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25話 3人でお茶会1
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皆がセレニカ王国に戻り、リルゾール王国では静かな日常が戻ってきた。
私はお妃教育を受けながら、ミオナール様に魔法を習っている。お妃教育はセレニカ王国で受けていた王太子妃教育とさほど変わらない。さすがに3度目ともなると何の問題もなくサクサク進んでいる。
リルゾール王国独特の文化や王家の事を学べばほぼ終了らしい。リルゾール王国の文化やマナーに関してはリオナ姉様や刺繍の会の皆さんが手取り足取り教えてくれるので有難い。恵まれているなぁと感謝しかない。
今日は留学を延長し、リルゾール王国に残ったジェミニーナ嬢とジュリナ嬢をお世話になっているブロチゾラム家の中庭にあるガゼボに呼んでお茶会をすることになった。
おふたりとゆっくりお話ししたかったのだが、ジュリナ嬢は魔道具作りで忙しそうだし、ジェミニーナ嬢はいつも横にイグザレルト様がいて、ゆっくり話ができない。留学して一年も経っているのに3人だけでゆっくり会うのははじめてかもしれない。
今日はイグザレルト様が出かけると言うので、ジェミニーナ様を奪い取ることにした。それにしてもあんなに執着されてジェミニーナ様は辛くならないのかしら? 確か前の世界でも婚約していたと思うけれど、そんなに一緒にいるところを見たことがなかった。
あの当時はいつもイグザレルト様は恋愛に興味がないのかと思っていたけど、あの女にはすぐなびいたじゃない。あの女よりジェミニーナ嬢の方が絶対可愛いのに。男なんてみんなあんな女が好きなのかしら? あぁ嫌だ嫌だ。あんな女もう二度と会いたくないわ。
幸せでもう忘れていたつもりなのに、ふとあの女を思い出し、吐き気を催す。あの女が現れてからの一年は本当に辛かったし、あの卒業パーティーでの断罪から死に至るまでの時間は本当に思い出したくない。
今日はリルゾール王国で人気のある菓子店のケーキを購入して、侍女のミレーナにお茶の用意をしてもらう。リルゾール王国のお菓子は本当に美味しいのでおふたりに食べてもらいたかった。
「ルナベルお嬢様、一緒に来たご令嬢方とやっとお話しできますね。今日は殿下もいないし、ゆっくりして下さいませ」
ミレーナは楽しげにお茶の用意をしてくれている。
ルセフィ様はイグザレルト様と一緒に魔法騎士団の団長さんにお会いしている。なので、私もジェミニーナ嬢ものんびりできるのだ。
今、思い出せば私の計画は7歳で池に落ちた時に前の人生の記憶を思い出したことにはじまった。
父には、時が戻ったと言っても信じてもらえないだろうと、熱でうなされている時に夢を見た。貴族学校の3年になったら、男爵家の養女になった変な女が現れ、殿下や側近達、アローノまでもがその女と恋に落ち、私は無実の罪を着せられ婚約解消され、国外追放になり、国境に向かう馬車を、テオドール殿下とその女の命令を受けた破落戸達に襲われて、命を落とす。だからそれを回避するために何とかして婚約を解消したいと言った。
初めはただの夢だろうと父は言っていたが、あまりにも私が悲壮な顔で訴えたせいか、御神託だということになり、何度も適当な理由をつけて婚約解消の打診をしてくれていた。
弟のアローノも自分がそんな女に夢中になり、私を貶めたなんて、自分に怒りが止まらない。殿下から私を守ると言い、それからは私とテオドール殿下のクッションになり、殿下を私に近づけないようにしてくれていた。
今回リルゾール王国の留学に私を入れたのは父で、婚約破棄され国外追放になったあと、母の親戚がいるリルゾール王国に逃げて来られるように人脈を作らせるつもりだったらしい。それがまさか、王太子と婚約することになるとは。父は結果オーライだなとセレニカ王国に戻る前に安堵していた。
