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ウィンウィン? (ユリウス、ケビン、アンソニー視点)
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*ユリウス視点からケビン視点に。最後はアンソニー視点になります*
ーユリウス視点ー
「傀儡魔法だと!」
アンソニー殿下は声を荒げた。
「あの魔法は禁忌魔法だろう。使える者は処分され、もう誰も使えないはずだったのに」
「どうやら、王弟殿下が側近に学ばせていたようです」
「では、やはり第2王子の復讐なのね」
王妃様はため息をつく。
「いえ、第2王子は抵抗してますよ。国王になんかなりたくない。南の国で暮らしたいと。どうやらリレット卿に魔法でこちらに連れてこられたようです。傀儡魔法が切れ、リレット卿に文句を言っているところを見ました」
あいつは復讐など考えるような忠義も野心もない。
リレットのような奴が現れた時のために消しておくべきだったんだ。
「ふたりを消しましょう」
「まぁ、慌てるな。もう少し様子を見よう」
アンソニー殿下は含み笑いをした。腹黒のこの男、また何か企んでいるようだ。アンソニー殿下は私と入れ替わるように第2王子達のところへ行った。
―ケビン視点ー
不本意ながら魔法で傀儡され、自分の意思ではない方向に動かされている。このままでは俺は絶対殺される。どうするべきか。
とにかく逃げたい。
そうだ! 影だ!
「影、いるんだろ? 俺を助けてくれよ。俺は復讐なんかしない。神にだって何だって誓う。俺は国王になんかなりたくないんだ。リレットが俺に魔法をかけて傀儡しているだけなんだよ。逃してくれよ。南の国に帰りたい。あの国で生涯のんびり暮らしたいんだよ。影~、頼むよ。王家の誰かに頼んでくれよ」
「わかった」
影か? 俺の腕をだれかが掴む。
何だこれは? 目の前の景色が歪む。
うぇ~気持ち悪い。
目を開けたらそこには義母上と兄上とライアンとアルブラン卿がいた。
「ケビン、久しぶりね」
「お久しぶりです」
「南の国はどう?」
「快適です。幸せに暮らしております。生涯南の国でのんびり暮らしたいと思っております」
俺は義母上に本音を話した。
「復讐はしないのですか?」
ライアンは俺の顔を覗き込む。
「とんでもない。私は母や妹、祖父とは仲が良くなかったし、叔父上とも接点はなかった。いったい誰の復讐をするのですか? あいつらが失脚したのは自業自得です」
本当にそう思う。
「私は復讐など微塵も思っておりません。義母上や兄上に忠誠を尽くします。南の国に戻してもらえませんか」
「リレットはどうする」
兄上が冷ややかな声で俺に聞く。
「リレットは叔父上の側近で、国家を転覆させるために禁忌魔法を習得しに叔父上に他国に行かされていたそうです。ここに叔父上が失脚する前にリレットに宛てた手紙があります」
俺はリレットから預かった手紙をポケットから出した。
「この手紙には叔父上に何かがあったら南の国にいる私を担ぎ上げ、復讐をし、私を国王にしろ。そして、魔法で叔父上を蘇らせろと書いてありました」
「リレット卿は蘇りの魔法まで習得しているのか?」
みんな驚いている。俺も驚いたさ。そんな魔法があるなんてな。
「リレットは危険です」
「そうね、危険ね。あなたはリレットをどうしたい?」
義母上は俺に聞く。
「私は二度と会いたくない。絡みたくない。奴に傀儡されたくないです」
「そう」
義母上は俺の頭の上に手を置いた。すると俺の身体の中を光が走った。
「これでもう、あなたはもう子供が出来ないわ。子供に野心があって、我が国に牙を向けられたら困るものね。南の国に戻してあげるわ。あちらでは今まで通りの生活をさせてあげる。もう、あなたに魔法で近づくものもないように結界をはっておくわね。もし、私たちに悪意を持ったら、身体の中の魔法が破裂して命はないわ。いいかしら?」
「もちろんです。忠誠を誓います」
やったー! 子供が出来ないなんて生でやり放題じゃないか!!
また、視界が歪んだ。
そして気がつくと俺は元の南の国の屋敷に戻っていた。
「ケビン様ぁ~、どちらに行ってらしたのですかぁ~」
「もう、心配しましたわぁ~」
お~、俺の可愛い侍女たちやメイドたちだ。
良かった。南の国に戻ってきた。
ーアンソニー視点ー
「母上、よかったのですか? あっさり南の国に戻してしまって」
私の問いに母は口角を上げた。
「あのものは野心も敵意もないわ。ただの馬鹿よ。処刑してもいいんだけど、めんどくさいじゃない。あの国にいればお互いに幸せでしょう」
母はやっぱり腹黒い。
南の国は表だって知られてはいないが、サキュバスの国だ。
我が国は南の国出身の影も沢山いる。影というより、ハニートラップをかける時の工作員だ。
ケビンはもちろんそんなことは知らない。サキュバス達は男から栄養を摂る。ケビンは交わるのが好きだからウィンウィンの関係だ。
まぁ、ケビンの精力が枯れるまでは南の国で楽しんで暮らして貰えばいい。
ユリウスはもっと過酷な労働罰を与えたかったようだが、腹違いとはいえ私の弟だし、あいつに敵意がないことはわかっている。あの堕落した性格には、サキュバスの餌という役目がピッタリだろう。
さて、リレットをどうしようか。
とりあえずい影にケビンになってもらおう。
楽しくなってきたな。リレット待ってろよ。
ーユリウス視点ー
「傀儡魔法だと!」
アンソニー殿下は声を荒げた。
「あの魔法は禁忌魔法だろう。使える者は処分され、もう誰も使えないはずだったのに」
「どうやら、王弟殿下が側近に学ばせていたようです」
「では、やはり第2王子の復讐なのね」
王妃様はため息をつく。
「いえ、第2王子は抵抗してますよ。国王になんかなりたくない。南の国で暮らしたいと。どうやらリレット卿に魔法でこちらに連れてこられたようです。傀儡魔法が切れ、リレット卿に文句を言っているところを見ました」
あいつは復讐など考えるような忠義も野心もない。
リレットのような奴が現れた時のために消しておくべきだったんだ。
「ふたりを消しましょう」
「まぁ、慌てるな。もう少し様子を見よう」
アンソニー殿下は含み笑いをした。腹黒のこの男、また何か企んでいるようだ。アンソニー殿下は私と入れ替わるように第2王子達のところへ行った。
―ケビン視点ー
不本意ながら魔法で傀儡され、自分の意思ではない方向に動かされている。このままでは俺は絶対殺される。どうするべきか。
とにかく逃げたい。
そうだ! 影だ!
