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我、反省する

3 ホンテイノオクサマ

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「わがなはリズレット・ベルスタッド。であるな?」

「はい!リズレット様」

 我についておるのはメイドのミラじゃ。

「して、われはだんしであるのに、なぜ、じょしのふくをきるのであるか?」

「それは……その……本邸の奥様が……」

「ふむ」

 ホンテイノオクサマはどうやらおそろしい存在なのだな?

「よし、われがじきじきにでむいてホンテイノオクサマとやらのいきのねをとめてまいろう」

「リズレット様?!何をおっしゃられますか!病み上がりのお体ではお部屋からでることも叶いませんよ!」

 ははは!何を馬鹿な!我は魔王ぞ!そのようなこと!ベッドの上から足を伸ばして床に立とうとしたが立てなかった。

「……なんだ?このからだは?」

「リズ!リジー!わたくしの可愛い子!貴方は病弱なのよ!それなのに、毒など盛られ….ううっ!良かった、目が覚めて……」

「……われは、よわいのだな……」

 驚いた。これほどまでとは!

「だがははよ、あんしんいたせ!われにはちぃとがあるゆえ。これからはわれにすべてまかせるがよい!」

 とん!自分の胸をたたいてゲホゲホとむせた。よわいのだな!



「どうじゃ!ミラ!われはかわいいか?」

「ええ!リズレット様!非常にお可愛らしいですわ!」

 我は鏡の前でくるりと回った。我は最近知ったのだ。可愛いという概念を!

「まあ!リジー!私の宝物!可愛いわ!」

「うむ、ははのみたてもなかなかであるぞ」

 我は金色の髪にピンクが差した不思議な色をしておる。それを長く伸ばし、色々飾り立てる。邪魔で切りたいと言ったら母とミラが泣くので我慢してやる。
 目は青く、中にキラキラした物が見えるが、これがベルスタッドの血の証なのだそうだ。
 黄色のフリルやレース?のたくさんついたワンピースドレスを身につける。胸に花もついておるわ。
 ちんちんのついている我であるが、このままホンテイノオクサマに仕掛けても敗戦濃厚であるゆえ、策を練らねばならぬ。
 まぁいざとなれば我ちぃとが火を噴く。ホンテイノオクサマなど、一撃で、這いつくばるであろうよ!

「ふははは!われはやはりつよいのう!」

「リジー…???」

 母とミラが不安な顔で我を見ておる。何故じゃ?

 

 我は1年間修行し10歳になった。

「どうじゃ?母よ。我の作法は?」

「ええ!素晴らしいわ。リジーは天才ね!」

「そうであろう!そうであろう!」

 我はやれば出来る子なのだ。前は誰も教えてくれなかったが、食事にも作法という物があると母は教えてくれた。
 作法とは、戦いにおいても必要な事と言われれば我とて学ぶしかあるまい。
 とくにホンテイノオクサマとの死合いには必ず必要と言われれば、我もきっちり牙を研いでおかねばなるまい?

「本当にリズレット様はお元気になられました!一年前がまるで嘘のようです」

 ミラが涙を拭う。確かに我が目覚めた時の我と比べたら全く違うのう。あらから我は運動をし、なんでも食べ、学び、歌い、剣を振り、昼寝をした。
 暗殺者を池に突き落とし、穴に埋め、おやつを食べた。

 背もまあまあ伸び、たまにやってくるジジイ先生から

「健康になられましたな!」

と、褒められた。人に褒められるのはなんと心地の良いことか!我は人に褒められるのが大好きになった。

「言葉遣いだけは淑女らしくないですがね」

 ミラが笑うが、どうもこれだけは治らん。

「すまんな、許せよ。ミラ」

 
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