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108 受け取らなかったもの、受け取ったもの
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「でも王族なんて……勿体ないことしたかなぁ」
「うん……きっと父さんと母さん凄く喜んだろうなあ」
そのまま笑って終わればかっこいいのに、その辺はヨキシャとレンスンですぐさま後悔している。二人らし過ぎて少し苦笑してしまった。
「でも、アルバルスト様みたいに人か桃か分からない生物とずっと婚約したり、しかもその家の仕事を手伝ってるのに文句言われちゃうなんて絶対無理だなあって」
「……今回の場合は、お相手は決まってたでしょう?」
「でもでも~王族ってきっと厳しいマナーとか覚える事とかいっぱいあるんでしょう! 無理ですよぉ」
「レンスンは覚えるの得意じゃない?」
「……そういえばそうかも……あれ?」
真剣に悩んでいる……ヨキシャとレンスンらしい。まあでも今回のことはミラジェンダル様とミルフェリア様が大きくなった時にそんなことも言ったな、と笑い話にしていただけることに落ち着きそうだ。フィーラ王家の人達の思い出話に私やヨキシャ、レンスンが登場する面白い事件だと語り継がれるように。
そしてフォッフ公爵家だけれど、やっぱりアロウ様預かりということになってしまい、戻る前に邸宅へ挨拶へ向かうことになった。つくとかなり年配の執事がまっすぐに立っていて、アロウ様を見て素早く頭を下げる。
「お待ちしておりました、旦那様」
「……本当にいいのかな? ケインズ。私はこのアウラリスの家の方で生活していくのだけれど、どうしてもと兄上に押し切られてしまって」
「奥様とこちらへ来られるときの別荘だと思って頂ければ何の問題もございませんよ、ねえ皆さん?」
そういって執事が振り返ると、お屋敷の中にはたくさんの使用人が背筋を伸ばして立っていた。
「そうでございますとも、アルバルスト様」
「私達は貴方様を旦那様と呼ぶ日を楽しみに待っておりました」
「我々の窮状を救ってくださったのはアルバルスト様です」
「あなたのためなら……いえ、あなたと奥様のためなら我々は何だってできます」
「お世話させてください! 可愛らしい奥様を!」
駆け寄られはしなかったけれど、目の輝きと使用人の士気はとても高い……ちょっとびっくりするほどに。
「我々はアルバルスト様がフォッフ家を譲渡されるならこのままここに残りたいと国王様に願い出た者達です」
「他家への紹介状も書いてくださると言われましたが、アルバルスト様がいらっしゃるならこのままこの屋敷にとどまりたいです!」
「たまにご指示を下さるだけでも問題ありません!」
「……邪魔な親子がいなくなって仕事が捗りますわ」
ちらっと本音を漏らしたのはメイド長だろうか。少し年嵩のメイドが笑顔で言ったのを聞き逃さなかった。
「……アウリー、いいだろうか? 勿論ディーズ家を蔑ろにするわけじゃない。兄上が公爵に相応しい人物を見つけたら爵位を譲渡することになると思う……それまではこの家のことも面倒をみることになるのだが、君はそれでも許してくれるかい?」
アロウ様がディーズ家のことを放っておくわけがないことも知っている。そして長年世話をし一緒に暮らしてきた執事やメイド長をはじめとするフォッフ家の使用人達を大切に想い、使用人達からも大切に想われていることもよくわかった。私に否定する権利なんて最初からないのに、それでもその権利を私にくれようとしていることも。好きにしていいのに、とても律儀な方だ。
「私は賛成ですよ。別荘にしては豪華すぎると思いますけれど、こんなにアロウ様のことを慕ってくれる人達を捨て置いては駄目です」
「アウリー……! ありがとう」
お礼を言われるほどのことじゃないのにね! ついふふっと軽く笑みを漏らしたら、何故か使用人達から歓声が上がった。
「あ、ありがとうございます! 奥様!」
「なんて可愛らしくて素敵な奥様なんだ……!」
「奥様、奥様! 早く屋敷に入って下さい! 色々お見せしたいものがあります!」
「奥様と旦那様の部屋は掃除はしてありますが、壁紙も張り替えた方が良いでしょう!」
「カーテンも新しくしましょう! 絨毯も! あまりに趣味の悪い物はもっていってもらいましたがまだ残っていますし」
「アルバルスト様と素敵な奥様に仕えられて私達嬉しいですわぁ~!」
そのまま使用人達はこちらに駆けだして来て、彼らに囲まれて屋敷の中をあちこち案内されることになった。
「ほらほら、あなた方もいらっしゃい。あなた方の部屋も用意してありますよ」
「きちんと奥様を守るんですよ、きちんとですよ!」
「そ、そりゃ勿論ですよ!」
「当たり前じゃないですかぁ~!」
