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結婚式がはじまりました
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結婚式はジュリエッタ様の前世の日本で行われているやり方を取り入れた。
ジュリエッタ様がランソプラズム国やスパリーナ国で流行らせたいらしい。それを企画するブライダルプランナーという職業を作って女性の働く場を作りたいそうだ。
私は父と一緒に入場し、祭壇の前に立つジークハルト様の元に行く。
そこで父が私をジークハルト様の手に渡して式が始まるそうです。
「レティ、やっぱり結婚は嫌だな。だってまだ15歳だよ。もうちょっとゆっくりでもいいよね。それで、しばらくランソプラズム国に戻ってうちでゆっくりして、それからでもいいんじゃないか~。レティを留学なんかさせなきゃよかったな~」
父はグズグス言っている。
「お父様、決まったものは仕方ないではありませんか。それに瞬間移動魔法でちょこちょこ戻りますわ。だから泣かないで下さいませ」
私は父を慰める。
「入場してしまったらレティを手放さなきゃならない。だから入場しない」
父はゴネ出した。
「クロムス侯爵、いい加減にしないとジークに殺されますよ」
リーナ様が怖い事を言う。リーナ様たち聖女軍団は私と父の後ろから歌を歌いながら入場する為待機していた。
「それに女神スパリーナも怒りますよ」
気の弱い父は気の強いリーナ様に睨まれしゅんとなった。
「わかりましたよ。でも、レティは結婚しても私の娘だ。いつでもランソプラズム国の屋敷に戻ってきていいんだよ。いくら女神スパリーナの神子だとしても私の娘なんだからね」
父はそう言うと胸を張った。
「お父様、ありがとうございます。私はお父様とお母様の娘です。ランソプラズム国のお屋敷にも顔を出しますわ」
父はそう言う私の手を取り大聖堂の扉をあけた。
父と並び祭壇までの通路に敷かれた赤い絨毯を歩く。
ジュリエッタ様曰くそれはヴァージンロードというらしい。
祭壇の前で父と私を見ているジーク様と大司祭様。
あれっ? ジーク様固まってる? ジーク様でも結婚式は緊張するのかしら?
父は私の手を離し、ジーク様に渡す。
「こら! ジーク! しっかりしろ! いくらレティが可愛いからって見惚れてすぎだ。そんなに呆けていてはレティはやらんぞ!」
父は小声でジークハルト様に言っている。
えっ? 私に見惚れてる? 父は勘違いしているのだろう。私になんか見惚れてる訳がない。
「もう、お父様、恥ずかしいです。私になど見惚れてる訳がないじゃないですか」
私は父に小さく文句を言った。
「レティ……」
ジークハルト様が私の手を取った。なんだか機嫌が悪いようだ。怖い顔をして何も話してくれない。
父が下がり、式がはじまる。
大司教様が私達に問う。
「ジークハルト・ヴァン・スパリーナ、あなたはレティシア・クロムスと結婚し、夫婦になろうとしています。あなたは病める時も健やかなる時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め、助け、その命の限り、固く節操を守ることを誓いますか?」
「はい。誓います」
ジークハルト様は怖い顔をしたまま私の顔を見ようとしないが、はっきり誓いますと答えた。
「レティシア・クロムス、あなたはジークハルト・ヴァン・スパリーナと結婚し、夫婦になろうとしています。あなたは病める時も健やかなる時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め、助け、その命の限り、固く節操を守ることを誓いますか?」
「はい。誓います」
私も誓った。
「それでは誓いの口づけを」
えっ? 誓いの口づけ? するの? こんないっぱい人がいるのに。
私がまごまごしていたら、ぎゅっと抱きしめられて、こってりした口づけをされた。
「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれた このお二人を神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。 女神スパリーナよ、今日結婚の誓いをかわした二人の上に、満ちあふれる祝福を注いでください。
おめでとうジークハルト、おめでとうレティシア。ふたりは女神スパリーナの前で夫婦の違いをたて、承認されました。幾久しくお幸せに」
大聖堂に大司教様の声が響く。
リーナ様率いる聖女軍団の歌が鳴り響く。天井から七色の光が降り注ぐ。
ランソプラズム国の救いの神子のヴィクトリア様も祝福の魔法でお祝いしてくれている。ピンクと白とゴールドの花びらが舞う。
結婚式って素敵だ。私は感動で心も、身体も震えが止まらない。
なのに、隣に立つジークハルト様はとても不機嫌な顔をしている。
大聖堂から出ると、みんなが集まってくる。
口々におめでとうと祝福してくれる。
「ありがとうございます……えっ?」
私達は瞬間移動魔法でその場から消えた。
「ジーク様? どうして?」
「レティが可愛すぎる。大聖堂の入り口から義父上と入ってきた時に瞬間移動しようかと思ったけど、レティが怒るだろうから我慢した。こんな可愛いレティを誰にも見せたくない」
ジーク様、本当に困った人だわ。
――☆―――☆―――☆―――☆― 「あれ、消えた」
「消えたな。ジーク我慢できなかったな」
「やっぱり最強の狭量だな」
「レティシア様可哀想」
「リーナ、あいつらしばらく部屋から出てこないだろうな」
「レティ大丈夫かしら? あの部屋に体力増強魔法と回復魔法かけてあげなきゃだめね」
「ジークには体力減退魔法だな」
突然消えた新郎新婦に色んな声が飛んでいたことをふたりは知らない。
次回最終話です。そのあと番外編がひとつでおしまいになります。
