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18 不思議なまだら模様というやつです。
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「悪いのだけれど、今日からマリー嬢は下位クラスではなく、上位クラスへ行ってもらいたい。何せ殿下の側近候補なのだからね」
「はい……」
次の日からもうそんなことを言われてしまい、居心地が悪いです。
「殿下に言われちゃしょうがないわよね」
「目立ってしまいましたものね……」
イザベラとディアンナは名残惜しそうにしてくれましたし、下位クラスの皆さんも意外と好意的に送り出してくださいました。
でも予想通り上位クラスの方々からは侮蔑の眼差しの雨あられですけれど。これもレベルアップに必要な事……でしょう!頑張ります。
早速、椅子にインクがぶちまけられており、座れません。教授がすぐに入って来て座れと申されますが……。
「椅子にインクが付着していますので交換してもよろしいですか?」
教授は渋々といった感じで許可を下さいましたが、嫌がらせが毎日起こるのはかなり面倒くさいですね。さて、学生社交界を上手にわたっていけるほどレベルアップするしかないでしょうね。
「どうだい?マリー嬢。一年の上位クラスの授業は」
中庭で昼食を取っていると王太子殿下が声をかけてくださいました。側近候補と言われた割に、あの後何も言われずに困っていた所です。
「子供じみた嫌がらせを毎日受けておりまして、飽き飽きしていた所です。上位クラスとはこんなに低レベルなものなのでしょうか?」
「ほう、例えばどんな?」
「毎日制服にインクをかけられますので、私のブラウスは不思議なまだら模様ですわ」
白いブラウスは散々な色合いだ。インクな物で洗っても落ちない事が多いし、そんなに何十枚も買うお金などない。だから面倒になってそのまま着ている。洗っても取れないのだから仕方がないし、そんなブラウスでバイトもいくものだからお針子さんやオーナーにまで
「今期の1年の上位クラスは非常識な方ばかりなのね」
と、同情されて、新しいブラウスを何枚も貰ってしまった。全部もうまだらにされたけれど。
「はぁ……学園の女子って馬鹿ばかりなのね。もしかして教科書もボロボロとか?」
「ふふ、お察しの通りです」
店に買い物に来ていた名家のお嬢様が私のブラウスをみて呆れ顔でした。そしてたまたま持って来ていた鞄から裂かれた教科書やノートを出してお見せしてみる。
「見てください。まるで娯楽小説のようでしょう?」
「こ、こんな事を本気でする人がいるなんて……!マリーも大変ね」
「ノートは2冊持たなければならないのが面倒ですね。授業での書き込みを部屋に置いてあるものに丸写ししなければいけませんから」
いつもカバンに入れてあるのはボロボロの教科書とノートと最低限の筆記用具。大切なものは全て身につけている。そして部屋に予備の教科書と授業の内容をまとめたノートを置いてあるから勉強は何とかなっている。
「マリー……教授達はこのありさまをみて何もおっしゃられないの?」
マダム・エリンが心配そうに聞いてきますが、やはり上位クラスの子息を大きな声で叱る事が出来る教授はあまりおりませんね。
「子爵の娘である私が上位クラスにいるだけで不快と仰るお嬢様方が多くて」
「嘆かわしいわ……」
マダムもため息をつかれますし、お店のお客様のお嬢様も憤慨してくださいました。
「貴族としての矜持を持ち合わせていらっしゃらないのね……まさかわたくしの従妹達も?マダム、わたくしからマリーに一枚白いブラウスを贈りたいわ。用立てて貰えるかしら?」
「かしこまりましたわ」
お客様にお洋服を買っていただくなんてとんでもないとお断りしようと思いましたが
「良い事マリー。これは貸すだけよ?もしインクをかけられたら返してもらえるかしら?これはわたくしにも役に立つ事なの。分かったわね」
お嬢様にもお考えがあるのでしょう。そこまで言われると遠慮をするのは失礼になってしまいます。
