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アルプラゾラム王国編
ミオリアが消えた(ミッシェル視点)
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「ミオリアが消えた?」
私は耳を疑った。今日は月に一度のミディア様とのお茶会の日だ。ミオリアとクリスを迎えにノルバスク家に訪れると家令が慌てて迎えに出てきた。
メイドが部屋に呼びにいった時はいなかったらしい。時間になったらくるだろうと思って待っていたが現れない。
クリスは使用人たちと屋敷中を探しているそうだ。門番は外には出ていないと言う。
「クリス、どうだ? 見つかったか?」
「いや、まだだ。朝食を食べて部屋に戻ったようなんだが……」
クリスは奥歯に何が挟まったような言い方だ。
「だがなんだ?」
「リーンもいないんだ」
「リーンも?」
まさか、リーンハルトが連れ去ったのか?
「とりあえず今日はお茶会は無理だ。ミディア様に連絡する」
私はミディア様に連絡をし、ことの、次第を話した。
「それじゃあ、ミオリアはそのリーンハルトって子に連れ去られたっていうの?」
「まだ詳しいことはわからないのですが、多分そうかと」
「ミオリアの意識に入って追いかけてみる?」
何? そんな事ができるのか?
「今から、アーサーをそっちにやるわ。
私も行っちゃおかな」
◆◇◆
「意識に入る? そんな事ができるのか?」
「アーサー様の魔道具だろうか? あの人は天才魔導士だからできない事なんてないだろう」
クリスと話していたら、部屋に粒子が現れ、それがだんだん形になり、ミディア様とアーサー様が現れた。アーサー様は手に大きな水晶の鏡のようなものを持っている。
「来ちゃった」
ミディア様はいたずらっこのような顔で微笑む。
「これは魔法の水晶。ミオリアの意識に入るとここに映像が映し出されるの。今朝、朝食を食べた後のミオリアの意識に入りましょう。あとでミオリアにはみんなで謝りましょうね。緊急事態だから仕方ないものね」
アーサー様は大きくて平べったい水晶を私達の前に置いた。
水晶から映像が浮かんでくる。
ミオリアだ。リーンハルトに呼び止められている。
「リーンハルトの奴、何を言っているんだ。ミオリアがはいそうですかってレミニールに戻るわけないだろう」
クリスは怒っているようだ。私も腹立たしい。ついこの間まではミオリアが望むなら公爵にも宰相にもならなくていいと言っていたのに。ミオリアの気持ちを尊重すると言っていたのに。
「あっ、連れ去ったわね。アーサー様、ミオリアがどこに連れて行かれたかわかる?」
「もちろん」
アーサー様はふんと鼻を鳴らした。
「レミニールだな。王都ではないな。モーバー領か。うん、モーバー領だな。今の映像出すよ」
水晶の映像が変わった。
ミオリアはソファーに座っている。ぐったりしているな。意識がないようだ。
「私の気持ちに答えてくれないミオリアが悪い……」
リーンハルトが独り言を言っている。画像をよく見るとミオリアの足には鎖のついた足枷がつけられている。
「あの馬鹿! 何を考えているんだ!」
クリスが怒鳴った。
「行きますか?」
アーサー様が私達の顔を見る。
「行くしかないでしょ」
ミディア様らしくない低い声だ。怒っているな。絶対怒っている。
「皆さん行きますか? 行ってミオリア嬢を連れ戻します。そうだな、ミオリア嬢はミディア様とフェノバールへ、あなた方はあの男の処理をして下さい。あの男と共にあの男の本邸に飛んで親と話を付けください。もうこのようなことはしないようにと。ミオリア嬢の目が覚めないうちにやってしまいましょうか?」
私達はミオリアが監禁されている場所に飛んだ。
私は耳を疑った。今日は月に一度のミディア様とのお茶会の日だ。ミオリアとクリスを迎えにノルバスク家に訪れると家令が慌てて迎えに出てきた。
メイドが部屋に呼びにいった時はいなかったらしい。時間になったらくるだろうと思って待っていたが現れない。
クリスは使用人たちと屋敷中を探しているそうだ。門番は外には出ていないと言う。
「クリス、どうだ? 見つかったか?」
「いや、まだだ。朝食を食べて部屋に戻ったようなんだが……」
クリスは奥歯に何が挟まったような言い方だ。
「だがなんだ?」
「リーンもいないんだ」
「リーンも?」
まさか、リーンハルトが連れ去ったのか?
「とりあえず今日はお茶会は無理だ。ミディア様に連絡する」
私はミディア様に連絡をし、ことの、次第を話した。
「それじゃあ、ミオリアはそのリーンハルトって子に連れ去られたっていうの?」
「まだ詳しいことはわからないのですが、多分そうかと」
「ミオリアの意識に入って追いかけてみる?」
何? そんな事ができるのか?
「今から、アーサーをそっちにやるわ。
私も行っちゃおかな」
◆◇◆
「意識に入る? そんな事ができるのか?」
「アーサー様の魔道具だろうか? あの人は天才魔導士だからできない事なんてないだろう」
クリスと話していたら、部屋に粒子が現れ、それがだんだん形になり、ミディア様とアーサー様が現れた。アーサー様は手に大きな水晶の鏡のようなものを持っている。
「来ちゃった」
ミディア様はいたずらっこのような顔で微笑む。
「これは魔法の水晶。ミオリアの意識に入るとここに映像が映し出されるの。今朝、朝食を食べた後のミオリアの意識に入りましょう。あとでミオリアにはみんなで謝りましょうね。緊急事態だから仕方ないものね」
アーサー様は大きくて平べったい水晶を私達の前に置いた。
水晶から映像が浮かんでくる。
ミオリアだ。リーンハルトに呼び止められている。
「リーンハルトの奴、何を言っているんだ。ミオリアがはいそうですかってレミニールに戻るわけないだろう」
クリスは怒っているようだ。私も腹立たしい。ついこの間まではミオリアが望むなら公爵にも宰相にもならなくていいと言っていたのに。ミオリアの気持ちを尊重すると言っていたのに。
「あっ、連れ去ったわね。アーサー様、ミオリアがどこに連れて行かれたかわかる?」
「もちろん」
アーサー様はふんと鼻を鳴らした。
「レミニールだな。王都ではないな。モーバー領か。うん、モーバー領だな。今の映像出すよ」
水晶の映像が変わった。
ミオリアはソファーに座っている。ぐったりしているな。意識がないようだ。
「私の気持ちに答えてくれないミオリアが悪い……」
リーンハルトが独り言を言っている。画像をよく見るとミオリアの足には鎖のついた足枷がつけられている。
「あの馬鹿! 何を考えているんだ!」
クリスが怒鳴った。
「行きますか?」
アーサー様が私達の顔を見る。
「行くしかないでしょ」
ミディア様らしくない低い声だ。怒っているな。絶対怒っている。
「皆さん行きますか? 行ってミオリア嬢を連れ戻します。そうだな、ミオリア嬢はミディア様とフェノバールへ、あなた方はあの男の処理をして下さい。あの男と共にあの男の本邸に飛んで親と話を付けください。もうこのようなことはしないようにと。ミオリア嬢の目が覚めないうちにやってしまいましょうか?」
私達はミオリアが監禁されている場所に飛んだ。
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