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聖女たん、召喚される
11 †セント・ランド†
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全て持ってかれてカサカサの抜け殻みたいになったラティスを放置して、浄化された裏庭をに出てみる。
悪霊や嫌な空気は無くなっているが、草木が枯れて廃墟感が物凄い。あちこちに掘り返した跡があって、ラティスが何かを隠滅したんだろう…今、全力で責任を取っているので、なんかすいません。
「なんか…陰気臭いっていうか…神聖感がないって言うか…」
とことこと、枯れた草の中に進んでみる。何かにつまづいて前のめりに倒れた。
「うわ、なに?石?」
…なんか白っぽくような……何かの白骨ぅぅぅ?
「なんでこんなもんが埋まってるよのーー!ラティスのあほーーー!」
怒りに任せてカチコチに白茶け、痩せこけた大地をダンダンと殴る。庭に罪はないのは分かってる!悪いのは全部ラティス!
「こ、これが…壁ドン?!ならぬ土ドン⭐︎かしら…?!」
「?!」
私が殴った場所の横がもりもりと下から盛り上がり、少女っぽい顔が頬を赤らめて土から出てきた。
「私、生まれて初めて壁ドンを体験してしまったのね…素敵…なんて、素敵なの…ああ、これが愛かしら……」
面倒くさそうなの出てきたー。
「この地に埋められた沢山の哀れな魂を慰めてきたけれど、もうそれも終わりなのね…私は喪服を脱ぎ捨てる、それが今」
ずぬ…ずぬぬぬ…と地面から真っ黒な喪服に身を包んだ少女が湧き出してくる。
瞳はどんよりと暗く、顔色も悪い。ついでにいうならアイメイクは物凄く濃くて、唇など真っ黒だ。
るり子はちょっとだけ知っている。黒い服ばかりなのに、フリルとかレースとかが沢山付いていて、真っ赤なバラをワンポイントでつけてたりする人達のこと。
「ゴスロリってやつかな……」
この世界にその文化があるのかどうかは知らないが、原田るり子であった時は何度か見かけた事があった。
「黒鳥の黒き翼を今、汚れなき魂の調べに乗せて羽ばたくの。†セント・ランド†の騎士たる私の祈りで死したる大地は蘇り、王子と共に約束の地へと至るのよ……」
ヤベー奴だ。この場にいた全ての生きとし生けるものは悟った。
「さあ、そこの美少女よ。壁ドン☆ならぬ土ドン★をして、大地の精霊たるわたくし、ノームちゃんを闇の楔より解き放ってくださった、金髪イケメンの王子様は何処かしら?」
あんたの言う土ドン★をかましたのは私ですが、そう答えるのはあまりにも危険!私の脳内はマックスフル回転する。
やれ、やるのよ!るり子!自分の為に痛い子のノリに合わせるのよ!
「んっ…んんっ!あー…えーと、闇より遣わされし?封印の少女、ノームちゃん…んーー様?えーと、あの、あなたの運命の王子様は……えーと」
「そう!わたしは闇より遣わされし、封印の少女なのよ!運命に翻弄される王子様とわたし!私の運命!」
早く、王子様を見つけなければ…金髪?1人いたじゃん!ちょうど良いのが!
「封印の少女よ!あなたの運命の王子様はこの奥で倒れております!この汚れた大地を…いえ!あなたを癒そうと全ての力を入れて使い果たしてしまったのです!」
「な、なんと言う事でしょう!?わたくしが闇の封印を担っていたせいでまさかそんな事が!」
よよよ、とノームちゃんは泣き崩れた。どーでも良い。
「大地はまだ輝きを取り戻しておりません!ノームちゃん!どうかあなたのその秘められた力でこの大地に立派な大根が生えるくらいの活力を与えて下さい!王子様?は煮るなり焼くなりして結構ですのでっ!」
「大地を司る精霊であるわたくし、ノームちゃんの力があれば、大根と言わず、人参やお芋さんもとても美味しくたくさん実るような豊穣な土壌にする事など、いとも容易いこと!とう!」
ノームちゃんが指先1つでとん、と地面を叩くと、その場から白茶けた土が、ふんわりとした真っ黒な土に変わって行く。枯れた草は土に飲み込まれ、立ち枯れた木には新芽が吹いた。
1番ありがたかったのはなんの骨が分からない白い何かが粉々に砕かれ、土壌の一部となったことだ。もしかしたら、人間の頭蓋骨の一つや二つ出てきそうなだったので、ちょっと怖かったのだ。
「ああ…もう力が足りないわ…やはり王子様と手を取り合わねば最終奥義は使えそうにないわ…」
「王子様はあちらです」
くいっと指で合図をしてやれば、ルンルンとスキップをしながら、ノームちゃんは神殿の中に入って行った。気絶したまま、床に放置されているラティスをいけにえに、るり子は豊穣な大地を手に入れた。
「こっちの取り分が多すぎて、何だか悪い事をした気分だわ」
「早速大根と人参と芋を植えてみましょう」
ため息をつくるり子の横で、ユミーカは大根と人参の種、そして種イモをパラパラと無造作に撒いた。
野菜達は地面につくとすぐに根を伸ばし、あっという間に葉が開き大きく成長した。
「聖女さま、立派な大根です。売れますね」
「そこは食べましょうじゃないのか…」
言動と格好はアレだが、ノームちゃんの実力は認めよう。
悪霊や嫌な空気は無くなっているが、草木が枯れて廃墟感が物凄い。あちこちに掘り返した跡があって、ラティスが何かを隠滅したんだろう…今、全力で責任を取っているので、なんかすいません。
「なんか…陰気臭いっていうか…神聖感がないって言うか…」
とことこと、枯れた草の中に進んでみる。何かにつまづいて前のめりに倒れた。
「うわ、なに?石?」
…なんか白っぽくような……何かの白骨ぅぅぅ?
