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番外編
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レティシアとジークハルトが結婚して1年弱、初めての子供が産まれた頃のお話です。相変わらずのジークハルトと周りの人達に囲まれて幸せなレティシアの日々を楽しんでくださいませ。
ー♡ー♡ー♡ー♡ー♡ー♡ー♡ー
私は結婚してすぐに妊娠した。
そりゃするだろうと周りの人達は納得していた。
「子供が男ならフランの側近、女なら妃にする」
なぜかユアン殿下が宣言している。
「それはいいですわね。レティシア様とジーク様の子供なら安心ですし、スパリーナ国も安泰ですわ」
エリーゼ様、何が安泰なんだ?
私はジークハルト様の顔を見る。
「子供のことは子供が決めるだろう」
「相変わらずだな。子供よりレティシアか? 子供ができて顔を見たらレティシアより愛しくなるかもしれないぞ」
「それはない」
ジークハルト様の答えにユアン殿下が笑った。
「レティシアおめでとう。男の子と女の子よ。男の子はエドワード、女の子はクラウディアと名づけなさい。
クラウディアは私の神子です。スパリーナ国はまだまだ繁栄するわね。
護衛騎士は先に産み出しているのですぐに出会うでしょう。クラウディアを見たら求婚してくると思うわ」
私が陣痛で苦しんでいる時に女神スパリーナが現れた。
私を抱きしめて頭を撫でてくれると、陣痛の痛みがスーッとひいた。
「おめでとうございます。双子のお子様ですよ。男の子と女の子です」
男の子はエドワード、女の子はクラウディアと女神スパリーナの言うとおりに名づけた。
私が女神スパリーナからご神託を受けたのと同じくらいの時間に私に近しい人達もその声を聞いたそうで、みんな双子でエドワードとクラウディア、クラウディアは女神スパリーナの神子だとみんな知っていた。
「レティ、ありがとう。よく頑張ったな。愛してる」
ジークハルト様は私を労ってくれたが、なぜか思いっきり濃い口づけをくれた。
産みたてほやほやで疲れてるので、できればお手柔らかにお願いしたい。
ランソプラズム国のジークハルト様の実のご両親と私の両親、アラン様、リーナ様の6人のジージ、バーバ達も孫の誕生に大喜びだ。
リンダは乳母となり、私と一緒に赤ちゃん達の世話をしてくれている。
ふたりが生まれてからひと月くらい経ち、私の身体も元に戻ってきたので、ユアン殿下とエリーゼ様がフラン殿下を連れてやってきた。
「くらうでぃあじょう。
ぼくはあなたのきしです。
いっしょう、このいのちをかけてあなたをあいし、まもることをすぱりーなのなと、めがみすぱりーなにちかいます。
ぼくとけっこんしてください」
フラン殿下が生まれたばかりのクラウディアに求婚している。
「まぁ、誰かを見るようだわ」
「ほんとね。あの時を思い出すわ」
ランソプラズム国に帰らず、我が家で孫を見ているバーバ達が苦笑している。
「フランはクラウディアの騎士なのね。
女神スパリーナは『護衛騎士は先に産み出しているのですぐにわかる』と言っていたけどフランのことだったのね」
リーナバーバも微笑んでいる。
「クラウディアが女神スパリーナの神子でフランがその護衛騎士なら結婚させるしかないな。
スパリーナ国はまだまだ繁栄しそうだ。ジーク、それでいいな」
「女神スパリーナが決めたのなら問題ありません。仰せのままに」
ユアン殿下に言われ、ジークハルト様が答えた。
「ジークは娘が産まれたらメロメロに溺愛するかと思ったが、娘よりレティシアなのだな」
アラン様は笑う。
「お前と同じだな。ジークもお前も妻が幸せならOKだろう。
娘に執着はないようだな。しかし、俺は違うぞ! クラウディアは俺にとっても可愛い孫だ。
フランがつまらない男だったなら、いくら女神スパリーナの神託でもクラウディアはやらん。
フラン! お前が俺に認められるくらいの力をつけたらクラウディアと結婚させてやる」
アラン様は鼻息が荒い。
どうやらアランジージはクラウディアを溺愛しているようだ。
「はい! おおおじうえにみとめていただけるようにしょうじんいたします」
フラン殿下もやる気満々だ。
これからアラン様とフラン殿下の特訓が始まるみたいだ。
私はそろそろ寝ようかとベッドに入って横になった。ジーク様はいつものように隣で本を読んでいる。
妊娠中は私を安心させてくれるために、眠る時はずっと抱きしめてくれていた。
「ジーク様、クラウディアとフラン殿下のことよかったのですか?」
私はジークハルト様に聞いてみた。
「私は構わない。まぁ、ふたりが自分の意思で決めればいい」
女の子が生まれたら溺愛すると思っていたのだが、まったくそんな感じはない。
「私、ジーク様は女の子が生まれたら溺愛するとばかり思っておりましたのに、そんなことはないようですわね」
