【完結】闇暗殺者と入れ替わった社畜の俺を聖騎士様が離さない

鏑木 うりこ

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番外編 おねぃちゃん

2 あったかいにゃあ

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「むぎゅ……どーしてサファイアくんなのぉ」
「師匠を雇うにはお金が足りなかったからでしょっ」

 採取日に来たのはサファイアくんだった。確かにサファイアくんもすんごく強い子だよ? でも私はリンリーちゃんとお出かけしたかったのにー!

「いーじゃん! サファイア君だって凄いんだよー! この前なんて俺、ビンタで吹っ飛ばされて壁に埋まったからね」
「ダイヤモンドちゃんは呼んでないよ!」

 リンリーちゃんとお出かけと思ったら何でか知らないけど技工士極のダイヤモンドちゃんまで付いてきた!

「だってぇ~かっこよく戦ってるサファイアくんみたいんだもーん!」
「ダイヤモンドちゃんはお給料でないからね?」
「ああ~ん! サファイアくんの返り血を浴びた姿がご褒美ですぅ~」
「なら良いや」

 体をクネクネさせて悶えてるダイヤモンドちゃんはサファイアくんとお付き合いしてるんだって! いつもラブラブしてて微笑ましーの。仕方がないにゃあ!

「じゃあ特別報酬として、夜に使うといい感じになっちゃうお薬を少々お渡ししましょうね」
「うっわ! シトリン、俺張り切っちゃうーー!」

 ダイヤモンドちゃんも凄く強いのよね。体が気合い入れると硬くなるとかいってるけど何でかな?? 分かんない。

「あはは、頑張ってね。サファイア、君」
「うっ! マークさん! 頑張ります」
「えへへー!」

 でも私は今、マークちゃんの背中に引っ付いてる。マラカイト・リンリーは雇えなくてがっかりしてたら、マークちゃんとして着いてきてくれるって! やっぱり優しいよお~リンリーちゃんは!

「シトリン、君はマークに甘え過ぎだ」
「うー! 今だけだもーん。ちょっとくらい貸してよ、フロウライトちゃん!」
「あはは……」

 群生地に向かうこのパーティはそんな感じですごいメンバーが揃っているの。

 聖騎士極のフロウライトちゃん、技工士極のダイヤモンドちゃん、闇暗殺者極のリンリーちゃんと闇暗殺者のサファイア君。それと聖騎士が五人。そして錬金術師極の私よ。

「無謀な冒険者が助けを求めてきているのだ」
「ほへぇ」

 ちょうどいいから一緒にいこうってことになったの。でも本当はリンリーちゃんの街で正体を隠して暮らしてる姿のマークちゃんが、危険なところに行くから心配したのかも。リンリーちゃんと結婚したフロウライトちゃんは結構心配性なのよね、この中で一番強いのはリンリーちゃんなのに!

「自分の足で歩いては?」
「やだやだー! マークちゃんに甘えるのー!」
「しょうがない人ですねぇ」

 マークちゃんも凄く優しい。リンリーちゃんとマークちゃんは全然違うってみんないうけど、そっくりだと思う。

「マークちゃんはあったかいなぁ」
「そうですか?」

 私は孤児だった。肉親の温かさなんてよく分からない。錬金術師の師匠はだいぶ前に死んじゃったし、こうやって無条件に甘やかせてくれるのはリンリーちゃんだけ。

「マークちゃん、だーいすき」
「ありがとうございます??」

 あーあ、本当にリンリーちゃんがおねぃちゃんだったらなー。




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