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44 すべからく、人の道に外れ
しおりを挟む「ぐっ!!」
「くっ」
三体同時に繰り出された、横薙ぎの剣を真正面から受け止めてしまった。体は宙を吹っ飛び、リオリの工房の壁に叩きつけられた。ぶれるほどの衝撃はない、体の丈夫さに感謝しかない。
「ひゅう! あれで無傷!」
「あの手触りで無傷のもちもちお肌! どうなってんのぉ! 惚れる~欲しいっ」
嫌な褒められ方をした。何やら特別硬かったステッキも折れ曲がってしまい、これでは役に立たない。リオリの工房は見るも無惨な状態だが、リオリ本人はキラキラした目でこっちを見ている……気持ち悪い、流石変態。
「フォルディンー! クロック、流血すらしてないぞ! あれじゃ成分が分からんだろ!」
「馬鹿いうなラグラデール! あの馬鹿硬い防御力のせいだよ! あの細身でどんだけ攻撃を受け切ってるんだと思ってんだよ! 骨格自体何使ってんのか分からんくらい丈夫で細いんだぞ? 血を流させるなんて至難だ!」
「いやまあ、確かにあの細腰でよく戦うよなぁ……チラ見えする腹斜筋の唆ること! たまんねぇ」
「ラグラデールはコレだから話が合わん! そこはあの薄い広背筋なのに、どんだけ膂力があるかを見ろってんだよ」
「あ、背中もいいね、セクシーだ」
「うがー! 」
馬鹿な言い合いの間に逃げられないかと考えるが、中々隙がない……こいつらもしかして人形使いとして相当腕が立つのか……? 立つんだろうなぁ気持ち悪い。
「しっかしまあ……素晴らしいなぁディアマンテの人形は」
「しかも、自我入りだぞう? 俺、クロックと結婚したいくらいよ! でもフェラインがいるからなぁ~重婚できるかなぁ?」
へ、変態がいる!人形と結婚したいとのたまう変態がいる!
「はあ?! 自我入りなのかっ! それは結婚したいな!」
変態が二人いるー!
「しかし……私の騎士達ももうすぐ自我に目覚めそうなんだよなぁ……可愛いこいつらを押し除けてクロックと結婚するのは……ちょっとなぁ」
〈マスター! 我々も頑張りますっ〉
〈我々はマスターの意思に従います!〉
〈マスター! マスターが誰と結ばれても我々の忠誠はマスターのものです!〉
確かに騎士人形達はもうすぐ喋りそうな勢いがあるな……。何とか今のうちに脱出の可能性や武器になりそうなものを探しておく。あれば細い道なんかに逃げ込みたい、鎧姿の騎士人形達が引っかかるくらいの所を通り抜けられればまだチャンスがある気がする。逃げるだけなら……逃走経路を探っていたのに、真上から舐るような更に気持ち悪い視線を感じた。何か来る!
「自我入り! その顔と体に自我入り! ああ、堪らない! 私と結婚しよう、クロック!」
リオリでもフェラインでもフォルディンでも騎士でもない別の声が聞こえ、それは降って来た。
えもいわれぬ恐怖に突き動かされ、私は思いっきり横に飛び逃げた。あいつは、やばい。
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