ふたりがガゼボに来てくれた。挨拶の後、他愛ない話をする。ジュリナ嬢は前の世界のジュリナ嬢ときっと同一人物だと思う。前の人生では私と同じテオドール殿下のお妃候補で小さい頃は一緒に殿下のお茶会に参加していたが今の世界ではこの留学が決まるまで顔を合わすことはなかった。
ジェミニーナ嬢は前の世界では聖女だったので、いつも大聖堂で祈っていた。学校のチャペルでも祈っていた。挨拶程度しか話をしたことはなかったが、透明感があり、透き通っているようなクリアな印象は前も今も変わらない。儚げで庇護欲をそそるイメージだ。
私は今日のお茶会で前の人生の記憶があるとふたりに告白するつもりだ。時間を巻き戻してくれた人を見つけてお礼を言いたい。ふたりなら何か知っているかもしれない。
「今日は来てくださりありがとうございます。せっかくご縁があり、リルゾール王国にきたのだから、おふたりとはもっと仲良くしたいと思っていたの。年も同じだし、ちゃんと友達になってくれるとうれしいわ。私のことはルナでもベルでも良いので呼んでくださいね」
ふたりはにこやかに微笑み頷いてくれた。ジュリナがちょっと笑いながら口を開いた。
「では、ベル様にしましょうか。ルセフィ殿下がルナと呼ばれているので、同じ愛称を呼ぶと怒られそうですしね。私のことはリナと呼んでくださいませ」
ルセフィ様って、そんなふうに見られているのね。
「私のことはニーナと呼んでくださいませ」
「イグザレルト様に叱られない?」
またジュリナがチャチャを入れる。
「大丈夫ですわ。レルト様はニナと呼ぶのでちょっと違いますし……」
イグザレルト様もそっち系のキャラなのか。
私達はお互いをベル、リナ、ニーナと呼び合うことになった。
私はお茶を一口飲んだ後、意を決して二人に声をかけた。
「私、おふたりに話しておきたい事があるの。今からする話はにわかには信じられないと思うのだけれど、本当の話なので聞いてほしいの。実は私、この人生は2度目なの」
ふたりは驚いた顔をしている。そりゃ驚くわね。でも本当のことだもの。
私はふたりに前の人生で起こった事を話しだした。
⭐︎⭐︎⭐︎
しばらく夜22時の更新になります。よろしくお願いします。
私はお妃教育を受けながら、ミオナール様に魔法を習っている。お妃教育はセレニカ王国で受けていた王太子妃教育とさほど変わらない。さすがに3度目ともなると何の問題もなくサクサク進んでいる。
リルゾール王国独特の文化や王家の事を学べばほぼ終了らしい。リルゾール王国の文化やマナーに関してはリオナ姉様や刺繍の会の皆さんが手取り足取り教えてくれるので有難い。恵まれているなぁと感謝しかない。
今日は留学を延長し、リルゾール王国に残ったジェミニーナ嬢とジュリナ嬢をお世話になっているブロチゾラム家の中庭にあるガゼボに呼んでお茶会をすることになった。
おふたりとゆっくりお話ししたかったのだが、ジュリナ嬢は魔道具作りで忙しそうだし、ジェミニーナ嬢はいつも横にイグザレルト様がいて、ゆっくり話ができない。留学して一年も経っているのに3人だけでゆっくり会うのははじめてかもしれない。
今日はイグザレルト様が出かけると言うので、ジェミニーナ様を奪い取ることにした。それにしてもあんなに執着されてジェミニーナ様は辛くならないのかしら? 確か前の世界でも婚約していたと思うけれど、そんなに一緒にいるところを見たことがなかった。
あの当時はいつもイグザレルト様は恋愛に興味がないのかと思っていたけど、あの女にはすぐなびいたじゃない。あの女よりジェミニーナ嬢の方が絶対可愛いのに。男なんてみんなあんな女が好きなのかしら? あぁ嫌だ嫌だ。あんな女もう二度と会いたくないわ。
幸せでもう忘れていたつもりなのに、ふとあの女を思い出し、吐き気を催す。あの女が現れてからの一年は本当に辛かったし、あの卒業パーティーでの断罪から死に至るまでの時間は本当に思い出したくない。
今日はリルゾール王国で人気のある菓子店のケーキを購入して、侍女のミレーナにお茶の用意をしてもらう。リルゾール王国のお菓子は本当に美味しいのでおふたりに食べてもらいたかった。
