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16 助けはくるのか?
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「アウラリス、今日こそ俺の話を聞いてもらう!」
「……」
しつこく鮫島君に捕まった。放課後いつも通り、ヨキシャとレンスンに邪魔をしてもらいながら、横を素早く通り抜けようとするが、今日は失敗して腕を掴まれてしまった。
「お放し下さい」
「嫌だ! 今日はウィルモッドもいないし、絶対俺の話を聞いてもらうぞ!」
なんてことだ、今日は助けがこないだと? それに話はいつも聞いてるじゃないか。ただ何の返事も返さず逃げているだけだけれど。
「せ、聖女さま……アウラリス様から離れて……っ」
レンスンがなんとか声をかけてくれるが睨み一発で小さく悲鳴を上げて半泣きだ……レンスンらしい。
「ヨキシャ……!」
「わ、分かりました、アウラリス様っ」
こういう時はヨキシャの方が役に立つ。通じたかどうかは分からないけれど、ヨキシャは私とレンスンを置いて走り去る。味方になってくれる……いや、鮫島君を止めることができそうな……教授を連れてきて欲しいんだが大丈夫だろうか。
「こっちにこいっ」
「っ! いたっ……」
掴んだまま引っ張るから、右手がおかしな音を立てた。元々アウラリスは体が丈夫じゃない。鮫島君もこちらの世界に来てオメガになったから、力は強くないのだけれど、それ以上にアウラリスは弱いのに。
「いいから!」
「ううっ……」
「あわわ……アウラリスさまぁ……っ」
人通りの多い場所から空き教室へと無理矢理引き摺り込まれる。何人もの生徒が目撃しているが、表立って止めようというものはいない……誰だって面倒ごとに巻き込まれたくなんかない、分かっている。
ただ、この状況を後で証言してくれるだけで助かるというもの。嫌がるアウラリスを無理矢理引き摺っていく聖女様……ああ、ゲームでこんなシーンはきっとあるんだろう、配役は逆になっていると思うけれど。
「今日は絶対逃がさないよ! 座って!」
「……」
空き教室の床の上に投げ出される。鮫島君は椅子に座り寄り添ってくれるレンスンと私を見下ろしている……。
「アウラリスさまを床になんて……うう……ひどいぃ……」
「レンスン、泣かないで」
完全に悪役が逆転している状況で鮫島君の叱責が始まった。
「どうしてアウラリスはリズティーアとダレンを許さないんだ?! たった一回のミスで家を追い出すなんて酷すぎるだろ! あり得ない。それにリズティーアとは仲良くしてたんじゃなかったのか? 本当は嫌いで婚約破棄の狙ってたんじゃないのか?! どうなんだ、答えろよ、アウラリスっ」
「……」
私は意地でも口を開かない。何かいえばすべてが崩れそうな気がする……リズティーアのことが嫌い? 婚約破棄を狙ってた? 冗談じゃない。聖女とリズティーアが出会う瞬間まで私達はお互いを尊重していたし、アウラリスはリズティーアのことを愛していた。リズティーアからの返答はアウラリスほどの熱量は感じなかったが、穏やかなこれから一生を共にする伴侶として相応しいくらいの優しさはあったはずだったのに。
裏切ったのはそっちのくせに何をいっているんだ!
