【完結】生き残りたい俺は死者と語る。

鏑木 うりこ

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68 俺、少し強くなったかもしれない

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「大臣だと……」「側妃だと……」「侯爵だと……」

「へえ……ごめんね、呪いなんて。心臓止まったんでしょう」

「戦って死ぬなら本望だったが……」「まさか死霊がお前さんの味方とは」「ナナちゃん可愛いね。結婚しよう」

 三人の暗殺者さんは自分が知る限りの依頼主を簡単に教えてくれた。

「な、な、ナナちゃん?一体何をしているのかな?な、なんだか俺、君が死体から魂を引っこ抜いてお話しているように見えるんだけど……?」

「その通りだけど」

「王様でエロ可愛いだけじゃなくてなんか変な能力あったのね……」

「変って言うなよ。神様がくれたんだぞ」

 俺は三人の魂に色々事情聴取をしている。

「流石に人を殺し過ぎてるからねえ……見える?足元。いっぱい引っ張られちゃって……風船持っても中々飛べないね」

「自業自得とはいえ、凄まじい数だなあ。あ、最近殺ったやつがいるぜ」

 一番年長っぽい暗殺者さんの両足は黒い手に引っ張られて凄い事になっている。これは飛べないよ……。

「ごめんねえ、暫くこの辺で彷徨ってて。処理できる時が来たらなんとか飛べるようにするから」

「……お前良い奴だな。殺そうとして悪かったよ」

「いいよ、仕事だったんでしょ。そんなこともあるよ」

「俺も駄目だな。殺し過ぎている」

 2番目の人もたくさんの亡霊に足を引っ張られてた。最初の人より少ないけれど駄目だねえ。

「そだね……その絡みついた手をね、一人ひとり引っこ抜いて飛ばしてからじゃないとあんたを送れないんだ」

「なるほどな、手間をかけるようだな……ありがとう」

「暫くは無理だから」

 三番目の人はなんか違う。

「俺、ナナちゃんと結婚したい!」

「死んだから無理」

「そうだったーーー!」

 愉快な人だ。でもこの人が一番ヤバイ。若いくせに、足を引っ張られてる数が尋常じゃない。最初の人の2倍くらいある……一体どれだけの人を暗殺してきたんだろう。

「ナナちゃん……ナナちゃん……うう」

 フォーリの尻尾が股の間に入ってる……そんなに怖いのか?ちょっと可哀想だ。

「大丈夫だよ、フォーリ。死者は俺を殺せないんだ……あ、フォーリなら殺されちゃうかもしんないのか」

「ナナちゃん!見捨てないで!!いくらでも尻尾触って良いから!!」

「あ、うん」

 俺は少し強くなってきたかもしんない。

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