魅了が解けた元王太子と結婚させられてしまいました。 なんで私なの!? 勘弁してほしいわ!

金峯蓮華

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番外編

リリの婚約?(リリ視点)

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*ヴィーナの結婚式の少し前になります。


 私とヴィーナが出会ってから7年になる。

 トラノアナから戻って来たばかりの私に父母からヴィーナの友達になり、側にいて警護しろと命令を受けた。

 私はこの国の暗部を取り仕切るドラール家の娘で3歳から5年間トラノアナで鍛えられ、生き残ったので呼び戻された。
 ちなみに元々5人兄弟だったらしいが、生き残ったのはエリアス兄様と私の2人だけで対外的にドラール家はふたり兄妹ということになっている。

 任務で近づいたけど、ヴィーナはめっちゃ良い子だった。

 ともに転生者で前世の記憶があり、子供なのに大人の私達はあっという間に親友になった。

 私はドラールの家より、フェノバール家にいる時間が長い。
 それは任務もあるけど単純に楽しいからだ。
 ドラール家は殺伐としているのよね。父も母も仕事が忙しい。私達は家族、親子という感じではなく上司と部下のようだった。

 そして、フェノバール家の3男のシャルも転生者で前世で大臣だった私の下働きをしていた官僚だとわかった。
 偶然なのか必然なのかわからないが、シャルは前世同様仕事は抜群にできたので、私達はママの何気ない提案を具現化したり、自ら企画したり、フェノバール領はもちろん、国の仕事も手伝うことも増えた。

 護衛? まぁ、それなりにやってるわよ。フェノバール領は悪意のある人は入れないような結界が張り巡らされているので中にいると護衛などいらないくらい安全だから別に護衛などいらないのだ。

 ヴィーナとは一緒にお茶したり、スイーツを食べたり、おしゃべりしたりしている。

 今日もふたりでお茶している。

「リリはシャル兄様といつ結婚するの?」

 ヴィーナは可愛い顔をしてコテンと小首をかしげる。

「結婚か~、ピンとこないのよ。前世では私の部下みたいな感じだったしね」

「前世のシャル兄様ってどんな人だった?」

「そうね、ハゲでデブで脂ぎってたわね」

「中身は?中身」

「真面目で仕事は出来たわね。田村に任せておけばなんとかなるって感じだったわ。だから突然死したあと、しばらく大変だったのよ」

 そうそう、田村は仕事をかなり持っていたので本当に大変だった。

「シャル兄様、中身は今と同じなのね。優しいし、しっかりしてる」

「そうね」

「早く結婚すればいいのに。そうだ! 同じ日に合同で結婚しない?」

「しない!」

 私が速攻で拒否するとヴィーナは悲しそうな顔をした。

 シャルに恋愛感情はない。ただシャルと結婚すればフェノバール家の一員になれるし、色々な仕事ができて楽しい。もう、ドラール家に戻って諜報活動するのは嫌だ。

 でも、打算で結婚するのは不誠実だよね。

「私、フェノバール家の一員になってフェノバール商会の仕事したいの。そのためにはシャルと結婚するのがいちばん手っ取り早いんだけど、恋愛感情はないのよ。貴族なら普通だけど、ママやヴィーナを見ていると恋愛結婚にも憧れるのよね」

 私はため息をついた。

「リリは前世は恋愛結婚だったの?」

「前世? 前世は恋愛結婚じゃなかったわ。財界で力があった後援会長の息子と仕事がやりやすくなるように結婚したわ」

「愛は?」

「ないわ。でも嫌いじゃなかったし、私は仕事で家のことを疎かにしていたけど彼がちゃんとやってくれていたし、感謝してたわ」

 恋愛感情はなかったが家族として愛していた。

 ヴィーナは私の顔を見た。

「実は私も前世は政略結婚だったの。でも結婚したら凄く良い人であたりだと思ったわ。今も正直な話、リュカ様に恋愛感情があるのかどうかわからない。でも一緒にいたいと思うの」

 ラブラブだと思っていたから驚いた。


「あら、いつもながら楽しそうな女子トークね。私も混ぜてもらおかな?」

 ママが現れた。

 ママは私達のお茶会に時々参加してくれる。私達よりずっと年上なんだけど、年下みたいに思えるくらい可愛い。

「私も政略結婚だったわよ。最初はリカルド様は嫌な人だったの。今みたいじゃなかったし、サラッとしていたわね。20歳までは白い結婚だったのよ」

 白い結婚?

 あのフェノバール公爵が?

 信じられないわ。

 50を超えた今でも隙あらば盛ろうとしてるくらいの人が???

「リリ、私もリリがお嫁に来てくれるとうれしいわ。シャルがだめならジェットはどう? ヴィーナもリリがうちのリリになった方がうれしいわよね」

 ママはヴィーナを見て微笑む。可愛い奴め。

「はい。私もリリがずっとうちにいてくれると嬉しいわ。リリどちらにする?」

 どちらって? あんた達母娘は若干頭がお花畑か?

「ジェット様は浮世離れしているし、清廉潔白な方なので下世話な私では無理でしょう」

「じゃあ決まり。シャルでいいわね」

「嬉しい。結婚式は合同で……」

「それはない!」

 それから少しして私とシャルの婚約が決まった。

 この家ではシャルに発言権はないのだろうか?
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