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クリス様とお茶会

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 今日は仲良しのクリス様の屋敷でのお茶会。
 と言っても2人だけなんですが。

 クリス様は本名をクリスティーナ・ルピナス。
 侯爵令嬢で第一王子の婚約者だ。

 私達は私が5歳、クリス様が8歳の時から共に王子妃教育を受けた。いわゆる戦友みたいなものだ。

 クリス様が第1王子で私が第2王子だったのは侯爵家と伯爵家の違い4と年齢。

 第1王子は王妃様のお子様で第2王子は側妃様のお子様。ちなみに側妃様にはもう1人お子様がいる。

 それが、お義母さまが嫌がっていた王女だ。国王は側妃様を溺愛していて第2王子と王女は甘やかし放題なのだ。

「あ~嫌だ! 嫌だわ。ヴィオが一緒だから王子妃教育も乗り切れたのに、あの馬鹿王子! 許さない。私が王妃になったら免罪ふっかけて処分してやる!!」

「あらあら、次期王妃様がそんな品のない言葉を使っていてはマナーのゲラン夫人に怒られますわよ」

「ここだけよ。私があの城の中で息が抜けるのはヴィオの前だけだったのに」

 クリス様は侯爵令嬢なのにとてもザックバランな方だ。騎士になりたかったそうで、今でも剣の稽古をしている。
 それなのに、たまたま運悪く王子と年齢が釣り合う年に生まれてしまった。

「でも、婚約が解消されてよかったわね。あんな馬鹿と結婚なんて一生棒に振るとこだったものね。しかし、次の相手が泣く子も黙るユリウス・アルブランとはね」

 ユリウス様は泣く子も黙るのか?

「ユリウス様はダメですか?」

 私はこてんと小首を傾げた。

「あの男はヤバいわ。冷酷で情無しよ。ほとんど喋らないし。表情も無いし、何をかんがえているのかわからない。息をするように人を斬るそうよ。ヴィオ~、大丈夫?」

「大丈夫ですわ。ユリウス様は優しいですよ」

「そりゃあの馬鹿王子に比べたら天と地、月とスッポンだろうけど、私は苦手なのよ。なんだか怖くて」

 クリス様はユリウス様のことが苦手なのか。初めて聞いた。

「それに、あの馬鹿王女がユリウス様に気があるらしいわ。また無理難題言ってるんじゃないのかしら。もう、どうにかしてほしいわ。あの馬鹿兄妹と馬鹿側妃。ユリウス・アルブランに斬られればいいのよ」

 えらい言われ方だ。

「そうそう、王妃様がね。馬鹿王子と婚約解消したから第3王子と婚約はどうかと思っていたそうよ。でもアルブラン公爵家にタッチの差で負けたって悔しそうだったわ」

第3王子? 5つも年下じゃない。
 もう王家は勘弁してほしい。

「アルブラン公爵家から奪い返したら? と言ったら、あの公爵夫人から奪ったらどんな目にあわされるかわからない。怖い怖いって仰ってたわ」

 お義母さまはそんなに怖いのか? 影の支配者と言われている王妃様が怖がるなんて、お義母さまは魔王クラスなんだな。

 私は貴族達から、馬鹿王子から逃れられたけれど、今後は冷酷無比なアルブラン公爵令息に捕まったと言われているらしい。

 ユリウス様はほんとに優しいんだけどなぁ。
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