「影、いるんだろ? 俺を助けてくれよ。俺は復讐なんかしない。神にだって何だって誓う。俺は国王になんかなりたくないんだ。リレットが俺に魔法をかけて傀儡しているだけなんだよ。逃してくれよ。南の国に帰りたい。あの国で生涯のんびり暮らしたいんだよ。影~、頼むよ。王家の誰かに頼んでくれよ」
「わかった」
影か? 俺の腕をだれかが掴む。
何だこれは? 目の前の景色が歪む。
うぇ~気持ち悪い。
目を開けたらそこには義母上と兄上とライアンとアルブラン卿がいた。
「ケビン、久しぶりね」
「お久しぶりです」
「南の国はどう?」
「快適です。幸せに暮らしております。生涯南の国でのんびり暮らしたいと思っております」
俺は義母上に本音を話した。
「復讐はしないのですか?」
ライアンは俺の顔を覗き込む。
「とんでもない。私は母や妹、祖父とは仲が良くなかったし、叔父上とも接点はなかった。いったい誰の復讐をするのですか? あいつらが失脚したのは自業自得です」
本当にそう思う。
「私は復讐など微塵も思っておりません。義母上や兄上に忠誠を尽くします。南の国に戻してもらえませんか」
「リレットはどうする」
兄上が冷ややかな声で俺に聞く。
「リレットは叔父上の側近で、国家を転覆させるために禁忌魔法を習得しに叔父上に他国に行かされていたそうです。ここに叔父上が失脚する前にリレットに宛てた手紙があります」
俺はリレットから預かった手紙をポケットから出した。
「この手紙には叔父上に何かがあったら南の国にいる私を担ぎ上げ、復讐をし、私を国王にしろ。そして、魔法で叔父上を蘇らせろと書いてありました」
「リレット卿は蘇りの魔法まで習得しているのか?」
みんな驚いている。俺も驚いたさ。そんな魔法があるなんてな。
「リレットは危険です」
「そうね、危険ね。あなたはリレットをどうしたい?」
義母上は俺に聞く。
「私は二度と会いたくない。絡みたくない。奴に傀儡されたくないです」
「そう」
義母上は俺の頭の上に手を置いた。すると俺の身体の中を光が走った。
「これでもう、あなたはもう子供が出来ないわ。子供に野心があって、我が国に牙を向けられたら困るものね。南の国に戻してあげるわ。あちらでは今まで通りの生活をさせてあげる。もう、あなたに魔法で近づくものもないように結界をはっておくわね。もし、私たちに悪意を持ったら、身体の中の魔法が破裂して命はないわ。いいかしら?」
「もちろんです。忠誠を誓います」
やったー! 子供が出来ないなんて生でやり放題じゃないか!!
また、視界が歪んだ。
そして気がつくと俺は元の南の国の屋敷に戻っていた。
「ケビン様ぁ~、どちらに行ってらしたのですかぁ~」
「もう、心配しましたわぁ~」
お~、俺の可愛い侍女たちやメイドたちだ。
良かった。南の国に戻ってきた。
ーアンソニー視点ー
「母上、よかったのですか? あっさり南の国に戻してしまって」
私の問いに母は口角を上げた。
「あのものは野心も敵意もないわ。ただの馬鹿よ。処刑してもいいんだけど、めんどくさいじゃない。あの国にいればお互いに幸せでしょう」
母はやっぱり腹黒い。
南の国は表だって知られてはいないが、サキュバスの国だ。
我が国は南の国出身の影も沢山いる。影というより、ハニートラップをかける時の工作員だ。
ケビンはもちろんそんなことは知らない。サキュバス達は男から栄養を摂る。ケビンは交わるのが好きだからウィンウィンの関係だ。
まぁ、ケビンの精力が枯れるまでは南の国で楽しんで暮らして貰えばいい。
ユリウスはもっと過酷な労働罰を与えたかったようだが、腹違いとはいえ私の弟だし、あいつに敵意がないことはわかっている。あの堕落した性格には、サキュバスの餌という役目がピッタリだろう。
さて、リレットをどうしようか。
とりあえずい影にケビンになってもらおう。
楽しくなってきたな。リレット待ってろよ。
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