【本編完結済】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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17 助けは?

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「あ、あの……アウラリスさまの顔色は悪いし、熱もあるみたいなんで……」
「じゃあそれなら俺のいう通り、うんっていえばいいだろ! ダレンとリズティーアを元にもどせよ!」
「……」

 うっすらと見えた窓の外はもう暗くなりかけている……何時間くらいこうして床に座りこまされているか分からなくなってきた……。体に寒気が来てガタガタと震え出した時、レンスンが庇うようにぎゅっと抱きついてきた。レンスンなりに考えたんだろう……そして今は熱い……ぼーっとして目の前も霞んでいる。これはまずい。

「アウラリス! 聞いてるのか!」

 鮫島君の声もくぐもって聞こえ、どこか遠くから少し響いているくらいにしか聞こえない。内容はわからないけれど、私を責めているのだけは分かる。

「ヨキシャぁ……」

 近くでレンスンの泣きそうな声。助けを呼ぶのにどれくらいかかっているんだ、と心の中で悪態をつきそうになるが要領の悪いヨキシャだから仕方がない。悪役令息の取り巻きなんて無能ばっかりだろう? そういうことだ。
 しかし、これだけ私の帰宅が遅れればディーズ家の父上達が心配して人を送ってくれるかもしれない。そういう人とヨキシャが会えれば嬉しいんだけれど……。
 そうぼんやり考えていると、レンスンがぱっと顔を上げる気配がした。何かを聞き取ったんだろう。
 直後に教室の扉が乱暴に開く音がして、誰かが勢いよく入ってきた。

「キミヒトっ! 無事かっ」
「中々戻らないので探しました! お怪我はありませんか!」
「あっ……」

 その声は聞き馴染みがあり、少し前までは信頼と希望に満ちていた声達だ。でも今は絶望と不信しかない声……。

「っ?! アウラリス! お前、まさかキミヒトに何かしたのかっ!」
「アウラリス……嫉妬でキミヒトに危害を加えるつもりで?! なんという恥知らずなっ!」

 よく、その二人の顔は見えない。でも簡単に想像はつく……悲しい……ただ、ただ、悲しい。

「アウラリスさまぁ……」

 私を抱き締めていたレンスンの腕の力がぎゅっと強まった。ああ、この誠実な友人のおかげで心が繋ぎ止められた……ありがとう、レンスン……。

「リズティーア?! ダレン?!」

 ガタン、と音がして鮫島君が立ち上がったようだ……。

「キミヒト! こんな所にいるなんて。私達がどれほど心配したか……」
「アウラリスはキミヒトを恨んでいます! 近づかないように何度もいったでしょう! アウラリスに呼び出されたんでしょうけれど、どうして来たんですか!」
「え、ちが……」
「どこか怪我はしていないか?! アウラリス、卑怯だぞ!」

 私は床にへたり込み、鮫島君は椅子に座っていた。こんな状況でも鮫島君の肩を持つリズティーアとダレン……私は鮫島君に指一本触れてさえいないのに、こんなに言われるなんて……ゲームの悪役はどんなに頑張っても幸せになれないものなのか? どんなに頑張っても私は没落して両親もレンスンもヨキシャも後ろ指を指される人生を生きなきゃならないのか……?



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