そう叫びたかった。それでも唇をグッと噛んで堪える。絶対に悪役にはならない、自分のためにも皆のためにも、少しでも悪いと捉えられそうなことは口にしない。油断すればどこからか悪事をでっち上げられるかもしれない……だから、口をつぐんで耐えるしかない。
おあつらえ向きに、さっき無理矢理引かれた腕が痛い。折れている訳ではなさそうだが、筋がおかしくなったのかズキズキしている……この痛みで気を逸らし思わず反論しそうになるのをぐっと堪えよう。
「何かいえよ! いつもだんまりじゃわかんねーだろうが!」
高圧的にイライラとした鮫島君の声が響く。
「ア、アウラリスさまは……な、何も悪くないですぅ……」
「お前は黙ってろっ!」
「ひいっ!」
意を決してなんとか意見したレンスンは一喝で縮み上がっている。はは……普段からレンスンを知っている私にとってはその行動がかなり頑張って勇気を振り絞ったのが分かる……ありがとう、私のために頑張ってくれて。
「……」
しつこく鮫島君に捕まった。放課後いつも通り、ヨキシャとレンスンに邪魔をしてもらいながら、横を素早く通り抜けようとするが、今日は失敗して腕を掴まれてしまった。
「お放し下さい」
「嫌だ! 今日はウィルモッドもいないし、絶対俺の話を聞いてもらうぞ!」
なんてことだ、今日は助けがこないだと? それに話はいつも聞いてるじゃないか。ただ何の返事も返さず逃げているだけだけれど。
「せ、聖女さま……アウラリス様から離れて……っ」
レンスンがなんとか声をかけてくれるが睨み一発で小さく悲鳴を上げて半泣きだ……レンスンらしい。
「ヨキシャ……!」
「わ、分かりました、アウラリス様っ」
こういう時はヨキシャの方が役に立つ。通じたかどうかは分からないけれど、ヨキシャは私とレンスンを置いて走り去る。味方になってくれる……いや、鮫島君を止めることができそうな……教授を連れてきて欲しいんだが大丈夫だろうか。
「こっちにこいっ」
「っ! いたっ……」
掴んだまま引っ張るから、右手がおかしな音を立てた。元々アウラリスは体が丈夫じゃない。鮫島君もこちらの世界に来てオメガになったから、力は強くないのだけれど、それ以上にアウラリスは弱いのに。
「いいから!」
「ううっ……」
「あわわ……アウラリスさまぁ……っ」
人通りの多い場所から空き教室へと無理矢理引き摺り込まれる。何人もの生徒が目撃しているが、表立って止めようというものはいない……誰だって面倒ごとに巻き込まれたくなんかない、分かっている。
ただ、この状況を後で証言してくれるだけで助かるというもの。嫌がるアウラリスを無理矢理引き摺っていく聖女様……ああ、ゲームでこんなシーンはきっとあるんだろう、配役は逆になっていると思うけれど。
「今日は絶対逃がさないよ! 座って!」
「……」
空き教室の床の上に投げ出される。鮫島君は椅子に座り寄り添ってくれるレンスンと私を見下ろしている……。
「アウラリスさまを床になんて……うう……ひどいぃ……」
「レンスン、泣かないで」
完全に悪役が逆転している状況で鮫島君の叱責が始まった。
「どうしてアウラリスはリズティーアとダレンを許さないんだ?! たった一回のミスで家を追い出すなんて酷すぎるだろ! あり得ない。それにリズティーアとは仲良くしてたんじゃなかったのか? 本当は嫌いで婚約破棄の狙ってたんじゃないのか?! どうなんだ、答えろよ、アウラリスっ」
「……」
私は意地でも口を開かない。何かいえばすべてが崩れそうな気がする……リズティーアのことが嫌い? 婚約破棄を狙ってた? 冗談じゃない。聖女とリズティーアが出会う瞬間まで私達はお互いを尊重していたし、アウラリスはリズティーアのことを愛していた。リズティーアからの返答はアウラリスほどの熱量は感じなかったが、穏やかなこれから一生を共にする伴侶として相応しいくらいの優しさはあったはずだったのに。
裏切ったのはそっちのくせに何をいっているんだ!
そう叫びたかった。それでも唇をグッと噛んで堪える。絶対に悪役にはならない、自分のためにも皆のためにも、少しでも悪いと捉えられそうなことは口にしない。油断すればどこからか悪事をでっち上げられるかもしれない……だから、口をつぐんで耐えるしかない。
おあつらえ向きに、さっき無理矢理引かれた腕が痛い。折れている訳ではなさそうだが、筋がおかしくなったのかズキズキしている……この痛みで気を逸らし思わず反論しそうになるのをぐっと堪えよう。
「何かいえよ! いつもだんまりじゃわかんねーだろうが!」
高圧的にイライラとした鮫島君の声が響く。
「ア、アウラリスさまは……な、何も悪くないですぅ……」
「お前は黙ってろっ!」
「ひいっ!」
意を決してなんとか意見したレンスンは一喝で縮み上がっている。はは……普段からレンスンを知っている私にとってはその行動がかなり頑張って勇気を振り絞ったのが分かる……ありがとう、私のために頑張ってくれて。
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