爵。そしてその様子を冷めた目で見つめるイアソン様。泣き続けるシンシア様……何が真実なのか、誰の目にも明らかになっていた。
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