「どうしてそんな事を思ったんだ? 娘は娘だ。愛してはいるが、レティとは愛の種類が違う。私が命をかけて愛しているのはレティだけだ。子供は自分で愛するものを見つければいい」
ジークハルト様はそう言って私に口づける。
「妊娠中はあんまり可愛がれなかったからな。これからはその時の分も可愛いがらせてくれ」
え~っと、R18じゃないので、今ここでそれはダメです。
産んでお腹が軽くなったのに、その調子ではまたすぐにお腹が大きくなってしまいそうで怖いです。
その後も濃い夜は続き、6人の子持ちになることをこの時の私はまだ知らなかった。
騎士の体力を舐めてはいけません。
〈了〉
皆様、やっと完結いたしました。
お付き合いいただきましてありがとうございます。
なんとか納得のできる作品になりました。
はじめての投稿で色々ありましたが、皆様のおかげでなんとか完結できました。
本当にありがとうございました。
“「真実の愛」を上書きします”の連載をはじめました。
また、読んでいただけると嬉しいです。
ー♡ー♡ー♡ー♡ー♡ー♡ー♡ー
私は結婚してすぐに妊娠した。
そりゃするだろうと周りの人達は納得していた。
「子供が男ならフランの側近、女なら妃にする」
なぜかユアン殿下が宣言している。
「それはいいですわね。レティシア様とジーク様の子供なら安心ですし、スパリーナ国も安泰ですわ」
エリーゼ様、何が安泰なんだ?
私はジークハルト様の顔を見る。
「子供のことは子供が決めるだろう」
「相変わらずだな。子供よりレティシアか? 子供ができて顔を見たらレティシアより愛しくなるかもしれないぞ」
「それはない」
ジークハルト様の答えにユアン殿下が笑った。
「レティシアおめでとう。男の子と女の子よ。男の子はエドワード、女の子はクラウディアと名づけなさい。
クラウディアは私の神子です。スパリーナ国はまだまだ繁栄するわね。
護衛騎士は先に産み出しているのですぐに出会うでしょう。クラウディアを見たら求婚してくると思うわ」
私が陣痛で苦しんでいる時に女神スパリーナが現れた。
私を抱きしめて頭を撫でてくれると、陣痛の痛みがスーッとひいた。
「おめでとうございます。双子のお子様ですよ。男の子と女の子です」
男の子はエドワード、女の子はクラウディアと女神スパリーナの言うとおりに名づけた。
私が女神スパリーナからご神託を受けたのと同じくらいの時間に私に近しい人達もその声を聞いたそうで、みんな双子でエドワードとクラウディア、クラウディアは女神スパリーナの神子だとみんな知っていた。
「レティ、ありがとう。よく頑張ったな。愛してる」
ジークハルト様は私を労ってくれたが、なぜか思いっきり濃い口づけをくれた。
産みたてほやほやで疲れてるので、できればお手柔らかにお願いしたい。
ランソプラズム国のジークハルト様の実のご両親と私の両親、アラン様、リーナ様の6人のジージ、バーバ達も孫の誕生に大喜びだ。
リンダは乳母となり、私と一緒に赤ちゃん達の世話をしてくれている。
ふたりが生まれてからひと月くらい経ち、私の身体も元に戻ってきたので、ユアン殿下とエリーゼ様がフラン殿下を連れてやってきた。
「くらうでぃあじょう。
ぼくはあなたのきしです。
いっしょう、このいのちをかけてあなたをあいし、まもることをすぱりーなのなと、めがみすぱりーなにちかいます。
ぼくとけっこんしてください」
フラン殿下が生まれたばかりのクラウディアに求婚している。
「まぁ、誰かを見るようだわ」
「ほんとね。あの時を思い出すわ」
ランソプラズム国に帰らず、我が家で孫を見ているバーバ達が苦笑している。
「フランはクラウディアの騎士なのね。
女神スパリーナは『護衛騎士は先に産み出しているのですぐにわかる』と言っていたけどフランのことだったのね」
リーナバーバも微笑んでいる。
「クラウディアが女神スパリーナの神子でフランがその護衛騎士なら結婚させるしかないな。
スパリーナ国はまだまだ繁栄しそうだ。ジーク、それでいいな」
「女神スパリーナが決めたのなら問題ありません。仰せのままに」
ユアン殿下に言われ、ジークハルト様が答えた。
「ジークは娘が産まれたらメロメロに溺愛するかと思ったが、娘よりレティシアなのだな」
アラン様は笑う。
「お前と同じだな。ジークもお前も妻が幸せならOKだろう。
娘に執着はないようだな。しかし、俺は違うぞ! クラウディアは俺にとっても可愛い孫だ。
フランがつまらない男だったなら、いくら女神スパリーナの神託でもクラウディアはやらん。
フラン! お前が俺に認められるくらいの力をつけたらクラウディアと結婚させてやる」
アラン様は鼻息が荒い。
どうやらアランジージはクラウディアを溺愛しているようだ。
「はい! おおおじうえにみとめていただけるようにしょうじんいたします」
フラン殿下もやる気満々だ。
これからアラン様とフラン殿下の特訓が始まるみたいだ。
