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25 僕は下弦でファイさんの昔の仲間と親しくなる

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「本当にすまなかった!ファイ!」

「もう済んだことだ、いいよ。くま」

「白夜に戻る事は……」

「ない」

 くま、と呼ばれた人はものすごいガタイのいい人で、そんな人がファイさんの前に土下座をして頭を下げるのは、なんだか部屋が狭くて仕方がなかった。白銀の聖騎士の鎧で土下座ってすごくない?でもくまさんはやってのけた、すごい。

「俺は、ファイ・オースティンに憧れて、「白夜の翼」に入ったクチだったんだが、本当にファイは凄くてな」

「今じゃしがない錬金術師だ。もう忘れろ」

 それでもくまさんは楽しそうに「げーむ」時代のファイさんの事をたくさんたくさん話してくれた。僕は夢中になって根掘り葉掘り聞いてしまった。

「やめろ」「そんなんじゃねえ」「ちげーよ」「うっせえ」

 とかファイさんは照れながら言っていたけど、ファイさんの冒険の話は凄く凄く楽しかった!

「でもな、ファイには恋人がいなかったんだ。キースみたいな人がいてくれて良かった」

 ってくまさんに言われて、僕はものすごく嬉しくなってくまさんにお土産として大量のお料理を持たせてしまった。

「お、お、お、おれの!俺のナッツのスコーンまで渡すなよおおおお!」

「また作ってあげるから、泣かないで!」

 くまさんはとてもいい人で、

「ほおっておくと闇魔族に襲われてしまうと思って一時的にクランで保護するつもりだったのに、ずっと居座ってしまって……俺も注意は何度もしたんだが、聞いてくれるタイプじゃなかった」

 と、大きな背中を丸めて、がっかりした様子でガッシュの事を言っていた。

「ファイに迷惑をかけるつもりはなかったんだ……。お前のクランなのに……すまん」

「もういいって言ってんだろ」

 体の大きさに似合わず繊細な人だったし、

「領主の方はがっつり締めといたから安心しろ!プレイヤーの力を借りたきゃそんな横柄な態度はいかんぞ。なんなら「白夜の翼」が相手になるっていったら青くなって震えてたぞ」

 わっはっはっは!と大きな体を揺らして笑うと本当に熊のようだった。

「そんで、下弦だったな?じゃあ俺は帰るぜ?イチャイチャしなよ?」

「あ、はい!いっぱいします!」

「くま公おおおおお!」

「時透もだし、クラン全員知ってるよ、わははは!」

「ぐおおおおおお!」

 本当にくまさんはいい人だった。


《ねえ……ファイ。あの呪いを変質させる方法、くまに教えてもいいよな?》

《ま、まさか、くままで!?》

《……命は助かった》

《……勿論教えてやってくれ……》

「キース……くまが闇魔族に襲われて呪いを食らったらしい……」

「えっ!?くまさんも誰かにアンアン言わされちゃうんですか!?」

「……想像できんのだが……なんだか申し訳ない事をした」

「く、くまさんいい人ですし!きっと、誰か!誰かいますよ!」

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