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聖女たん、召喚される
22 聖女たん、タイマンを張らされる
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傍若無人を絵に描いたようなるり子だが、狂った殺人鬼と言われる全身真っ黒な鎧に身を包んで、兜飾りから爪先まで測ったらるり子の倍の長さもある男の前に一人で立たされると怖いのである。
「このプレッシャー……社長以上だわ……」
るり子の会社の社長は、どれだけ人の生き血を啜る悪虐非道な社長なのだろうか?
「一騎打ちシステムぅ?!」
「そうなのです!」
なんだそのゲームみたいのは!るり子はぽかーんと口を開けた。
「かの統一帝であるコメタベタイン一世が最初に取り入れた物で」
「米食べたい?!?!」
「コメタベタインです、聖女たん♡様!」
もう統一帝の名前に全てを持っていかれて、詳しい話は頭に入って来なかった。
「なるほど、米への飽くなき情熱は伝わった!」
「違う!」
「つまりは国の代表がタイマン張って勝った方が勝ちってこと?」
「はい、我が国は聖女たん♡様に愛を教えていただくまで、お世辞にも良い国ではございませんでした」
国王は汗をかきながら、反省している。酷かったね!メタボが!
「勿論騎士団も酷いもので、突然戦争などと言われても万に一つも勝てる可能性はございません」
「そんな気がする」
ルーデウスが団長だったんだぞ!駄目だろう!
「我が一族の首でなんとかなる話でもなく……降伏後は民衆の大量処刑や恐怖政治などが待ち構えておるのです。かの御仁は神も冒涜する男。神殿もこのままでは済まされません」
「私の快適ライフが危機なのか……」
「お願いしたします!!」
なんて言葉に騙されて、戦場にぽつーんと立ってしまったのだ。
「ひえぇえ」
「お前が代表か!年端も行かぬ子供!しかも聖女?女ではないか!」
まるで合雷のような声に、るり子はすくみ上がる。こえーーー!
血に濡れた大剣を下げ、兜の下からギロリとるり子を見下ろす。
「だが、代表ならば覚悟は出来ておるな!剣の錆にもならん小童!」
「あのぉ……出来れば鎧とか脱いで貰って良いですか?」
るり子はワンピースみたいな僧服を着ているだけなのだ。
「流石に……ちょっと」
鎧も武器も持たない10歳の女の子と、全身漆黒の、兜まで被った大剣を下げる成人男性。
その差はあまりに酷かった。
「我とやり合うつもりか?いいだろう!長く悲鳴を上げられるよう、一撃で止めは刺さぬぞぅ?」
がしゃん、がしゃがしゃ!と大きな音とともに真っ黒な鎧は脱ぎ捨てられ、立派な体躯の男が現れた。
兜も脱ぐと「ヤバい」感じの顔の男だ。
傷が多く、片目がない。そして唯一の目も血走り「イッちゃってる系」ビンビンである。真っ赤な長髪を振り乱す様子は恐怖そのものだ。
「ひええええ!」
「殺すぞ……戦場で子供を殺す事は滅多にないが、泣いて赦しをこうでも誰も助けてはくれぬぞ!何故ならこれは一騎打ちだからなぁ!勝った方が、勝ちだ!」
ヒヒヒヒ!気持ち悪い笑顔に見た者は全員ゾッとした。狂っている、文字通り、見た目通り、あの王は狂っているのだ。
るり子は目の前に立つ。王の胸の辺りまでしか身長はない。
「先に一発行っていい?」
青い顔のまま、るり子はそっと尋ねる。そのくらいのハンデは下さいと。
「ふむ……構わないぞ!やれるものならやってみよ!」
るり子は珍しく、相手の言葉を最後まで聞いた。
「では……遠慮なく……」
感触を思い出して、ちょっぴり躊躇していたなんて、口が裂けても言わないが。
「るり子いっきまーーーす!」
NOMO消しゴムをしっかり握り込んだ拳を振り下ろす。
「ヒュッ!!」
ラティス以下、その衝撃を覚えている者達が自らの股間を思わず押さえる。
「どっせーーーい!!」
チーーーーン!!!!