私はそろそろ寝ようかとベッドに入って横になった。ジーク様はいつものように隣で本を読んでいる。
妊娠中は私を安心させてくれるために、眠る時はずっと抱きしめてくれていた。
「ジーク様、クラウディアとフラン殿下のことよかったのですか?」
私はジークハルト様に聞いてみた。
「私は構わない。まぁ、ふたりが自分の意思で決めればいい」
女の子が生まれたら溺愛すると思っていたのだが、まったくそんな感じはない。
「私、ジーク様は女の子が生まれたら溺愛するとばかり思っておりましたのに、そんなことはないようですわね」
「どうしてそんな事を思ったんだ? 娘は娘だ。愛してはいるが、レティとは愛の種類が違う。私が命をかけて愛しているのはレティだけだ。子供は自分で愛するものを見つければいい」
ジークハルト様はそう言って私に口づける。
「妊娠中はあんまり可愛がれなかったからな。これからはその時の分も可愛いがらせてくれ」
え~っと、R18じゃないので、今ここでそれはダメです。
産んでお腹が軽くなったのに、その調子ではまたすぐにお腹が大きくなってしまいそうで怖いです。
その後も濃い夜は続き、6人の子持ちになることをこの時の私はまだ知らなかった。
騎士の体力を舐めてはいけません。
〈了〉
皆様、やっと完結いたしました。
お付き合いいただきましてありがとうございます。
なんとか納得のできる作品になりました。
はじめての投稿で色々ありましたが、皆様のおかげでなんとか完結できました。
本当にありがとうございました。
“「真実の愛」を上書きします”の連載をはじめました。
また、読んでいただけると嬉しいです。
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みんなの感想(9件)
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小さいうちから『ジークハルトは嫌だ』とか結婚したくないって言えばいいのに。冤罪で処刑された宰相とか前にしても『今回は違いますように』と思うだけ。
なんとも他力本願でなんとも無責任な主人公ですね…。
感想ありがとうございます。他の作品の主人公は自らどんどん動くタイプが多いですが、レティシアは基本受身です。まぁ、たまにはそんな主人公もおります。
まだ5ページしか読んでないのですけど面白い予感しかしないし楽しんでます!
がひとつだけ(個人的にですよ?)違和感が尋常じゃないです。
だって『神をも許さない!(怒)』なんですよね?婚約者だったとかは おいといて。
自分殺した人の膝の上で呑気にお菓子とか あ り え な い。ギャン泣き案件では?
3才でもう話せますよね?一切拒否感無しで?えー?
そこは普通 恐怖におののき震えてもいいのではないでしょうか?
読者的には顔出すたびに震えて倒れてほしい(すみません)毎回「おじさん きもいー」とかw
そこから どーにか色々あって、なら理解できるんですけど・・・・
あぁ、もしかして 殺されても一切微塵も憎んですらいない(心も)聖女的なアレですか?
殺されても愛していた的な?
なんか文句つけてる風ですみません。でも作者のほかの作品とかも大好きです。ありがとうございます。
感想ありがとうございます。
これから出てくると思うのですが、レティシアはジークハルトに殺されたのはわかっているのですが、あまりに剣さばきが早すぎて斬られた自覚があまりないのです。なのでジークハルトよりも運命をいじった神に怒りがいってしまったようです。ジークハルトのことは好きでも嫌いでもなく普通でそれほど関心がなかったからかもです。ジークハルトとレティシアの温度差も楽しんでもらえると嬉しいです。
面白かったです。
ジークハルトに関しては、『婚約者を溺愛…溺愛…で済む…のか…?』と、時折『溺愛』の在り方に疑問が生じてしまいましたが(笑)。
(溺愛の上位互換の単語が思い浮かばなかったので、溺愛でいい…のか…と納得(?))
娘(レティシアに似ている)を溺愛しなかったのはちょっと意外でしたが、今後の恋人や結婚の事を考えると良かったと言えますね。
ちょっと気になった点が。
24話目 新しい魔法(中盤)
『〜もう一人いた救いの神子は免罪で処刑〜』
免罪なのに、処刑されてしまってます💦免罪ではなく、冤罪では無いかと。
62話目どこにも行かせない(ジークハルト視点)(中盤手前)
『女神スパリーナは救いの神子の鳩尾に蹴りを入れた』
神子が被害者に💦そこは是非神に鉄槌を…!
ありがとうございます。私にとって最初の作品ですごく思い入れがあるので感想をもらえてすごくうれしいです。
誤字脱字お恥ずかしいです。修正しました。
私の中ではまだジークを超えるヒーローは書けていないので、そんなヒーローに出会えるように書いていきたいと思ってます。
本当にありがとうございました。
嬉しかったです。