【完結】公爵令嬢ルナベルはもう一度人生をやり直す

金峯蓮華

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2話 二度目のはじまり

「「ルナベル!」」

「「ルナベル様!」」

「姉さま!」

 沢山の人の声が私の名前を呼んでいる。

 あれはお父様とお母様の声だわ。

 使用人達の声も聞こえる。

 泣いているのはアローノの声かしら?

 でも、アローノはゾレアに夢中で私のことを嫌っていたはず。私が死んでザマアミロと思っているに違いない。

 私が断罪された時、アローノはテオドール殿下とゾレアの横にいて、憎々しそうに私を見下ろしていたはず。

「姉様! 目を覚まして下さい! 僕のせいで、僕の……」
 
 僕? アローノが僕って言ってるの? いつもは私じゃない。

 僕なんて小さい頃にしか言ってないわ。そう言えば声がなんだか高い。

 えっ? どういうこと?

 あぁ、頭が痛い。

「あ た ま が い た い」
 
 思わず口に出してしまった。

「ルナベル! ルナベル!」

「お嬢様が気がついた」

「姉様! よかった!」
 
 もう、頭が痛いのにみんなでわんわん言わないでよ。

 婚約破棄されて、国外追放になって、破落戸に襲われそうになって、死にかけた娘が気がついたって嬉しくはないでしょう。家の恥だわね。

 酷い頭痛に苦しみながら目を開けた私が見たのは、若返った父母と小さい子供になっているアローノ、そして事故で亡くなったはずの侍女のミレーナの姿だった。

 えっ? どうなっているの?

 私は遠くの鏡に映る自分の姿を見て愕然とした。

 子供? 私いくつなの? 

 まさか時間が戻ったの?

 何故? あぁ頭が痛い。私は再び意識を手放した。

 次に目が覚めた時に全てを悟った。

 どういうわけだかわからないが、私は7歳に戻っていた。

 神様が可哀想に思い、もう一度人生をやり直させてくれるのかしら。


 

 私は屋敷の裏庭にある池でアローノと一緒にボートに乗っていたそうた。急にアローノがふざけて立ち上がりボートの上で動いたので、ボートが揺れ、バランスを崩した私は池に落ちたらしい。
 
 すぐに一緒に乗っていた従者が飛び込んで助けてくれたが、かなり水を飲んでいて呼吸をしてなかったそうだ。応急処置で水を吐いて呼吸は戻ったが酷い熱を出し3日も意識が戻らなかったらしい。

 寝込んでいた3日の間に私は前の人生を思い出した。前の人生ではそんな事件はなかったはずなのに……。

「旦那様、殿下がお見舞いにみえていらっしゃいますがいかがいたしますか?」
 
 家令のグーフィスが部屋に入って来て、父に話している。

「私が出迎える。こちらに来てもらおう」

 殿下? こちらに来る?

 まさか、テオドール殿下が来たの? という事は私はもう殿下と婚約しているの?

 せっかく巻き戻ったというのに、なぜ婚約前ではないのだろう。

 いや、まだわからない。ただの婚約者候補なだけかもしれない。とりあえず様子を見よう。



「ルナベル、大丈夫か? 心配したよ」

 やっぱりテオドール殿下だ。確か婚約したばかりの頃はこんな感じだった。

「大丈夫ですわ。ご心配をおかけしました」
 
 起きあがろうとした私の肩を殿下が優しく押し戻す

「だめだよ。まだ寝てないと。私に気を遣わないでいい」

 さすが王太子、7歳なのに私なんだな。ゾレアに出会うまでは本当に優しい人だった。

「ルナベルは私の大事な婚約者なんだ。しっかり養生してほしい」
 
 殿下の言葉に愕然とした。

 やっぱり婚約してたのか。

 私は目の前が真っ暗になり、また気を失ってしまった。
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