「ぐぎゃ………!」
凶王も股間にるり子パンチを食らっては、変な声を上げながら体をくの字に曲げるしか無かった。
顔面が下がれば、るり子の射程圏内である。
「往生せいやぁああ!!!!どりゃあーーー!」
全てを砕く小さなグーが凶王に思いっきりめり込んだ。
「このプレッシャー……社長以上だわ……」
るり子の会社の社長は、どれだけ人の生き血を啜る悪虐非道な社長なのだろうか?
「一騎打ちシステムぅ?!」
「そうなのです!」
なんだそのゲームみたいのは!るり子はぽかーんと口を開けた。
「かの統一帝であるコメタベタイン一世が最初に取り入れた物で」
「米食べたい?!?!」
「コメタベタインです、聖女たん♡様!」
もう統一帝の名前に全てを持っていかれて、詳しい話は頭に入って来なかった。
「なるほど、米への飽くなき情熱は伝わった!」
「違う!」
「つまりは国の代表がタイマン張って勝った方が勝ちってこと?」
「はい、我が国は聖女たん♡様に愛を教えていただくまで、お世辞にも良い国ではございませんでした」
国王は汗をかきながら、反省している。酷かったね!メタボが!
「勿論騎士団も酷いもので、突然戦争などと言われても万に一つも勝てる可能性はございません」
「そんな気がする」
ルーデウスが団長だったんだぞ!駄目だろう!
「我が一族の首でなんとかなる話でもなく……降伏後は民衆の大量処刑や恐怖政治などが待ち構えておるのです。かの御仁は神も冒涜する男。神殿もこのままでは済まされません」
「私の快適ライフが危機なのか……」
「お願いしたします!!」
なんて言葉に騙されて、戦場にぽつーんと立ってしまったのだ。
「ひえぇえ」
「お前が代表か!年端も行かぬ子供!しかも聖女?女ではないか!」
まるで合雷のような声に、るり子はすくみ上がる。こえーーー!
血に濡れた大剣を下げ、兜の下からギロリとるり子を見下ろす。
「だが、代表ならば覚悟は出来ておるな!剣の錆にもならん小童!」
「あのぉ……出来れば鎧とか脱いで貰って良いですか?」
るり子はワンピースみたいな僧服を着ているだけなのだ。
「流石に……ちょっと」
鎧も武器も持たない10歳の女の子と、全身漆黒の、兜まで被った大剣を下げる成人男性。
その差はあまりに酷かった。
「我とやり合うつもりか?いいだろう!長く悲鳴を上げられるよう、一撃で止めは刺さぬぞぅ?」
がしゃん、がしゃがしゃ!と大きな音とともに真っ黒な鎧は脱ぎ捨てられ、立派な体躯の男が現れた。
兜も脱ぐと「ヤバい」感じの顔の男だ。
傷が多く、片目がない。そして唯一の目も血走り「イッちゃってる系」ビンビンである。真っ赤な長髪を振り乱す様子は恐怖そのものだ。
「ひええええ!」
「殺すぞ……戦場で子供を殺す事は滅多にないが、泣いて赦しをこうでも誰も助けてはくれぬぞ!何故ならこれは一騎打ちだからなぁ!勝った方が、勝ちだ!」
ヒヒヒヒ!気持ち悪い笑顔に見た者は全員ゾッとした。狂っている、文字通り、見た目通り、あの王は狂っているのだ。
るり子は目の前に立つ。王の胸の辺りまでしか身長はない。
「先に一発行っていい?」
青い顔のまま、るり子はそっと尋ねる。そのくらいのハンデは下さいと。
「ふむ……構わないぞ!やれるものならやってみよ!」
るり子は珍しく、相手の言葉を最後まで聞いた。
「では……遠慮なく……」
感触を思い出して、ちょっぴり躊躇していたなんて、口が裂けても言わないが。
「るり子いっきまーーーす!」
NOMO消しゴムをしっかり握り込んだ拳を振り下ろす。
「ヒュッ!!」
ラティス以下、その衝撃を覚えている者達が自らの股間を思わず押さえる。
「どっせーーーい!!」
チーーーーン!!!!
「ぐぎゃ………!」
凶王も股間にるり子パンチを食らっては、変な声を上げながら体をくの字に曲げるしか無かった。
顔面が下がれば、るり子の射程圏内である。
「往生せいやぁああ!!!!どりゃあーーー!」
全てを砕く小さなグーが凶王に思いっきりめり込んだ。
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