【完結】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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18 予想外の救援者

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「リズティーア・サウラス。ダレン・シシル。お前達の見解は間違っていると言わざるを得ない」
「?!」

 絶望で目の前が塗りつぶされそうになった時、別の声が響いた。聞いたことがある声だが……これはマルセール教授の声だ……マルセール・アストラ教授。攻略対象者の一人……鮫島君を愛する一人……アウラリスの敵……無理だ、この人ではこの状況を好転してはくれない。

「アウラリスさまぁっ! レンスンー!」
「ヨキシャ! 遅いよぉ~っ」

 マルセール教授の後ろから転がり込んできたのはヨキシャらしい……なんて人選……これじゃあ悪化しちゃうじゃないか……流石にヨキシャを恨んでしまいそうだ。

「ヨ、ヨキシャ……」
「アウラリスさま、すみませんっ! 色んな人に声をかけたんですが、誰も助けてくれなくて! 教授もほとんどいなくて、マルセール教授が来てくれて……時間かかってすみませんっ」

 ヨキシャは頑張ってくれた……でも悪役令息の取り巻きだもんな……ああ、仕方がない……もう諦めるしかない。これからどうしたらいいだろう……でも今は何も考えたくない……腕が痛い……何も考えたくない……。

「教授! しかしアウラリスはキミヒトを虐めているんです! キミヒトは大切な聖女なのに!」
「ダレン・シシル。アウラリス・ディーズがキミヒト・サメジマを虐めたという報告はきていない」
「アウラリスのことです。誰にも気づかせず、そこの取り巻きでも使っているんでしょう! キミヒト、大丈夫か? 怖かったろう」
「リズティーア・サウラス。君はこの状況を見てもアウラリス・ディーズがキミヒト・サメジマを虐めたというのか? 私の目には逆に見えるが?」
「……そ、それは……」

 マルセール教授の冷静な声が所々聞き取れる……一体どうしたんだろう? 私はなじられ続けるんじゃないのか?

「私にはキミヒト・サメジマが床に臥しているアウラリス・ディーズをなじっているように見えるぞ。アウラリス、顔色が悪いな、怪我をしているのか?」
「ア、アウラリスさまは熱がありますっしかも腕が腫れていて……っ意識も朦朧です、助けて下さいっマルセール教授ぅ!」

 レンスンの懸命な叫びが響いた。ああ、レンスンまた頑張ってくれたんだねぇ……そうだ、ヨキシャだって頑張ってくれた。誰もが面倒だから関わりになりたくないとヨキシャの訴えを聞いてくれなかったんだろうな。それでも諦めずに今まで走り回ってくれたんだな……さっきはちょっと恨んでごめんな? 髪の毛がボサボサになったヨキシャの顔がぼんやり見えた。

「アウラリス様?! アウラリス様?! 分かりますか??」
「うん……ヨキシャ、ありがとう……レンスンもね」
「アウラリス様ーっ! 死なないでー!」

 応えた私の声があまりに弱々しかったからか、ヨキシャが大袈裟に叫んでいる。馬鹿だなぁ、この程度じゃ死なないよ。

「詳しい話は後程聞こう。アウラリスを救護室へ運ぶぞ。救護教諭はまだいるはすだ」
「お願いしますっマルセール教授っ」
「アウラリスさまぁ! 助かりますよぉ」

 助かるのか、良かった……そう思った瞬間、気力の糸がぷつんと切れたらしく、目の前が完全に真っ暗になってしまった。不安は残るけれど、攻略対象者であるマルセール教授に今は感謝したい。
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