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番外編
17 50年位昔の話をしようと思う5
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「……私は自分でやりたかったんだが?」
「ダグだとぬるいし遅いし」
「ほら、前に欲しがってた鑑定魔法阻害のペンだぞ。これで書類書き放題だ」
「まあ護衛くらいしかぶっとばしてないし?」
「え、えーと違うでしょ?「何のこと言ってるのか分からないよ、ダグラス」って答える所だよ?」
まあダスティンが計画して指揮した作戦が失敗する訳がないし、色々な魔法を人間に試せるいい機会だったし、良しとしよう。
「……なんで、私が偽造書類作ってるんだ?そう言うところまできっちりやって欲しいんだけど!?」
「仕方がなかろう、キッチリやるには提出する書類も必要で、この中で一番上手く書けるのはダグなんだから」
ダグラスに内緒でやってやろうとしたんだけど、結局こうなる。
「ったく!面倒かけるんじゃない!」
なんて文句を言いながら、嬉しそうに書類を作っているから内緒にされるより、ダグラスはこっちの方が良いんだろうな。
「……ありがとう」
ふん、照れ屋さんめ。そんな小さな声で言ったって皆聞こえてるぞ。
結局2年生に上がり、私達が生徒会を牛耳るまでダグラスは尻を触られたり、連れ込まれたりしてモテモテだった。
「はあ、せめてもっと身分の高い奴に好かれたいものだ。王族とかな」
「だから鍛えろって」
「苦手な物は苦手なんだ!レイ、書類書けって言われたらどうだ?やるか?それと一緒だぞ」
「ごめんね、ダグ。俺が一緒に居る時は何とかしてやるよ。だからこの問題教えてくれ」
「答えは3587」
レイモンドに解き方から教えるのは諦めたな。まあ私も早々に諦めている。あいつは剣で生きるべきだからな。学園を卒業したらそのまま王宮に仕えようと約束をしたし、官吏の試験にも合格したけれど私は王立学園の教師になった。何故か?なんとなくだ。
「そう言えば、ダグは王族と繋がりたいとか言っていたなあ」
「それは願いがかなったのではないですか?」
ジェスターは可愛い。今もワシと手を繋いで歩いておる。ダスティンやダグラスのように血なまぐさい闇で汚れた奴らと友人をやってきたワシには少し眩しく見える。学園の生徒たちも皆、輝いていた。その輝きを近くで見たくて教師などになったんじゃろうな。
頭の中の思い出旅行から帰ってきたワシに答えをくれるのはジェスターだ。
「そう……じゃな。昔の話じゃがな……」
ぎゅっと握っていた手に力が籠った。どうしたんじゃろか?
「でも、今は私と一緒に居てくださいね。絶対に離しませんよ、ケンウッド様」
「は、はは……」
さてはて、ジェスターはただ可愛いだけではなかったな。意外と独占欲は強いし、妙なこだわりもあるし……何せとても強い。あの魔王ダンジョンを何度も何度も回ったというだけのことはある。ワシなど即押し倒されてしまったわ……。
「お手柔らかに」
「さて?どうしましょう?」
おやおや……こんな辺境では助けを求めても友人共は来てはくれないしのう。まあ諦めてジェスターに従うよりあるまいよ。辺境は辺境で刺激が多い所であったわ。
50年位昔の話をしようと思う 【終】
「ダグだとぬるいし遅いし」
「ほら、前に欲しがってた鑑定魔法阻害のペンだぞ。これで書類書き放題だ」
「まあ護衛くらいしかぶっとばしてないし?」
「え、えーと違うでしょ?「何のこと言ってるのか分からないよ、ダグラス」って答える所だよ?」
まあダスティンが計画して指揮した作戦が失敗する訳がないし、色々な魔法を人間に試せるいい機会だったし、良しとしよう。
「……なんで、私が偽造書類作ってるんだ?そう言うところまできっちりやって欲しいんだけど!?」
「仕方がなかろう、キッチリやるには提出する書類も必要で、この中で一番上手く書けるのはダグなんだから」
ダグラスに内緒でやってやろうとしたんだけど、結局こうなる。
「ったく!面倒かけるんじゃない!」
なんて文句を言いながら、嬉しそうに書類を作っているから内緒にされるより、ダグラスはこっちの方が良いんだろうな。
「……ありがとう」
ふん、照れ屋さんめ。そんな小さな声で言ったって皆聞こえてるぞ。
結局2年生に上がり、私達が生徒会を牛耳るまでダグラスは尻を触られたり、連れ込まれたりしてモテモテだった。
「はあ、せめてもっと身分の高い奴に好かれたいものだ。王族とかな」
「だから鍛えろって」
「苦手な物は苦手なんだ!レイ、書類書けって言われたらどうだ?やるか?それと一緒だぞ」
「ごめんね、ダグ。俺が一緒に居る時は何とかしてやるよ。だからこの問題教えてくれ」
「答えは3587」
レイモンドに解き方から教えるのは諦めたな。まあ私も早々に諦めている。あいつは剣で生きるべきだからな。学園を卒業したらそのまま王宮に仕えようと約束をしたし、官吏の試験にも合格したけれど私は王立学園の教師になった。何故か?なんとなくだ。
「そう言えば、ダグは王族と繋がりたいとか言っていたなあ」
「それは願いがかなったのではないですか?」
ジェスターは可愛い。今もワシと手を繋いで歩いておる。ダスティンやダグラスのように血なまぐさい闇で汚れた奴らと友人をやってきたワシには少し眩しく見える。学園の生徒たちも皆、輝いていた。その輝きを近くで見たくて教師などになったんじゃろうな。
頭の中の思い出旅行から帰ってきたワシに答えをくれるのはジェスターだ。
「そう……じゃな。昔の話じゃがな……」
ぎゅっと握っていた手に力が籠った。どうしたんじゃろか?
「でも、今は私と一緒に居てくださいね。絶対に離しませんよ、ケンウッド様」
「は、はは……」
さてはて、ジェスターはただ可愛いだけではなかったな。意外と独占欲は強いし、妙なこだわりもあるし……何せとても強い。あの魔王ダンジョンを何度も何度も回ったというだけのことはある。ワシなど即押し倒されてしまったわ……。
「お手柔らかに」
「さて?どうしましょう?」
おやおや……こんな辺境では助けを求めても友人共は来てはくれないしのう。まあ諦めてジェスターに従うよりあるまいよ。辺境は辺境で刺激が多い所であったわ。
50年位昔の話をしようと思う 【終】
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