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番外編 ウィルヘルムの結婚
クーデター終わる
魔道具の水晶板から流れてくる映像を見ている。
サイオトリス王宮には虫目(虫形超小型撮影魔道具)が何匹もいて、それらの目に見えるものがこの水晶板に写しだされている。
ウィル様に言われたとおり私は観客だ。今から起こるクーデターを我が国の王宮で王太后様やセレス、サイオトリス王国に行かなかった者達と一緒に見ている。
セレスはもうすぐ赤ちゃんが産まれるので現場には行っていない。行きたくてうずうずしているようだ。
画面の中ではエルフリーデ嬢、ロンメル公爵、それにウォレス様が中心になり、国王、王妃、王太子を縛りあげ、取り囲んでいる。幻影魔法で姿を消しているウィル様もそこにニヤリと笑いながらそこにいる。
主要な国王派の貴族の屋敷でも同じことが行われているという。
王太后様は優雅な仕草でお茶のカップを手に持ち、水晶板を見ている。
「まるで、演劇のようね、クーデターなんてはじめて見るけどこんな感じなのね」
「そうですね。私も初めて見ますが、あまり良い気持ちではありませんね」
「そうかしら? 私は楽しいわ」
王太后様、やはりウィル様の母親だけあるわね。
エルフリーデ嬢が王太子に剣を突きつけている。
「あなたのような者が次期国王では、サイオトリス王国は滅びます。王家には民を苦しめた罪で退いていただきます」
「うるさい! お前は国外に追放したはずだ! なぜここにいる」
「あなた方を処罰するためです。あなた方はやりすぎました。もう、誰もあなた方を支持しません」
口々に文句を言っているが、王家の人達は魔法で拘束されているので、動くに動けない。
国中に潜伏していた暗部の者と地下組織のメンバーが水面下での草の根運動で民や王家を良く思っていない貴族達を味方につけたので、血を流すことなくクーデターは成功したようだ。
ウィル様が姿を現した。
「今日からこのサイオトリス王国はサイオトリス国と名を変え、我がファンベルグ王国の属国となる。私利私欲のために民を苦しめた王家の者達や国王派の貴族にはそれ相応の処罰を行う。なお、これからのサイオトリス国の舵取りはエルフリーデ・ロンメルに任せる」
エルフリーデ嬢か……。
「痛たたた……」
隣に座っていたセレスがお腹を抱えて苦しみ出した。
「産まれる……」
いよいよ産まれるようだ。
「医師と助産師を呼んで!」
「早く運んで!」
こちらはクーデターどころではなくなった。
それからしばらくしてセレスは男の子を産んだ。次の世代の暗部を率いることになる子だ。
私達はもうすっかりクーデターのことなど頭になく、セレスの赤ちゃんの事でいっぱいだった。気がついた時はもう中継は終わっていた。
結局、ウィル様はエルフリーデ嬢とは結婚しなかった。
エルフリーデ嬢とロンメル公爵を中心に貴族も平民もない国を作れと命じた。もちろんウィル様も口もお金も出すらしい。
そして、サイオトリス王国を属国にするための長い茶番劇の真相をジェフリー様から聞いて私は腰を抜かしそうになった。
また、私はすっかり騙されていたからだ。ジェフリー様もヒューイ様達も途中までは騙されていたそうだ。
エルフリーデ嬢も騙されていた。騙しているつもりがすっかりウィル様に騙されていたとは。エルフリーデ嬢も悔しかっただろう。
真相はこういう事だった。
サイオトリス王宮には虫目(虫形超小型撮影魔道具)が何匹もいて、それらの目に見えるものがこの水晶板に写しだされている。
ウィル様に言われたとおり私は観客だ。今から起こるクーデターを我が国の王宮で王太后様やセレス、サイオトリス王国に行かなかった者達と一緒に見ている。
セレスはもうすぐ赤ちゃんが産まれるので現場には行っていない。行きたくてうずうずしているようだ。
画面の中ではエルフリーデ嬢、ロンメル公爵、それにウォレス様が中心になり、国王、王妃、王太子を縛りあげ、取り囲んでいる。幻影魔法で姿を消しているウィル様もそこにニヤリと笑いながらそこにいる。
主要な国王派の貴族の屋敷でも同じことが行われているという。
王太后様は優雅な仕草でお茶のカップを手に持ち、水晶板を見ている。
「まるで、演劇のようね、クーデターなんてはじめて見るけどこんな感じなのね」
「そうですね。私も初めて見ますが、あまり良い気持ちではありませんね」
「そうかしら? 私は楽しいわ」
王太后様、やはりウィル様の母親だけあるわね。
エルフリーデ嬢が王太子に剣を突きつけている。
「あなたのような者が次期国王では、サイオトリス王国は滅びます。王家には民を苦しめた罪で退いていただきます」
「うるさい! お前は国外に追放したはずだ! なぜここにいる」
「あなた方を処罰するためです。あなた方はやりすぎました。もう、誰もあなた方を支持しません」
口々に文句を言っているが、王家の人達は魔法で拘束されているので、動くに動けない。
国中に潜伏していた暗部の者と地下組織のメンバーが水面下での草の根運動で民や王家を良く思っていない貴族達を味方につけたので、血を流すことなくクーデターは成功したようだ。
ウィル様が姿を現した。
「今日からこのサイオトリス王国はサイオトリス国と名を変え、我がファンベルグ王国の属国となる。私利私欲のために民を苦しめた王家の者達や国王派の貴族にはそれ相応の処罰を行う。なお、これからのサイオトリス国の舵取りはエルフリーデ・ロンメルに任せる」
エルフリーデ嬢か……。
「痛たたた……」
隣に座っていたセレスがお腹を抱えて苦しみ出した。
「産まれる……」
いよいよ産まれるようだ。
「医師と助産師を呼んで!」
「早く運んで!」
こちらはクーデターどころではなくなった。
それからしばらくしてセレスは男の子を産んだ。次の世代の暗部を率いることになる子だ。
私達はもうすっかりクーデターのことなど頭になく、セレスの赤ちゃんの事でいっぱいだった。気がついた時はもう中継は終わっていた。
結局、ウィル様はエルフリーデ嬢とは結婚しなかった。
エルフリーデ嬢とロンメル公爵を中心に貴族も平民もない国を作れと命じた。もちろんウィル様も口もお金も出すらしい。
そして、サイオトリス王国を属国にするための長い茶番劇の真相をジェフリー様から聞いて私は腰を抜かしそうになった。
また、私はすっかり騙されていたからだ。ジェフリー様もヒューイ様達も途中までは騙されていたそうだ。
エルフリーデ嬢も騙されていた。騙しているつもりがすっかりウィル様に騙されていたとは。エルフリーデ嬢も悔しかっただろう。
真相はこういう事だった。
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