【本編完結済】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

文字の大きさ
112 / 134

112 幸せなこととは。

しおりを挟む
「アウラの旦那さんにも迷惑かけたな、ごめん! あのでかいおっさ……いや、お兄さんにもごめんって伝えといて!」
「キミヒト、そういうのは駄目だって王太子殿下に言われてるんじゃないのかい?」
「そうなんだけどよ~! 上手くできねえっていうかなんかムズムズして難しいんだよぉ~。ごめんな、旦那さん」

 アロウ様とキミヒトが久しぶりに遭遇した。キミヒトは相変わらずだったし、アロウ様はちょっと難しい顔をしていた。もしかしたら私よりキミヒトのことを快く思っていなかったのかもしれない……。それでも私がキミヒトのことを友達と呼んだから、相当歩み寄ってくれた気がする。

「私がアウリーの婚約者であり、近いうちに結婚し伴侶となる」
「ん? わかってっけど。ていうかみんな知ってるぜ、めっちゃ仲良いだろ」
「……分かっていれば、それでいい」
「おう! 結婚式には呼んでくれよな! 俺、頑張って広範囲祝福を覚えるから、披露させてくれよ」
「う……うむ……そう、だな」
「やっぱアウラの旦那さんは心が広いなぁ~。でかいのは体だけじゃねえんだな、すげぇぜ」

 うんうん、アロウ様は優しさも無限大の大きさだし、もう何もかも素晴らしいんだぞ! と言いたかったけれど、キミヒトに冷やかされるのもイヤだから無言で頷いておいた。

「キリアス兄上に会う事があったら、そのような態度ではなく、きちんと謝罪をして欲しい」
「頑張るよ! 俺も今思えばあれは酷かったって反省してるんだ……ホント、皆に迷惑かけたと思う。特にアウラにはさ」
「もうその事は許したし、私の元関係者が原因だから」
「俺もあの二人が正しいって信じてて、ちゃんと自分の目で見て、自分で判断できてなかった。ヤバい状態だった……俺、この世界の常識も知らなかったのにな」

 色々な言い訳はできるだろうけれど、キミヒトは自分が悪かったと認め、さらに繰り返さないように努力をしてはいるようだ……少し足りない気もするけれど……まあ、ウィルモッドがほぼつきっきりでいるので安心できる。あのくらい真面目で堅物が見張っていてくれるなら大丈夫だろう。

「ディーズ侯爵令息、アルバルスト殿下、キミヒトがお邪魔して申し訳ございません。キミヒト、行くぞ。今日はお前の好きな野営訓練だ」
「あ、ウィル! やった~キャンプだ~~」
「お気楽に考えていられるのも野営が短期間だからだ。長期間になるとそんなこと言ってられないぞ」
「そりゃそうだろうけどよ~! 俺、串に肉刺して焼いて食べたい!」
「その辺は好きにすると良い」
「やったー! じゃあな、アウラと旦那さん。呼び止めて悪かったな」
「キミヒト! そうじゃないだろう!」
「今度ちゃんとする~! じゃあな!」

 キミヒトの行儀はどうも治りそうにない……。

「アロウ様?」

 てっきり気分を損ねたかと思って、お顔を覗き込むと少し笑顔で……これはにやける、という顔だろうか。

「そうか……私とアウリーが仲が良いのは皆知っていることか~……」
「えっ……あっ、そ、そうですね……」
「嬉しいね」
「……はい」

 自分のごく親しい人達以外も私達の関係を認めてくれて、しかも祝福してくれているというのは存外嬉しいものだと知った。そして私の一番大好きな人がその祝福を同じように嬉しく感じてくれて、それをさらに喜び合える存在だということがこの上なく幸せだということを知った。

私は多分世界一幸せな人間かもしれない。

 

 
しおりを挟む
感想 188

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

分厚いメガネ令息の非日常

餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」 「シノ様……素敵!」 おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!! その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。 「ジュリーが一番素敵だよ」 「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」 「……うん。ジュリーの方が…素敵」 ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい 「先輩、私もおかしいと思います」 「だよな!」 これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

代わりはいると言われた私は出て行くと、代わりはいなかったようです

天宮有
恋愛
調合魔法を扱う私エミリーのポーションは有名で、アシェル王子との婚約が決まるほどだった。 その後、聖女キアラを婚約者にしたかったアシェルは、私に「代わりはいる」と婚約破棄を言い渡す。 元婚約者と家族が嫌になった私は、家を出ることを決意する。 代わりはいるのなら問題ないと考えていたけど、代わりはいなかったようです。

優秀な婚約者が去った後の世界

月樹《つき》
BL
公爵令嬢パトリシアは婚約者である王太子ラファエル様に会った瞬間、前世の記憶を思い出した。そして、ここが前世の自分が読んでいた小説『光溢れる国であなたと…』の世界で、自分は光の聖女と王太子ラファエルの恋を邪魔する悪役令嬢パトリシアだと…。 パトリシアは前世の知識もフル活用し、幼い頃からいつでも逃げ出せるよう腕を磨き、そして準備が整ったところでこちらから婚約破棄を告げ、母国を捨てた…。 このお話は捨てられた後の王太子ラファエルのお話です。

処理中です...