今夜で終了予定です。
皆様、もう少しお付き合いよろしくお願いします。
ジュリエッタ様がランソプラズム国やスパリーナ国で流行らせたいらしい。それを企画するブライダルプランナーという職業を作って女性の働く場を作りたいそうだ。
私は父と一緒に入場し、祭壇の前に立つジークハルト様の元に行く。
そこで父が私をジークハルト様の手に渡して式が始まるそうです。
「レティ、やっぱり結婚は嫌だな。だってまだ15歳だよ。もうちょっとゆっくりでもいいよね。それで、しばらくランソプラズム国に戻ってうちでゆっくりして、それからでもいいんじゃないか~。レティを留学なんかさせなきゃよかったな~」
父はグズグス言っている。
「お父様、決まったものは仕方ないではありませんか。それに瞬間移動魔法でちょこちょこ戻りますわ。だから泣かないで下さいませ」
私は父を慰める。
「入場してしまったらレティを手放さなきゃならない。だから入場しない」
父はゴネ出した。
「クロムス侯爵、いい加減にしないとジークに殺されますよ」
リーナ様が怖い事を言う。リーナ様たち聖女軍団は私と父の後ろから歌を歌いながら入場する為待機していた。
「それに女神スパリーナも怒りますよ」
気の弱い父は気の強いリーナ様に睨まれしゅんとなった。
「わかりましたよ。でも、レティは結婚しても私の娘だ。いつでもランソプラズム国の屋敷に戻ってきていいんだよ。いくら女神スパリーナの神子だとしても私の娘なんだからね」
父はそう言うと胸を張った。
「お父様、ありがとうございます。私はお父様とお母様の娘です。ランソプラズム国のお屋敷にも顔を出しますわ」
父はそう言う私の手を取り大聖堂の扉をあけた。
父と並び祭壇までの通路に敷かれた赤い絨毯を歩く。
ジュリエッタ様曰くそれはヴァージンロードというらしい。
祭壇の前で父と私を見ているジーク様と大司祭様。
あれっ? ジーク様固まってる? ジーク様でも結婚式は緊張するのかしら?
父は私の手を離し、ジーク様に渡す。
「こら! ジーク! しっかりしろ! いくらレティが可愛いからって見惚れてすぎだ。そんなに呆けていてはレティはやらんぞ!」
父は小声でジークハルト様に言っている。
えっ? 私に見惚れてる? 父は勘違いしているのだろう。私になんか見惚れてる訳がない。
「もう、お父様、恥ずかしいです。私になど見惚れてる訳がないじゃないですか」
私は父に小さく文句を言った。
「レティ……」
ジークハルト様が私の手を取った。なんだか機嫌が悪いようだ。怖い顔をして何も話してくれない。
父が下がり、式がはじまる。
大司教様が私達に問う。
「ジークハルト・ヴァン・スパリーナ、あなたはレティシア・クロムスと結婚し、夫婦になろうとしています。あなたは病める時も健やかなる時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め、助け、その命の限り、固く節操を守ることを誓いますか?」
「はい。誓います」
ジークハルト様は怖い顔をしたまま私の顔を見ようとしないが、はっきり誓いますと答えた。
「レティシア・クロムス、あなたはジークハルト・ヴァン・スパリーナと結婚し、夫婦になろうとしています。あなたは病める時も健やかなる時も、富める時も貧しい時も、これを愛し、敬い、慰め、助け、その命の限り、固く節操を守ることを誓いますか?」
「はい。誓います」
私も誓った。
「それでは誓いの口づけを」
えっ? 誓いの口づけ? するの? こんないっぱい人がいるのに。
私がまごまごしていたら、ぎゅっと抱きしめられて、こってりした口づけをされた。
「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれた このお二人を神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。 女神スパリーナよ、今日結婚の誓いをかわした二人の上に、満ちあふれる祝福を注いでください。
おめでとうジークハルト、おめでとうレティシア。ふたりは女神スパリーナの前で夫婦の違いをたて、承認されました。幾久しくお幸せに」
大聖堂に大司教様の声が響く。
リーナ様率いる聖女軍団の歌が鳴り響く。天井から七色の光が降り注ぐ。
ランソプラズム国の救いの神子のヴィクトリア様も祝福の魔法でお祝いしてくれている。ピンクと白とゴールドの花びらが舞う。
結婚式って素敵だ。私は感動で心も、身体も震えが止まらない。
なのに、隣に立つジークハルト様はとても不機嫌な顔をしている。
大聖堂から出ると、みんなが集まってくる。
口々におめでとうと祝福してくれる。
「ありがとうございます……えっ?」
私達は瞬間移動魔法でその場から消えた。
「ジーク様? どうして?」
「レティが可愛すぎる。大聖堂の入り口から義父上と入ってきた時に瞬間移動しようかと思ったけど、レティが怒るだろうから我慢した。こんな可愛いレティを誰にも見せたくない」
ジーク様、本当に困った人だわ。
――☆―――☆―――☆―――☆― 「あれ、消えた」
「消えたな。ジーク我慢できなかったな」
「やっぱり最強の狭量だな」
「レティシア様可哀想」
「リーナ、あいつらしばらく部屋から出てこないだろうな」
「レティ大丈夫かしら? あの部屋に体力増強魔法と回復魔法かけてあげなきゃだめね」
「ジークには体力減退魔法だな」
突然消えた新郎新婦に色んな声が飛んでいたことをふたりは知らない。
次回最終話です。そのあと番外編がひとつでおしまいになります。
今夜で終了予定です。
皆様、もう少しお付き合いよろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
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