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聖女たん、召喚される

37 聖女たんとホーリーホームラン

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「聖女♡たん様ぁーー!」

「ぎゃ」

 スッと私の前にラティスが出て

「ホーリー・ホームランッ!」

 どこから出したのか知らないが、釘バットでカキーンとホームラン性の快音を響かせた。

「ふっ、またつまらぬ物を打ってしまった」

 もうあちこちに飛ばされるのを数えるのをやめた頃から、ラティスのパワーアップぶりは凄まじく、愛用の聖なる釘バットで人々をボコボコにしている。

「さあ!パンチはこのラティスめに!」

「阿呆!」

「ああん!ご褒美ぃ!」

 根っこは変わっていない。何せ神殿をそこそこ綺麗にして、ラティスは放置してあった自分の執務室に入る。

「これも時効……これも時効……これは闇に葬って……」

 残っていた大量の始末書を全て処分。おいてあった寝具を愛用の獲物でぶっ叩く。

「ホーリー・布団叩き!」

 パァン!パァン!と叩くと布団はふんわりピカピカになった。なんかすげぇや。しっかりすんやり料理長とルーデウスも含めて四人で寝てさわやかな朝を迎えた。

 で、神殿の前に人がいっぱい来ているのを、ラティスが場外まで打ち上げている所だ。

「何でこんな事に」

「そら、この辺りの空気が澄んでスッキリ爽やかになったから来たんじゃねぇ?ほら、今まで精霊達も死にかけだったじゃん?」

 ぽよんが自慢のぽよ腹を揺らしながら浮いている。

「あれ?お前たち死にかけてたの?」

「まーなー!消える寸前だったぜ!」

 そうだったかー知らんかったわー。

「せ、せ、聖女♡たん様ぁーーー!」

「特大ホーリー・ホームランーーっ!」

 カキーン!今、ラティスが吹っ飛ばしたのはこの国の王様じゃねぇ?まあ良いか。


「くすんくすん、聖女のたん様が消えてから、酷いもんでした」

「良い大人がクスン言うな」

 しょうがなく厨房に転がっていたでかい鍋でスープを煮て貰う。凹みをパンチで直したら、適当な食べ物をぶち込んで煮るとトマトのベーコンスープができるようになった。マカロニも入ってて食べ応えもあるぞーやったー。

「愛の寸胴ー!やっほい!」

 集まってきた奴らにもしょうがないから振る舞ってやる。

「お願いです!お願いです!聖女♡たん様!もういなくならないでぇーーー!」

「おっさんが泣くな!きっしょい!」

「聖女♡たん様、殺ってしまいましょう、こんな変態」

 変態の代表格がなんか言ってるけど、まあ大変だったんだろうなー。いや、私達も大変だったけどね?

「お前、どんだけボコっても人は殺せないだろ?」

「あはっ!そうでしたー!」

 あのラティスの血塗れの釘バット。ああ見えて人を傷つけないんだよね。殴られても実は回復しちゃう祝福された釘バットなのだ。

「私ってば神官ですからねー!神と聖女♡たん様を愛する神官でーす」

 嘘臭いけど本当なんだよね。私と一緒に異世界を渡り歩いたラティスは、かなりタフで使える奴になったんだ……。

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