「なんでこんなもんが埋まってるよのーー!ラティスのあほーーー!」
怒りに任せてカチコチに白茶け、痩せこけた大地をダンダンと殴る。庭に罪はないのは分かってる!悪いのは全部ラティス!
「こ、これが…壁ドン?!ならぬ土ドン⭐︎かしら…?!」
「?!」
私が殴った場所の横がもりもりと下から盛り上がり、少女っぽい顔が頬を赤らめて土から出てきた。
「私、生まれて初めて壁ドンを体験してしまったのね…素敵…なんて、素敵なの…ああ、これが愛かしら……」
面倒くさそうなの出てきたー。
「この地に埋められた沢山の哀れな魂を慰めてきたけれど、もうそれも終わりなのね…私は喪服を脱ぎ捨てる、それが今」
ずぬ…ずぬぬぬ…と地面から真っ黒な喪服に身を包んだ少女が湧き出してくる。
瞳はどんよりと暗く、顔色も悪い。ついでにいうならアイメイクは物凄く濃くて、唇など真っ黒だ。
るり子はちょっとだけ知っている。黒い服ばかりなのに、フリルとかレースとかが沢山付いていて、真っ赤なバラをワンポイントでつけてたりする人達のこと。
「ゴスロリってやつかな……」
この世界にその文化があるのかどうかは知らないが、原田るり子であった時は何度か見かけた事があった。
「黒鳥の黒き翼を今、汚れなき魂の調べに乗せて羽ばたくの。†セント・ランド†の騎士たる私の祈りで死したる大地は蘇り、王子と共に約束の地へと至るのよ……」
ヤベー奴だ。この場にいた全ての生きとし生けるものは悟った。
「さあ、そこの美少女よ。壁ドン☆ならぬ土ドン★をして、大地の精霊たるわたくし、ノームちゃんを闇の楔より解き放ってくださった、金髪イケメンの王子様は何処かしら?」
あんたの言う土ドン★をかましたのは私ですが、そう答えるのはあまりにも危険!私の脳内はマックスフル回転する。
やれ、やるのよ!るり子!自分の為に痛い子のノリに合わせるのよ!
「んっ…んんっ!あー…えーと、闇より遣わされし?封印の少女、ノームちゃん…んーー様?えーと、あの、あなたの運命の王子様は……えーと」
「そう!わたしは闇より遣わされし、封印の少女なのよ!運命に翻弄される王子様とわたし!私の運命!」
早く、王子様を見つけなければ…金髪?1人いたじゃん!ちょうど良いのが!
「封印の少女よ!あなたの運命の王子様はこの奥で倒れております!この汚れた大地を…いえ!あなたを癒そうと全ての力を入れて使い果たしてしまったのです!」
「な、なんと言う事でしょう!?わたくしが闇の封印を担っていたせいでまさかそんな事が!」
よよよ、とノームちゃんは泣き崩れた。どーでも良い。
「大地はまだ輝きを取り戻しておりません!ノームちゃん!どうかあなたのその秘められた力でこの大地に立派な大根が生えるくらいの活力を与えて下さい!王子様?は煮るなり焼くなりして結構ですのでっ!」
「大地を司る精霊であるわたくし、ノームちゃんの力があれば、大根と言わず、人参やお芋さんもとても美味しくたくさん実るような豊穣な土壌にする事など、いとも容易いこと!とう!」
ノームちゃんが指先1つでとん、と地面を叩くと、その場から白茶けた土が、ふんわりとした真っ黒な土に変わって行く。枯れた草は土に飲み込まれ、立ち枯れた木には新芽が吹いた。
1番ありがたかったのはなんの骨が分からない白い何かが粉々に砕かれ、土壌の一部となったことだ。もしかしたら、人間の頭蓋骨の一つや二つ出てきそうなだったので、ちょっと怖かったのだ。
「ああ…もう力が足りないわ…やはり王子様と手を取り合わねば最終奥義は使えそうにないわ…」
「王子様はあちらです」
くいっと指で合図をしてやれば、ルンルンとスキップをしながら、ノームちゃんは神殿の中に入って行った。気絶したまま、床に放置されているラティスをいけにえに、るり子は豊穣な大地を手に入れた。
「こっちの取り分が多すぎて、何だか悪い事をした気分だわ」
「早速大根と人参と芋を植えてみましょう」
ため息をつくるり子の横で、ユミーカは大根と人参の種、そして種イモをパラパラと無造作に撒いた。
野菜達は地面につくとすぐに根を伸ばし、あっという間に葉が開き大きく成長した。
「聖女さま、立派な大根です。売れますね」
「そこは食べましょうじゃないのか…」
言動と格好はアレだが、ノームちゃんの実力は認めよう。
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