「ルナベルお嬢様、一緒に来たご令嬢方とやっとお話しできますね。今日は殿下もいないし、ゆっくりして下さいませ」
ミレーナは楽しげにお茶の用意をしてくれている。
ルセフィ様はイグザレルト様と一緒に魔法騎士団の団長さんにお会いしている。なので、私もジェミニーナ嬢ものんびりできるのだ。
今、思い出せば私の計画は7歳で池に落ちた時に前の人生の記憶を思い出したことにはじまった。
父には、時が戻ったと言っても信じてもらえないだろうと、熱でうなされている時に夢を見た。貴族学校の3年になったら、男爵家の養女になった変な女が現れ、殿下や側近達、アローノまでもがその女と恋に落ち、私は無実の罪を着せられ婚約解消され、国外追放になり、国境に向かう馬車を、テオドール殿下とその女の命令を受けた破落戸達に襲われて、命を落とす。だからそれを回避するために何とかして婚約を解消したいと言った。
初めはただの夢だろうと父は言っていたが、あまりにも私が悲壮な顔で訴えたせいか、御神託だということになり、何度も適当な理由をつけて婚約解消の打診をしてくれていた。
弟のアローノも自分がそんな女に夢中になり、私を貶めたなんて、自分に怒りが止まらない。殿下から私を守ると言い、それからは私とテオドール殿下のクッションになり、殿下を私に近づけないようにしてくれていた。
今回リルゾール王国の留学に私を入れたのは父で、婚約破棄され国外追放になったあと、母の親戚がいるリルゾール王国に逃げて来られるように人脈を作らせるつもりだったらしい。それがまさか、王太子と婚約することになるとは。父は結果オーライだなとセレニカ王国に戻る前に安堵していた。
ふたりがガゼボに来てくれた。挨拶の後、他愛ない話をする。ジュリナ嬢は前の世界のジュリナ嬢ときっと同一人物だと思う。前の人生では私と同じテオドール殿下のお妃候補で小さい頃は一緒に殿下のお茶会に参加していたが今の世界ではこの留学が決まるまで顔を合わすことはなかった。
ジェミニーナ嬢は前の世界では聖女だったので、いつも大聖堂で祈っていた。学校のチャペルでも祈っていた。挨拶程度しか話をしたことはなかったが、透明感があり、透き通っているようなクリアな印象は前も今も変わらない。儚げで庇護欲をそそるイメージだ。
私は今日のお茶会で前の人生の記憶があるとふたりに告白するつもりだ。時間を巻き戻してくれた人を見つけてお礼を言いたい。ふたりなら何か知っているかもしれない。
「今日は来てくださりありがとうございます。せっかくご縁があり、リルゾール王国にきたのだから、おふたりとはもっと仲良くしたいと思っていたの。年も同じだし、ちゃんと友達になってくれるとうれしいわ。私のことはルナでもベルでも良いので呼んでくださいね」
ふたりはにこやかに微笑み頷いてくれた。ジュリナがちょっと笑いながら口を開いた。
「では、ベル様にしましょうか。ルセフィ殿下がルナと呼ばれているので、同じ愛称を呼ぶと怒られそうですしね。私のことはリナと呼んでくださいませ」
ルセフィ様って、そんなふうに見られているのね。
「私のことはニーナと呼んでくださいませ」
「イグザレルト様に叱られない?」
またジュリナがチャチャを入れる。
「大丈夫ですわ。レルト様はニナと呼ぶのでちょっと違いますし……」
イグザレルト様もそっち系のキャラなのか。
私達はお互いをベル、リナ、ニーナと呼び合うことになった。
私はお茶を一口飲んだ後、意を決して二人に声をかけた。
「私、おふたりに話しておきたい事があるの。今からする話はにわかには信じられないと思うのだけれど、本当の話なので聞いてほしいの。実は私、この人生は2度目なの」
ふたりは驚いた顔をしている。そりゃ驚くわね。でも本当のことだもの。
私はふたりに前の人生で起こった事を話しだした。
⭐︎⭐︎⭐︎
しばらく夜22時の更新になります。よろしくお願いします。
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