ヨキシャとレンスンの部屋もあるそうで、本当に準備が全部整った屋敷に仕上がっていた。きっとここ数日、使用人達が頑張ってくれたのだろう。
「うん……きっと父さんと母さん凄く喜んだろうなあ」
そのまま笑って終わればかっこいいのに、その辺はヨキシャとレンスンですぐさま後悔している。二人らし過ぎて少し苦笑してしまった。
「でも、アルバルスト様みたいに人か桃か分からない生物とずっと婚約したり、しかもその家の仕事を手伝ってるのに文句言われちゃうなんて絶対無理だなあって」
「……今回の場合は、お相手は決まってたでしょう?」
「でもでも~王族ってきっと厳しいマナーとか覚える事とかいっぱいあるんでしょう! 無理ですよぉ」
「レンスンは覚えるの得意じゃない?」
「……そういえばそうかも……あれ?」
真剣に悩んでいる……ヨキシャとレンスンらしい。まあでも今回のことはミラジェンダル様とミルフェリア様が大きくなった時にそんなことも言ったな、と笑い話にしていただけることに落ち着きそうだ。フィーラ王家の人達の思い出話に私やヨキシャ、レンスンが登場する面白い事件だと語り継がれるように。
そしてフォッフ公爵家だけれど、やっぱりアロウ様預かりということになってしまい、戻る前に邸宅へ挨拶へ向かうことになった。つくとかなり年配の執事がまっすぐに立っていて、アロウ様を見て素早く頭を下げる。
「お待ちしておりました、旦那様」
「……本当にいいのかな? ケインズ。私はこのアウラリスの家の方で生活していくのだけれど、どうしてもと兄上に押し切られてしまって」
「奥様とこちらへ来られるときの別荘だと思って頂ければ何の問題もございませんよ、ねえ皆さん?」
そういって執事が振り返ると、お屋敷の中にはたくさんの使用人が背筋を伸ばして立っていた。
「そうでございますとも、アルバルスト様」
「私達は貴方様を旦那様と呼ぶ日を楽しみに待っておりました」
「我々の窮状を救ってくださったのはアルバルスト様です」
「あなたのためなら……いえ、あなたと奥様のためなら我々は何だってできます」
「お世話させてください! 可愛らしい奥様を!」
駆け寄られはしなかったけれど、目の輝きと使用人の士気はとても高い……ちょっとびっくりするほどに。
「我々はアルバルスト様がフォッフ家を譲渡されるならこのままここに残りたいと国王様に願い出た者達です」
「他家への紹介状も書いてくださると言われましたが、アルバルスト様がいらっしゃるならこのままこの屋敷にとどまりたいです!」
「たまにご指示を下さるだけでも問題ありません!」
「……邪魔な親子がいなくなって仕事が捗りますわ」
ちらっと本音を漏らしたのはメイド長だろうか。少し年嵩のメイドが笑顔で言ったのを聞き逃さなかった。
「……アウリー、いいだろうか? 勿論ディーズ家を蔑ろにするわけじゃない。兄上が公爵に相応しい人物を見つけたら爵位を譲渡することになると思う……それまではこの家のことも面倒をみることになるのだが、君はそれでも許してくれるかい?」
アロウ様がディーズ家のことを放っておくわけがないことも知っている。そして長年世話をし一緒に暮らしてきた執事やメイド長をはじめとするフォッフ家の使用人達を大切に想い、使用人達からも大切に想われていることもよくわかった。私に否定する権利なんて最初からないのに、それでもその権利を私にくれようとしていることも。好きにしていいのに、とても律儀な方だ。
「私は賛成ですよ。別荘にしては豪華すぎると思いますけれど、こんなにアロウ様のことを慕ってくれる人達を捨て置いては駄目です」
「アウリー……! ありがとう」
お礼を言われるほどのことじゃないのにね! ついふふっと軽く笑みを漏らしたら、何故か使用人達から歓声が上がった。
「あ、ありがとうございます! 奥様!」
「なんて可愛らしくて素敵な奥様なんだ……!」
「奥様、奥様! 早く屋敷に入って下さい! 色々お見せしたいものがあります!」
「奥様と旦那様の部屋は掃除はしてありますが、壁紙も張り替えた方が良いでしょう!」
「カーテンも新しくしましょう! 絨毯も! あまりに趣味の悪い物はもっていってもらいましたがまだ残っていますし」
「アルバルスト様と素敵な奥様に仕えられて私達嬉しいですわぁ~!」
そのまま使用人達はこちらに駆けだして来て、彼らに囲まれて屋敷の中をあちこち案内されることになった。
「ほらほら、あなた方もいらっしゃい。あなた方の部屋も用意してありますよ」
「きちんと奥様を守るんですよ、きちんとですよ!」
「そ、そりゃ勿論ですよ!」
「当たり前じゃないですかぁ~!」
ヨキシャとレンスンの部屋もあるそうで、本当に準備が全部整った屋敷に仕上がっていた。きっとここ数日、使用人達が頑張ってくれたのだろう。
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