【本編，番外編完結】私、殺されちゃったの？ 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

仲間

　ホールに戻るとパーティー真っ最中だった。主役がいてもいなくても始まってしまえば関係ないようだ。

　ヨーセット王国の第2王子が来ていても誰も気が付かないのか？　第2王子は魔法で存在感を消しているのかもしれない。

　いるかいないかわからないふうにしている。本来なら存在感あるあるなんだろうが、パーティーなどではこの魔法絶対いいと思う。次は私も使おう。

「遅くなって申し訳ない。ウィルヘルム殿下、お誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」

　ホールではヨーセット王国の第2王子とウィル様が話をしている。

　私の目にはさすが王子様同士キラキラしているように見えるが、周りからは魔法のせいでぼんやりしか見えないのだろうな。

　我が国とヨーセット王国は友好国ではあったが、王族が誕生日パーティーに参加するほど親密ではなかったはず。

　前の世界ではウィル様は１０歳になる頃にはすでに身体が弱っといた。９歳くらいから毎日毒を少量づつ盛られていて、この頃にはその影響が出ていたのだろう。

　あの頃は、私が３歳くらいの時は元気でよく遊んでくれていたのに、なぜ急に病弱になったのかと不思議に思っていた。毒って怖いなぁ。

　今は毒を盛られるから気をつけろとご神託を受けたことにして、食器、料理人、用意したり運ぶメイドに至るまで厳しく毒がでないか検査しているし、毒の免疫もつけているから大丈夫らしい。そういえばさっきも謎の液体をお茶に入れていた。私も毒の免疫つけておいた方がいいかもしれないな。

「それではよろしくお願いします」

「はい。こちらこそよろしくお願いします」

　ふたりのひそひそ話は終わったようだ。

　ホールの一角で消音魔法と変換魔法をかけた結界の中でふたりは何やら話をしている。変換魔法で話している言葉が周りの人にただの当たり障りのない挨拶に聞こえるように変換しているので違和感はない。

　魔法ってすごいな。

　前の世界とこの世界の違いは魔法。前の世界にもあることはあったが、ここまで普及はしていなかった。貴族が簡単な魔法をつかえるくらいだったのだが、この世界では、皆が高度な魔法を使える。

　私はいまだにパラレルワールドよりも巻き戻ったという方がしっくりくるが、すごい魔法が出てくるとやっぱり似て非なる世界なんだと認めざるを得ない。

「話は終わったよ。待たせたね。紹介するよ」

　ウィル様は私とセレスを第2王子に紹介した。

「こちらが私の婚約者のベルティーユ・クロフォード侯爵令嬢、そしてこちらはセレスティア・グラン辺境伯令嬢です。彼女達は仲間です」

「ヒューイ・ヴァン・ヨーセットです。仲間が増えて心強い。よろしくお願いします」

　爽やかな笑顔だが、この王子もきっと腹黒なんだろう。気をつけなくては。

「ベルティーユ・クロフォードでございます」

「セレスティア・グランでございます」

　私達はふたりで綺麗にカーテシーをした。