「ありがとうございます。なるべく大切に着ますね」
とは言ったものの、守り切れる自信はないのよね。
「はい……」
次の日からもうそんなことを言われてしまい、居心地が悪いです。
「殿下に言われちゃしょうがないわよね」
「目立ってしまいましたものね……」
イザベラとディアンナは名残惜しそうにしてくれましたし、下位クラスの皆さんも意外と好意的に送り出してくださいました。
でも予想通り上位クラスの方々からは侮蔑の眼差しの雨あられですけれど。これもレベルアップに必要な事……でしょう!頑張ります。
早速、椅子にインクがぶちまけられており、座れません。教授がすぐに入って来て座れと申されますが……。
「椅子にインクが付着していますので交換してもよろしいですか?」
教授は渋々といった感じで許可を下さいましたが、嫌がらせが毎日起こるのはかなり面倒くさいですね。さて、学生社交界を上手にわたっていけるほどレベルアップするしかないでしょうね。
「どうだい?マリー嬢。一年の上位クラスの授業は」
中庭で昼食を取っていると王太子殿下が声をかけてくださいました。側近候補と言われた割に、あの後何も言われずに困っていた所です。
「子供じみた嫌がらせを毎日受けておりまして、飽き飽きしていた所です。上位クラスとはこんなに低レベルなものなのでしょうか?」
「ほう、例えばどんな?」
「毎日制服にインクをかけられますので、私のブラウスは不思議なまだら模様ですわ」
白いブラウスは散々な色合いだ。インクな物で洗っても落ちない事が多いし、そんなに何十枚も買うお金などない。だから面倒になってそのまま着ている。洗っても取れないのだから仕方がないし、そんなブラウスでバイトもいくものだからお針子さんやオーナーにまで
「今期の1年の上位クラスは非常識な方ばかりなのね」
と、同情されて、新しいブラウスを何枚も貰ってしまった。全部もうまだらにされたけれど。
「はぁ……学園の女子って馬鹿ばかりなのね。もしかして教科書もボロボロとか?」
「ふふ、お察しの通りです」
店に買い物に来ていた名家のお嬢様が私のブラウスをみて呆れ顔でした。そしてたまたま持って来ていた鞄から裂かれた教科書やノートを出してお見せしてみる。
「見てください。まるで娯楽小説のようでしょう?」
「こ、こんな事を本気でする人がいるなんて……!マリーも大変ね」
「ノートは2冊持たなければならないのが面倒ですね。授業での書き込みを部屋に置いてあるものに丸写ししなければいけませんから」
いつもカバンに入れてあるのはボロボロの教科書とノートと最低限の筆記用具。大切なものは全て身につけている。そして部屋に予備の教科書と授業の内容をまとめたノートを置いてあるから勉強は何とかなっている。
「マリー……教授達はこのありさまをみて何もおっしゃられないの?」
マダム・エリンが心配そうに聞いてきますが、やはり上位クラスの子息を大きな声で叱る事が出来る教授はあまりおりませんね。
「子爵の娘である私が上位クラスにいるだけで不快と仰るお嬢様方が多くて」
「嘆かわしいわ……」
マダムもため息をつかれますし、お店のお客様のお嬢様も憤慨してくださいました。
「貴族としての矜持を持ち合わせていらっしゃらないのね……まさかわたくしの従妹達も?マダム、わたくしからマリーに一枚白いブラウスを贈りたいわ。用立てて貰えるかしら?」
「かしこまりましたわ」
お客様にお洋服を買っていただくなんてとんでもないとお断りしようと思いましたが
「良い事マリー。これは貸すだけよ?もしインクをかけられたら返してもらえるかしら?これはわたくしにも役に立つ事なの。分かったわね」
お嬢様にもお考えがあるのでしょう。そこまで言われると遠慮をするのは失礼になってしまいます。
「ありがとうございます。なるべく大切に着ますね」
とは言ったものの、守り切れる自信はないのよね。
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