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42 病気、なのです
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「マリアンヌ・バーグ伯爵令嬢よ、そなたの言葉に嘘偽りはないか?」
「ありません。私の良心に誓って」
「ふむ、宜しい……しかしたった一人の証言というのも考え物だ。イアソンよ、他に証言できるものはないか?」
バーグ伯爵とジュリアナは顔を真っ青にしてぱくぱくと口を空気の足りない魚のように動かし言葉を失っている。まさか実の娘であり、実の妹が自分達が不利になる証言をするなんて思ってもみなかった、そんな顔をしていた。今、そんな二人を一瞥もせず、前を向いて唇を噛みしめているマリアンヌの気持ちなんて、あの人達は一生分かろうとすることさえしないんだろう……実の父親と姉を貶めるような発言をしなくてはならない娘であり妹であるマリアンヌの気持ちを。そんな状況に追い打ちをかけるように陛下はイアソン様に話しかける。
「おります、入ってきてください」
イアソン様が扉の方を振り返ると、扉は開かれなんと見知った二人が入ってくる。その場にいたマリアンヌとイアソン様以外全員が驚き、その二人をみてバーグ伯爵の顔色は青から白へ激しく変わっていく。
「お、お、お前達……何故……」
「……」
二人ともバーグ伯爵を視認したが声は上げない。そのままゆっくりイアソン様の近くまでくると最初の男性は膝を床につき、額を床にこすりつけるように座り込み頭を下げた。その後ろからやってきた女性はマリアンヌの横で立ち止まり、スカートを摘まみ上げ礼をする。
「ジョセフ……シンシア……」
バーグ伯爵だけでなく私もこの二人の顔も名前も知っている……バーグ家へ古くから仕えている執事のジョセフとジュリアナとマリアンヌの母親であり、バーグ伯爵の奥方のシンシア様その人だった。バーグ家を実質取り仕切っているといっても過言ではない二人がこの場に現れたのだ。
「イアソンよ、その二人が証人か」
「そうでございます、陛下」
「ふむ。ではバーグ伯爵夫人シンシアよ。イアソンのいうことに間違いはないか?」
「ございません」
はっきりきっぱり、清々しいほどにシンシア様は言い切った。
「ジョセフとやら、イアソンのいうことに間違いはないか?」
「は、はい……イ、イアソン様が正しゅうございます」
「う、嘘だ、何故お前達が……わ、私を裏切るッ!!」
執事であるジョセフの声はバーグ伯爵の叫びにかき消されそうになったけれど、聞き取ることはできた。
「流石、イアソン・サナセット。やることに隙がない。ここまで完璧な証人を揃えて来るなんて、サナセット家で一番手強いのはイアソンじゃないのか?」
「近頃の若者は怖いですなぁ、モルガット子爵。うかうかしていると足元を掬われそうですぞ」
「違いない……!」
割とのんびり伯父様とルンド子爵が小声でイアソン様を褒めている。確かにどうして絶対にバーグ伯爵の味方であるはずの執事とシンシア様をこちらに引き込んだのか……不思議でならない!
「陛下、発言をお許しいただけますか?」
「許そう」
バーグ子爵の叫びがやんですぐに、シンシア様が静かに口を開いた。
「我が夫、フォルド・バーグは病なのです」
「病、とは?」
私も驚いてシンシア様を見た。バーグ伯爵はあんなに元気そうなのに病気なの?
「夫は、自らの弟であったハワード・ジョゼに勝手に嫉妬し、弟より勝っていると思いたくて思いたくて仕方がない、そんな心の病気なのです」
私は驚いて声を失った。
「ありません。私の良心に誓って」
「ふむ、宜しい……しかしたった一人の証言というのも考え物だ。イアソンよ、他に証言できるものはないか?」
バーグ伯爵とジュリアナは顔を真っ青にしてぱくぱくと口を空気の足りない魚のように動かし言葉を失っている。まさか実の娘であり、実の妹が自分達が不利になる証言をするなんて思ってもみなかった、そんな顔をしていた。今、そんな二人を一瞥もせず、前を向いて唇を噛みしめているマリアンヌの気持ちなんて、あの人達は一生分かろうとすることさえしないんだろう……実の父親と姉を貶めるような発言をしなくてはならない娘であり妹であるマリアンヌの気持ちを。そんな状況に追い打ちをかけるように陛下はイアソン様に話しかける。
「おります、入ってきてください」
イアソン様が扉の方を振り返ると、扉は開かれなんと見知った二人が入ってくる。その場にいたマリアンヌとイアソン様以外全員が驚き、その二人をみてバーグ伯爵の顔色は青から白へ激しく変わっていく。
「お、お、お前達……何故……」
「……」
二人ともバーグ伯爵を視認したが声は上げない。そのままゆっくりイアソン様の近くまでくると最初の男性は膝を床につき、額を床にこすりつけるように座り込み頭を下げた。その後ろからやってきた女性はマリアンヌの横で立ち止まり、スカートを摘まみ上げ礼をする。
「ジョセフ……シンシア……」
バーグ伯爵だけでなく私もこの二人の顔も名前も知っている……バーグ家へ古くから仕えている執事のジョセフとジュリアナとマリアンヌの母親であり、バーグ伯爵の奥方のシンシア様その人だった。バーグ家を実質取り仕切っているといっても過言ではない二人がこの場に現れたのだ。
「イアソンよ、その二人が証人か」
「そうでございます、陛下」
「ふむ。ではバーグ伯爵夫人シンシアよ。イアソンのいうことに間違いはないか?」
「ございません」
はっきりきっぱり、清々しいほどにシンシア様は言い切った。
「ジョセフとやら、イアソンのいうことに間違いはないか?」
「は、はい……イ、イアソン様が正しゅうございます」
「う、嘘だ、何故お前達が……わ、私を裏切るッ!!」
執事であるジョセフの声はバーグ伯爵の叫びにかき消されそうになったけれど、聞き取ることはできた。
「流石、イアソン・サナセット。やることに隙がない。ここまで完璧な証人を揃えて来るなんて、サナセット家で一番手強いのはイアソンじゃないのか?」
「近頃の若者は怖いですなぁ、モルガット子爵。うかうかしていると足元を掬われそうですぞ」
「違いない……!」
割とのんびり伯父様とルンド子爵が小声でイアソン様を褒めている。確かにどうして絶対にバーグ伯爵の味方であるはずの執事とシンシア様をこちらに引き込んだのか……不思議でならない!
「陛下、発言をお許しいただけますか?」
「許そう」
バーグ子爵の叫びがやんですぐに、シンシア様が静かに口を開いた。
「我が夫、フォルド・バーグは病なのです」
「病、とは?」
私も驚いてシンシア様を見た。バーグ伯爵はあんなに元気そうなのに病気なの?
「夫は、自らの弟であったハワード・ジョゼに勝手に嫉妬し、弟より勝っていると思いたくて思いたくて仕方がない、そんな心の病気なのです」
私は驚いて声を失った。
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