【完結】ポツン食らった悪役令息が大っきい人と幸せになる過程

鏑木 うりこ

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番外編

2 春の日の大騒ぎ

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 私がちょっと死を覚悟していると、ヨキシャとレンスンは話しながら去って行ったようで声が聞こえなくなってしまった。

「アウリーに嫌われたら私は生きていけない……でも、アウリーを置いていくなんて嫌だ。そうだ、アウリーも一緒に……ああ、アルドフェルドも置いていけないな……一緒に……」

 その前に義姉上に手紙を書いてしまおう。何せ日々の消費が激しくて例の秘薬がすぐ無くなるのだ。先日も黒い鞄を3つほど追加で送って貰った……お礼状も兼ねてはいるがもう少し送ってくれるように頼もうとしてたんだが、それも必要なくなる……。

「先立つ不孝をお許しください。私達は神の元で永遠に幸せに暮らします……置いてゆくヨキシャとレンスンのことをお願い致します……どうやらあの二人は憎からず想い合っているようなので、然るべき感じで扱ってやってください……と」

 手紙にそれを付け足して封筒に入れ、蜜蝋で封をする。そしてディーズ家の印を押した。

「この家の印を使わせて貰うのもこれが最後か……義父上には申し訳ない事をしてしまうな……義母上は嘆き悲しむだろう……メイド達も執事も……ああ、街の知り合い達も泣くかもしれない」

 それでも私はアウリーに嫌われてしまったら……一瞬考えただけで涙が封筒の上にぽとりと落ちた……。男子は相応のことがあっても泣くものではないと父上に厳しく言われ育ってきた。だからフォッフ家からの酷い扱いにも何とか耐えた……しかし、そんなものは物の数ではない。アウリーが……私のことを嫌い、私を置いてどこかへ行ってしまうのなんて……。

「耐えきれる……訳がない……ううっ……」

 世界が真っ二つに割れたとしても、私ならばアウリーと息子のアルドフェルド、そしてヨキシャとレンスンくらいは担いで生き延びるくらいの自信はある。しかし、アウリーに嫌われたら……駄目だ、もう無理だ。

「馬の準備は出来ていますか?」
「勿論ですとも。アルドフェルド様がお乗りになるのですし」

 廊下から今度はメイドの声が聞こえてきた。アルドフェルドが馬に乗る? あの子はまだ馬には乗れない……ということは馬車になるのか? やはりアウリーはアルドフェルドと馬車に乗って、私には行く先も告げずにどこかへ行ってしまうのか……? そんなのは嫌だ……絶対に嫌だ。

「早く準備しなくては」
「そうね、なにせ

 私は執務室の中、一人でその場に倒れ伏した……ああ、本当にもう駄目だ。やはり私達はもうこの現世では生きてはいけない……生まれ変わりまた恋をし、愛し合い……結婚しよう。次こそは生ある限りひと時も離れることなく幸せに暮らしてゆくのだ……。
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