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ただのイチャイチャ

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 アルブラン家から我が家に戻り久しぶりにダラダラしている。

 やはり慣れ親しんだ屋敷は気持ちが楽だ。アルブラン家では、優しくて可愛がってくれるお義母さまも元は王女様、粗相して怒られないかと不安になる。

 私は公爵夫人になってお義母さまみたいに采配している自分の姿が全く浮かばない。

 お義母さまは「私のような公爵夫人ではなく、ヴィオちゃんはヴィオちゃんらしい公爵夫人になればいいのよ」とおっしゃるけど、私らしい公爵夫人ってどんなだろう?

 ユリウス様は側にいてくれるだけでいいと言うが、そんな訳にはいかないわよね。
また、クリス様に聞いてもらおう。




「ヴィオ、そろそろうちで一緒に住まないか? 以前は結婚までは伯爵家で暮らしたいと言っていたが、やっぱり心配なんだ」

 久しぶりにユリウス様とデートしている。以前注文していた結婚式で交換する指輪が出来たので取りに来た。
 商会の人はお届けしますと言っていたが、ユリウス様がふたりで伺うと言ったそうだ。

 馬車の中でまたアルブラン家に来いと言い出した。

「結婚したら、ずっと一緒ですわ。もう少しだけわがままをお許し下さいませ」

 とりあえず可愛い顔を作ってお願いしてみた。

「確かにそうだが、1日も早く一緒に暮らしたいんだ。この前は父上や母上とは一緒にいたのに、私だけ職務でいなかった。母上から羨ましいでしょと煽られてしまってね」

 お義母さま、余計なことを。

「もうすぐ騎士団を退団するのでずっと一緒にいられるよ」
「えっ? 騎士を辞められるのですか?」
「そうだよ。結婚するまでという約束だから、結婚したら公爵を継いでしばらくは領地に引っ込むことになる」

 知らなかった。

「いきなり公爵夫人ですか?」
「まぁ、しばらくは母上がフォローしてくれるし、スタートは領地からだからのんびりできるよ」

 そうか、確かに領地からだとそれほど気負わなくてもいいのかも?

 アルブラン領はお義母さまと何度も行ったことがある。気候もいいし、食べ物も美味しい。
 いつも王都の屋敷に届いている領地から食材は新鮮で瑞々しい。

 しかし、大丈夫か?

「ユリウス様は領地の運営をされるのですか? 第一王子の側近なのに、王都にいなくて大丈夫なのですか?」
「説得する」

 ユリウス様は苦虫を噛み潰したような顔をした。

 やっぱり領地に住むのは難しいようだ。
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