【本編完結済】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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02 運命、というものであっても

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「父上」
「ア、アウラリス……」
「どうやら「そういうこと」らしいです……」
「……そうか……お前はそれでよいのか?」
「仕方ありません、運命……なのでしょう」

 婚約者にもほっぽられ、義兄にも放置された私は仕方がなくそれでも取り乱さず父上の元に歩いて行った。父上と共にいた母上は気を失って静かに運び出されて行く。
 聖女様しか目に入っていない我が婚約者様と我が義兄様はそれも目に入らないらしい。

 ゲームではこの後アウラリスが婚約者のリズティーアを怒鳴りつけ、義兄のダレンを馬鹿にして、聖女様に悪態をつき、夜会をめちゃくちゃにして摘み出されるのだが、そんなことを私はしない。
 冷静に父上と歩き出し、この夜会で一番位が高い国王陛下の方へ行く。これは国王陛下が聖女様をお披露目しようと開いた夜会だったんだ。
 ディーズ侯爵の跡継ぎが酷い屈辱を受けた現場をはっきりくっきり見た貴族達はザワザワとざわめきながらも、私と父上を通してくれた。本当なら国王陛下への挨拶は順番があるのだけれど、譲ってくれたんだ。
 陛下の前へ着くと父上と私はマナー通りの礼をし、敬意を示す。一通りの口上を述べてから苦々しく父上は言葉を続ける。

「陛下、至急我が家へ立ち返り協議すべき事柄が起こりました。申し訳ございませんが、今宵はここで失礼させていただきます」
「よい、許す」
「ありがとうございます」

 陛下も私を痛々しげな眼差しで見てそういってくださった。貴族としてはそれくらいあり得ない行動を私の信頼し、愛すべき関係者は行ったのだ。
 それでも私達は貴族だ。礼を欠くようなことをするべきではないと叩き込まれている。だから最低限の挨拶だけは行ってこの場を後にする。

「アウラリス……」
「……」

 国王陛下の隣にいた王太子殿下が、気遣わしげに声をかけてくださったがそれ以上傷を抉るようなことはしないでくれた。
 私は深く礼をしながら小さく答える。

「……殿下は、違えることなきよう……信じております」
「……っ……ああ……」

 私は知っているんだ。この王太子殿下も聖女鮫島君に運命を感じている隠し攻略対象者だって。でも選ぶルートによって王太子殿下はまるで出てこない。出てこないルートでは殿下は子供の時からの婚約者ときちんと結婚しているんだ……運命の番かもしれない聖女のことはきっぱりと諦めて、定められた婚約者と結婚する。すごい精神力だと思うし、国王になる者としてそれはそれで頼もしいと思う。

 そして私と父上、気絶した母上はディーズ侯爵家に帰宅した。まず最初にリズティーアとの婚約解消手続きを早急に取りまとめるために。
 
 可哀想に、俺の中でアウラリスの心は壊れて砕けていっている……そういう役回りなのだと知らないアウラリスの心と魂はバラバラに引き裂かれ、枯れ果て、死んでいく。
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