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番外編 アマーリエの恋
フリューゲル王国に留学します
我が国、ベルメール王国は大丈夫なのだろうか? 国王であるお父様は呑気な平和主義者で我が国に脅威なんてあるはずがないと思っている。
我が国はこれといった特産物もなく、ほぼ地産地消している。鎖国をしているわけではないが、他国から見ると全く旨味がないのだろう、我が国に入ってくる外国人はほとんどいない。我が国から他国に出る者もほとんどいない。
私はこの国の王女。弟がふたりいる。いちばん身軽なので、あちこちの国に短期留学をしている。そこで我が国の危機管理能力の無さを知り驚愕した。
我が国に魔法を取り入れるために、私は魔法大国のフリューゲル王国に留学することになった。我が国の貴族学園はつまらない。井の中の蛙養成所だ。良き妻、良き母になんて教育は時代遅れも甚だしい。我が国の首脳陣はそんな貴族学園を卒業してそのまま世襲で政をしているやつらばかりだ。
国を嘆いているのは外務大臣くらいだが、国王と宰相に危機感がないので、いくら外務大臣が苦言を呈しても馬耳東風なのだ。
「姫様、フリューゲル王国には魔法を学びに行かれるのですか?」
外務大臣が私のそばに来て尋ねる。
「ええ、我が国にもいずれ魔法省をと思っているの。我が国は魔法のある国なのにほとんど使えていないでしょう? もったいないわ」
外務大臣は頷く。
「魔法は昔、魅了の魔法で当時の王太子が魅了されてしまった時に、魅了の魔法を封印し、他の魔法もあまり使わないようになってしまいましたからね。今は生活魔法くらいです。せっかく魔法を使える人が多い国なのに勿体無い気がします」
「そうね。以前フリューゲル王国に滞在した時に同じ魔法を使える国とは思えなかったもの。他国へ行くと我が国のお気楽さに驚くわ。我が国はこのままじゃいつか痛い目に遭うような気しかしないのよ。だから学んでくるわ」
私は王女だが、いずれは王家から出る。弟達は今のところ能力は微妙だ。
だから私が嫁ぐまでに私は私のできることをしなければならない。
出発の日、仲の良いふたりが見送りに来てくれた。
「アマーリエ様、フリューゲル王国のお話楽しみにしておりますわ」
幼馴染で乗馬の会で一緒に訓練しているシルフィア・ジェイドロフト。侯爵家の娘だ。しっかり者で頭もよく、度胸もある。男だったら弟の側近にしたいくらいのキレ者だ。
「シル、あなたにもぜひ外国に行って学んできてほしいわ。あんなぱっとしない男と結婚して公爵夫人になってしまうなんて惜しい。我が国のためにあんな男捨ててよ」
冗談めかして本音を言う。シルの婚約者はとにかくぱっとしない男なのだ。
「アマーリエ様、エミール様はああ見えてなかなか良いところもあるのですよ。私は小さい頃から公爵家で次期公爵夫人として教育を受けております。余程のことがない限り婚約破棄は難しいかと。でも外国に行くのはちょって魅力的ですわね。義父になるエクセグラン公爵に相談してみますわ」
「アマーリエ様、シルはエミール様のご両親から溺愛されております。公爵夫妻もどちらからと言えばエミール様よりシルの方を手放さないと思いますわ。すんなり外国に出してくださるかしら?」
ふふふと笑っているのはデルフィーヌ・トイフェル。トイフェル公爵家の長女で我が弟、エーベルハルトの婚約者だ。
デルとも長い付き合いになる。小さい頃から王宮で王子妃教育、王太子妃教育と励んでいる。弟のエーベルハルトは顔だけのボンクラな男なのでデルに寄せられる期待はなかなかすごい。
ふたりとも未来の王妃、侯爵夫人としと我がベルメール国を引っ張ってもらわねばならない。
いつまでも男だけ、世襲だけで国を動かしていては我が国はそのうち終わるだろう。
私が王族でいるうちに改革できそうなところは改革してやる。魔法大国のフリューゲル王国に留学して、学ぶのはその第一歩なのだ。
「デルも外国に出てほしいわ。とにかくこの国と他の国がどれほど違うが見てほしいのよ」
「エーベル様とご一緒に留学を願い出てみようかしら?」
「エーベルはダメよ。外には出せないわ」
本当に我が弟ながらお粗末な奴だ。勉強嫌いでなんでもデルに押し付けている。
「とにかく行ってくるわ。なんでもあの国には転移魔法というのがあるらしいの。とにかくそれを1番最初に覚えて、こことフリューゲル王国を一瞬で行き来できるようになるわ」
「そんな魔法があるのですね。便利ですわ。ぜひ私も使ってみたいです。アマーリエ様、フリューゲル王国で学んだら必ず教えてくださいませ」
勉強好きなシルは興味津々だ。
「ええもちろんよ。シルは私が戻るまで回復魔法をもっと使えるように自主トレしておいてよ」
「はい。頑張ります」
シルは光属性の魔力がある。今はまだ疲労回復程度の魔法しか使えないが、訓練をすれば絶対聖女くらいの魔法は使えるようになるはずだ。
「ふたりとも私がいない間のことは任せたわ。じゃあ行ってくるわね」
私はふたりに別れを告げ馬車に乗り込んだ。
フリューゲル王国まではかなり遠い。途中にある友好国のタールベルク王国にフリューゲル王国からの迎えが来ているそうで、そこからは転移魔法で入国するそうだ。初めての転移魔法にドキドキワクワクする。
