【完結】王子から婚約解消されましたが、次期公爵様と婚約して、みんなから溺愛されています

金峯蓮華

文字の大きさ
41 / 50

腹黒は腹黒を知る(メトロファン伯爵視点)

しおりを挟む
 リカルドから話を聞き、正直驚いた。まさかルーファスがそんなことを考えていたなんて。

 ヴィオは私達の計画どおり、第2王子との婚約が解消となり、ユリウスと結婚が決まった。ユリウスとの結婚はユリウス自体が望んでいることもあるが、アンソニー殿下とアルブラン公爵家、そして王妃殿の総意だ。

 妻のパトリシアも絶対アルブラン家に嫁がせたいと望んでいる。
 妻はアルブラン公爵夫人とは従姉妹で姉妹のように仲が良い。そしてアルブラン公爵夫人の親友の王妃殿にも妹のように大事にしてもらっている。

 あのふたりはヴィオが王命で第2王子の婚約者にされたのが嫌だった。
 王妃殿は「なんで可愛い大事なヴィオちゃんがあんな側妃の馬鹿息子と結婚しなきゃならないの! あんな女の口車に乗せらてよくも王命なんか出したわね!」と怒り、国王は小さくなっていた。
 アルブラン公爵夫人も弟である国王には容赦ない。第2王子との婚約が解消されて1番喜んでいるのは国王かもしれない。
 国王は優しくて良い人なのだが、優柔不断で気が弱い。そこを側妃や王弟につけ込まれやらかしてしまうことが度々あった。
王弟と側妃が断罪され、ほっとしているのだろう「もう側妃はいらん!」と声を大にしていた。


「旦那様、ルーファス様はほんとにヴィオと結婚したいのかしら?」
「さあな、もしそうならどう思う?」
「私はユリウスの方がいいわ。お姉さまの息子だし、アルブラン家なら将来的にも安泰でしょ? どんなことがあってもヴィオを守ってくれるわ。それにヴィオを国外に出したくないの。この国の王太子妃になどなったらすぐに会えないじゃない?」

 確かに妻の言う通りだ。そしてこの国は不安定なところがある。ヴィオがアルブラン夫人のような人間だったら、王太子妃になってもいいだろうが、いかんせんヴィオは呑気で朗らかな娘だ。腹黒策士の中で腹芸をしながら生きるなんてことはさせられないし、できるわけがない。
 
 リカルドの言うように早く縁談をまとめてしまおう。

「旦那様、お姉さまから早文よ」
 さすが、アルブラン夫人。もう動いているのか。

「北の国に第1王女か」
「北の国の王妃様は旦那様のお姉さまでしたわね」
「あぁ、アルブラン公爵夫人とは確か同じ時期に東の国に留学していたと思う。姉上もアルブラン公爵夫人も腹黒同士仲良かったんじゃないか」
「まぁ、またそんなことを仰って。おふたりとも腹黒ではないですわ。いつも民の幸せを考えているので、人が嫌がる汚い仕事もやってくださっているのです。ほんとにとてもお優しくてよ」

 ヴィオは妻に良く似ている。こんなナチュラルな人間達は腹の黒い私達が守ってやらなくてはならない。


 私は兄上に呼ばれた。

「北の国の姉上から娘をルーファスの妃にどうかと言ってきたのだが、お前はどう思う?」
「姉上の娘というと、アンナマリーでしょうか? たいそう美しく賢いと噂を聞いたことがあります」

 アルブラン公爵夫人、やることが早い。

「ルーファスはヴィオレッタが好きなようなんだがな」
「兄上、ヴィオレッタは婚約者がおります。それにあれは王妃など無理です。いくらルーファスがそう思ってくれてもお断りします」
「そうだな。ヴィオレッタに王妃は無理だな。特に我が国は不安定だ。大国の北の国に王女なら国にとって良いかもしれんな」

 北の国は大国だ。強い兵力もある。この国にとって北の国との縁を深めるのは得策だ。さすがアルブラン公爵夫人、いいところに目をつけたな。ルーファスが拒んでも決まってしまうだろう。

 さて、そろそろ私達も国に戻ろうか。自分の育った国ではあるが、なんだかつまらない。フィルやライザがこの国を出たがっているのもあの頃の私と同じ理由だろうか? 

