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隣国に行くことになりました

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 従兄弟のフィルとライザが帰国するにあたり、私達家族も急遽ついていくことになった。父は久しぶりの里帰りだ。

 ユリウス様も私の結婚前の最後の家族旅行にウダウダ言ってはいたが、父母も一緒だということで最後には諦めた。

 
 ここは隣国、お父さまの故郷だ。

 私は幼い頃に何度か来たようだが、第2王子の婚約者になってからは来ていないので10年ぶりくらいだろうか。
 王宮でお父さまのお兄さまである、国王と王妃様、王太子かな? フィル達のお兄さまが出迎えてくれた。

「この度はフィルとライザが世話になったな。ヴィオは久しぶりだが私達のことを覚えているかな?」

 国王が私の頭をぽんぽんと撫でる。

「申し訳ございません。以前に訪れた時はまだ小さく記憶がないのです」

 私は申し訳なさそうに頭を下げた。

「私の事も覚えてないんだな。結婚の約束もしたのに」

 フィル達のお兄さま(多分)はそんな爆弾を落とす。

「ルーファス、いい加減にしなさい。ヴィオちゃんが驚いているじゃないの。ヴィオちゃん、約束と言っても子供の口約束だから気にしなくていいのよ」

 王妃様はにこやかにそう言いながら扇子でルーファス殿下? のお尻をピシッと叩いた。


「ヴィオレッタ嬢、昔のようにヴィオと呼んでもいいかな? 覚えていないようなので自己紹介しておくよ。私はルーファス。昔みたいにルーと呼んでくれればいい。フィル達の兄でこの国の王太子だ。婚約者はいない。ヴィオがなってくれると嬉しいな」

 ルー様か。なかなかややこしいな。ユリウス様と似た匂いがする。

「ヴィオレッタでございます。もちろんヴィオと呼んでくださいませ。私はもうすぐ結婚する婚約者がおりますのでルー様の婚約者になるのは無理でございます」

 ルー様はニヤっと笑う。

「ユリウス・アルブランか。厄介な奴と婚約したものだな。前の第2王子くらいなら簡単に奪えるが、ユリウスが相手だと命懸けの戦いになりそうだな。まぁ、最後はヴィオの気持ちだけどね」

「そうですわね。フィルお兄さまと結婚して欲しかったけど、ルーお兄さまでもいいわ。私はルーお兄さまを応援しちゃうわ」

 ライザはルー様の腕に絡みつききゃっきゃしている。

 ああまたややこしくなりそうだな。

 こんなことならユリウス様の言うとおり、国に残ればよかったなぁ。

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