魔法大国と言われるフリューゲル王国。どんな生活が待っているのだろう。もう楽しみしかないわ。
我が国はこれといった特産物もなく、ほぼ地産地消している。鎖国をしているわけではないが、他国から見ると全く旨味がないのだろう、我が国に入ってくる外国人はほとんどいない。我が国から他国に出る者もほとんどいない。
私はこの国の王女。弟がふたりいる。いちばん身軽なので、あちこちの国に短期留学をしている。そこで我が国の危機管理能力の無さを知り驚愕した。
我が国に魔法を取り入れるために、私は魔法大国のフリューゲル王国に留学することになった。我が国の貴族学園はつまらない。井の中の蛙養成所だ。良き妻、良き母になんて教育は時代遅れも甚だしい。我が国の首脳陣はそんな貴族学園を卒業してそのまま世襲で政をしているやつらばかりだ。
国を嘆いているのは外務大臣くらいだが、国王と宰相に危機感がないので、いくら外務大臣が苦言を呈しても馬耳東風なのだ。
「姫様、フリューゲル王国には魔法を学びに行かれるのですか?」
外務大臣が私のそばに来て尋ねる。
「ええ、我が国にもいずれ魔法省をと思っているの。我が国は魔法のある国なのにほとんど使えていないでしょう? もったいないわ」
外務大臣は頷く。
「魔法は昔、魅了の魔法で当時の王太子が魅了されてしまった時に、魅了の魔法を封印し、他の魔法もあまり使わないようになってしまいましたからね。今は生活魔法くらいです。せっかく魔法を使える人が多い国なのに勿体無い気がします」
「そうね。以前フリューゲル王国に滞在した時に同じ魔法を使える国とは思えなかったもの。他国へ行くと我が国のお気楽さに驚くわ。我が国はこのままじゃいつか痛い目に遭うような気しかしないのよ。だから学んでくるわ」
私は王女だが、いずれは王家から出る。弟達は今のところ能力は微妙だ。
だから私が嫁ぐまでに私は私のできることをしなければならない。
出発の日、仲の良いふたりが見送りに来てくれた。
「アマーリエ様、フリューゲル王国のお話楽しみにしておりますわ」
幼馴染で乗馬の会で一緒に訓練しているシルフィア・ジェイドロフト。侯爵家の娘だ。しっかり者で頭もよく、度胸もある。男だったら弟の側近にしたいくらいのキレ者だ。
「シル、あなたにもぜひ外国に行って学んできてほしいわ。あんなぱっとしない男と結婚して公爵夫人になってしまうなんて惜しい。我が国のためにあんな男捨ててよ」
冗談めかして本音を言う。シルの婚約者はとにかくぱっとしない男なのだ。
「アマーリエ様、エミール様はああ見えてなかなか良いところもあるのですよ。私は小さい頃から公爵家で次期公爵夫人として教育を受けております。余程のことがない限り婚約破棄は難しいかと。でも外国に行くのはちょって魅力的ですわね。義父になるエクセグラン公爵に相談してみますわ」
「アマーリエ様、シルはエミール様のご両親から溺愛されております。公爵夫妻もどちらからと言えばエミール様よりシルの方を手放さないと思いますわ。すんなり外国に出してくださるかしら?」
ふふふと笑っているのはデルフィーヌ・トイフェル。トイフェル公爵家の長女で我が弟、エーベルハルトの婚約者だ。
デルとも長い付き合いになる。小さい頃から王宮で王子妃教育、王太子妃教育と励んでいる。弟のエーベルハルトは顔だけのボンクラな男なのでデルに寄せられる期待はなかなかすごい。
ふたりとも未来の王妃、侯爵夫人としと我がベルメール国を引っ張ってもらわねばならない。
いつまでも男だけ、世襲だけで国を動かしていては我が国はそのうち終わるだろう。
私が王族でいるうちに改革できそうなところは改革してやる。魔法大国のフリューゲル王国に留学して、学ぶのはその第一歩なのだ。
「デルも外国に出てほしいわ。とにかくこの国と他の国がどれほど違うが見てほしいのよ」
「エーベル様とご一緒に留学を願い出てみようかしら?」
「エーベルはダメよ。外には出せないわ」
本当に我が弟ながらお粗末な奴だ。勉強嫌いでなんでもデルに押し付けている。
「とにかく行ってくるわ。なんでもあの国には転移魔法というのがあるらしいの。とにかくそれを1番最初に覚えて、こことフリューゲル王国を一瞬で行き来できるようになるわ」
「そんな魔法があるのですね。便利ですわ。ぜひ私も使ってみたいです。アマーリエ様、フリューゲル王国で学んだら必ず教えてくださいませ」
勉強好きなシルは興味津々だ。
「ええもちろんよ。シルは私が戻るまで回復魔法をもっと使えるように自主トレしておいてよ」
「はい。頑張ります」
シルは光属性の魔力がある。今はまだ疲労回復程度の魔法しか使えないが、訓練をすれば絶対聖女くらいの魔法は使えるようになるはずだ。
「ふたりとも私がいない間のことは任せたわ。じゃあ行ってくるわね」
私はふたりに別れを告げ馬車に乗り込んだ。
フリューゲル王国まではかなり遠い。途中にある友好国のタールベルク王国にフリューゲル王国からの迎えが来ているそうで、そこからは転移魔法で入国するそうだ。初めての転移魔法にドキドキワクワクする。
魔法大国と言われるフリューゲル王国。どんな生活が待っているのだろう。もう楽しみしかないわ。
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