「旦那様、ユリウスが迎えに来てくれましたわ」

 兄との話が終わり部屋に戻ると妻のパトリシアが嬉しそうに駆けてきた。
 結婚して16年になるが、いつ見てもパトリシアは可愛い。ユリウスがヴィオを溺愛する気持ちがよくわかる。

 腹黒な男はこういう平和で穏やかでのんびりした女の側がいちばん落ち着くのだ。
 アルブラン公爵は大変だろうな。あの家には癒しがいない。だからヴィオが欲しいのかもしれないな。

 ユリウスも迎えに来たことだし、さっさと帰ろう。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―

鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。 泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。 まだ八歳。 それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。 並ぶのは、かわいい雑貨。 そして、かわいい魔法の雑貨。 お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、 冷めないティーカップ、 時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。 静かに広がる評判の裏で、 かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。 ざまぁは控えめ、日常はやさしく。 かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。 --- この文面は ✔ アルファポリス向け文字数 ✔ 女子読者に刺さるワード配置 ✔ ネタバレしすぎない ✔ ほのぼの感キープ を全部満たしています。 次は 👉 タグ案 👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字) どちらにしますか?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

王太子に愛されないので、隣国王子に拾われました

鍛高譚
恋愛
「王太子妃として、私はただの飾り――それなら、いっそ逃げるわ」 オデット・ド・ブランシュフォール侯爵令嬢は、王太子アルベールの婚約者として育てられた。誰もが羨む立場のはずだったが、彼の心は愛人ミレイユに奪われ、オデットはただの“形式だけの妻”として冷遇される。 「君との結婚はただの義務だ。愛するのはミレイユだけ」 そう嘲笑う王太子と、勝ち誇る愛人。耐え忍ぶことを強いられた日々に、オデットの心は次第に冷え切っていった。だが、ある日――隣国アルヴェールの王子・レオポルドから届いた一通の書簡が、彼女の運命を大きく変える。 「もし君が望むなら、私は君を迎え入れよう」 このまま王太子妃として屈辱に耐え続けるのか。それとも、自らの人生を取り戻すのか。 オデットは決断する。――もう、アルベールの傀儡にはならない。 愛人に嘲笑われた王妃の座などまっぴらごめん! 王宮を飛び出し、隣国で新たな人生を掴み取ったオデットを待っていたのは、誠実な王子の深い愛。 冷遇された令嬢が、理不尽な白い結婚を捨てて“本当の幸せ”を手にする

王子様への置き手紙

あおた卵
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯

婚約破棄されたので、戻らない選択をしました

ふわふわ
恋愛
王太子アルトゥールの婚約者として生きてきた 貴族令嬢ミディア・バイエルン。 だが、偽りの聖女シエナに心を奪われた王太子から、 彼女は一方的に婚約を破棄される。 「戻る場所は、もうありませんわ」 そう告げて向かった先は、 王都から遠く離れたアルツハイム辺境伯領。 権力も、評価も、比較もない土地で、 ミディアは“誰かに選ばれる人生”を静かに手放していく。 指示しない。 介入しない。 評価しない。 それでも、人は動き、街は回り、 日常は確かに続いていく。 一方、王都では―― 彼女を失った王太子と王政が、 少しずつ立ち行かなくなっていき……? 派手な復讐も、涙の和解もない。 あるのは、「戻らない」という選択と、 終わらせない日常だけ。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】亡くなった婚約者の弟と婚約させられたけど⋯⋯【正しい婚約破棄計画】

との
恋愛
「彼が亡くなった?」 突然の悲報に青褪めたライラは婚約者の葬儀の直後、彼の弟と婚約させられてしまった。 「あり得ないわ⋯⋯あんな粗野で自分勝手な奴と婚約だなんて! 家の為だからと言われても、優しかった婚約者の面影が消えないうちに決めるなんて耐えられない」 次々に変わる恋人を腕に抱いて暴言を吐く新婚約者に苛立ちが募っていく。 家と会社の不正、生徒会での横領事件。 「わたくしは⋯⋯完全なる婚約破棄を準備致します!」 『彼』がいるから、そして『彼』がいたから⋯⋯ずっと前を向いていられる。 人が亡くなるシーンの描写がちょっとあります。グロくはないと思います⋯⋯。 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済。 R15は念の為・・

【完結】愛人の子を育てろと言われた契約結婚の伯爵夫人、幼なじみに溺愛されて成り上がり、夫を追い出します

深山きらら
恋愛
政略結婚でレンフォード伯爵家に嫁いだセシリア。しかし初夜、夫のルパートから「君を愛するつもりはない」と告げられる。さらに義母から残酷な命令が。「愛人ロザリンドの子を、あなたの子として育てなさい」。屈辱に耐える日々の中、偶然再会した幼なじみの商人リオンが、セシリアの才能を信じて事業を支援してくれる。

処理中です...