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八つ当たりしてしまいました
私がその場に座り込み、静かに様子をうかがっていると、神官達の間からキラキラした男性が現れた。
「聖女か? 召喚は成功したのか!」
「はい。殿下、成功いたしました。この者が聖女でございます」
誰だよ。あんた達。勝手に聖女とか言うなよ。私は心の中で悪態をつく。
「そなたが聖女か?」
キラキラ王子風の若い男は私の前に来て跪いた。
さて、どうしたものか? 聖女じゃないふりしようか。だって本当に聖女じゃないし。
「聖女? 何のことでしょう? 私は岩倉愛莉と申します。ここはどこですか?」
キラキラ王子風は困った顔をしている。
「アイリ? そなたはアイリと申すのだな。私はレオナード。この国の王太子だ。よく、我がグロースクロイツ王国へ来てくれた。礼を言う」
いやいや、よくきてくれた礼を言うって何よ?
私はこの能天気な王太子に腹が立ってきた。
「私は聖女ではありません。日本という国で生きる普通の人間です。よく来てくれたと言われますが、私に何の断りもなく。あなた方が勝手に連れてきたのではありませんか。私には私の都合があります。元の世界に戻してください」
「殿下に何を言うか! 不敬であるぞ!」
側近のような男が私に凄む。
「何が不敬なのですか? これは国がらみの誘拐です。この国は犯罪者の国なのですか? 私を元の場所に戻してください。話はそこからです。あなた達は私にこの国でこういうことをしてほしいので、この国に来てはもらえないだろうか? と打診をしてから私は連れてくるべきではなかったのでしょうか? もし、あなたが今、突然、知らない場所に連れて行かれたらどうします? 聖女だと言われ、文句を言うと不敬だと言われる。あなた方が私にしたのはそういう事です」
殺すなら殺せ。私は開き直って言ってやった。
王太子は暗い顔をした。自分のやったことがわかったようだ。馬鹿ではないみたいだな。
「申し訳ない。私はそんなこと思いもしなかった。確かにそなたにはそなたの生活があったのだな。聖女がどこから来るかだなんて思っても見なかった。ただ召喚し、我が国を助けてもらおうとそればかりだった。本当にすまない。召喚することはできるが、元の場所に戻すことはできない。だが、必ず戻す。我が国の魔導士の力を結束し、そなたを元の国に戻す。だからそれまで我が国にチカラを貸してくれないだろうか。頼むアイリ殿」
私は持っている鑑定魔法で王太子を勝手に鑑定してみた。この人は悪い人ではないようだ。
きっと、元の世界に戻ることは無理だろう。それならこの国で機嫌良く暮らすしかない。
聖女か……。
まぁ、いいか。私をこの世界で聖女にするために神様は岩倉愛莉として日本に出現させたのかもしれない。いつか会う機会があれば神様にどういうつもりだと詰め寄ってみたいものだ。
「わかりました。まずこの世界のことを学ばせて下さい。この世界を知らないと何もできません。あと、私は私に悪意を持っている人や危害を加えようとしている人のことがわかります。私を邪魔に思い、亡き者にしようとしている人がわかります。私を陥れて、亡き者にしてくださっても結構ですが、そうするとこの国はこまるのではないのでしょうか。努努忘れなきように」
あの人やあの人はそんな感じね。さらっと一斉鑑定をしてみたらそうだった。とりあえず脅しをかけておきましょうかね。
あぁ、聖女か~。面倒臭いなぁ。
仕方ない。楽しむしかないな。気持ちを切り替えてここで生きていくか。
私は立ち上がり久しぶりにカーテシーをしてみた。
「それでは皆様、よろしくお願いいたします」
「聖女か? 召喚は成功したのか!」
「はい。殿下、成功いたしました。この者が聖女でございます」
誰だよ。あんた達。勝手に聖女とか言うなよ。私は心の中で悪態をつく。
「そなたが聖女か?」
キラキラ王子風の若い男は私の前に来て跪いた。
さて、どうしたものか? 聖女じゃないふりしようか。だって本当に聖女じゃないし。
「聖女? 何のことでしょう? 私は岩倉愛莉と申します。ここはどこですか?」
キラキラ王子風は困った顔をしている。
「アイリ? そなたはアイリと申すのだな。私はレオナード。この国の王太子だ。よく、我がグロースクロイツ王国へ来てくれた。礼を言う」
いやいや、よくきてくれた礼を言うって何よ?
私はこの能天気な王太子に腹が立ってきた。
「私は聖女ではありません。日本という国で生きる普通の人間です。よく来てくれたと言われますが、私に何の断りもなく。あなた方が勝手に連れてきたのではありませんか。私には私の都合があります。元の世界に戻してください」
「殿下に何を言うか! 不敬であるぞ!」
側近のような男が私に凄む。
「何が不敬なのですか? これは国がらみの誘拐です。この国は犯罪者の国なのですか? 私を元の場所に戻してください。話はそこからです。あなた達は私にこの国でこういうことをしてほしいので、この国に来てはもらえないだろうか? と打診をしてから私は連れてくるべきではなかったのでしょうか? もし、あなたが今、突然、知らない場所に連れて行かれたらどうします? 聖女だと言われ、文句を言うと不敬だと言われる。あなた方が私にしたのはそういう事です」
殺すなら殺せ。私は開き直って言ってやった。
王太子は暗い顔をした。自分のやったことがわかったようだ。馬鹿ではないみたいだな。
「申し訳ない。私はそんなこと思いもしなかった。確かにそなたにはそなたの生活があったのだな。聖女がどこから来るかだなんて思っても見なかった。ただ召喚し、我が国を助けてもらおうとそればかりだった。本当にすまない。召喚することはできるが、元の場所に戻すことはできない。だが、必ず戻す。我が国の魔導士の力を結束し、そなたを元の国に戻す。だからそれまで我が国にチカラを貸してくれないだろうか。頼むアイリ殿」
私は持っている鑑定魔法で王太子を勝手に鑑定してみた。この人は悪い人ではないようだ。
きっと、元の世界に戻ることは無理だろう。それならこの国で機嫌良く暮らすしかない。
聖女か……。
まぁ、いいか。私をこの世界で聖女にするために神様は岩倉愛莉として日本に出現させたのかもしれない。いつか会う機会があれば神様にどういうつもりだと詰め寄ってみたいものだ。
「わかりました。まずこの世界のことを学ばせて下さい。この世界を知らないと何もできません。あと、私は私に悪意を持っている人や危害を加えようとしている人のことがわかります。私を邪魔に思い、亡き者にしようとしている人がわかります。私を陥れて、亡き者にしてくださっても結構ですが、そうするとこの国はこまるのではないのでしょうか。努努忘れなきように」
あの人やあの人はそんな感じね。さらっと一斉鑑定をしてみたらそうだった。とりあえず脅しをかけておきましょうかね。
あぁ、聖女か~。面倒臭いなぁ。
仕方ない。楽しむしかないな。気持ちを切り替えてここで生きていくか。
私は立ち上がり久しぶりにカーテシーをしてみた。
「それでは皆様、よろしくお願いいたします」
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