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9 妹だと言うモフ神様

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「はあ?もうあんたの聖女みたいなもんだから要らねえって?」

「加護も癒しの力も私から授けるから大丈夫よ、お姉ちゃん。でもありがとう、神殿貸してくれて」

「ま、まあ。あんたは妹だし?それくらい主神として余裕だし??」

「お姉ちゃん大好き!」

 話が纏まるまで、魂になってその辺に転がっていた動物達と遊んでいた。みんな人間に殺されたのに、それでも人間を信じたくて、人間が好きなモフ達だった。

「俺が戻ったら絶対可愛がるから、俺の所に来なよ」

じゅーどちゃん、ありがとうね。
ニンゲン嫌いにならなくて、よかったぁ
ぷぎぷぎ!お前になら食われてやっても良いんだぜ!

 良い子達過ぎる……。俺は全力で撫で回し、くりくりしてやった。キラキラ光る輪の中に入っていけたから良かったと思う。

「ふぅん、あんた見所あんじゃん?よっし、隠れ加護をやるよ」

「癒しの技は私の加護で行えます。お姉ちゃんの神殿では使えないので、きっと役に立つでしょう。もふもふ達をよろしくお願いしますね」

 すーっと世界が元に戻る。はっと気がつくと、判定の水晶には全色が薄ーく浮かんでいる。

「これは珍しい!全属性使えます!が、この薄さ……魔法使いとは呼べませんね。しかし簡単な生活に役立つ物は使えます……あの方より適正があるとは、驚きですね。あの方は光りもしなかったですからねぇ。ふふ、私も少し細工をしましたがね……」

 最後!最後なんか言った?!確かに過去で俺は諦めきれず何度かこっそり神殿を訪れて、判定の水晶に触れた。
 こっそり来たのに毎回ダグラスがいて、ご丁寧に

「ですから、一度判明した結果は変わりません。あなたは魔法適正ゼロです」
 
 と、ため息混じりに蔑まされたものだ。その度にダグラスには強い殺意が湧いた。でも前世の俺は魔力ゼロの判子を押され、魔法とは縁遠い生活を行なった。
 本当は前世もちょっとは使えたのか?!

「にしてもおかしいですね?私があんなに真剣に祈ったのに、我が神は願いを叶えてくださらなかったとは……これも試練でしょうか。今日からより一層励むとしましょう」

 ふふふ、と暗い笑いをしている。

「あの方の娘を断罪に持ち込んだ後、修道院ではなく、中央神殿での修行にすれば良かった……私とした事がなんたる不手際。しかし、このように愛らしい御子に会えるとは、今度は逃しません」

「……ジュード、我が家へ帰ろう。ここは空気が良くないからな」

 こういう時のアデレードの強権は頼もしかった。俺を抱き上げ、ダグラスに背中を向けるアデレード。

「ふふふ、またいらしてください。歓迎しますよ……」

 ダグラスの笑みが真っ黒く見えて、ぶるりと悪寒が走った。


 
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