6 / 11
居ても立っても居られなかった
しおりを挟む
思い立ったらじっとしていることのできない私は、その後すぐにハインリッヒ様の元に向かった。
ハインリッヒ様はこの時間なら王宮にいるはず。
アーノルド殿下には『無茶するなよ』と言われたが、無茶する以外ない。
私がいくら傷など気にならないと言ったところでハインリッヒ様は心をひらいてはくれないだろう。
好きな人に言われてこそ心を開くと言うものだ。
私の気持ちはもう決まっている。ハインリッヒ様が幸せになるためにはこれしかない。
「ハインリッヒ様!」
私はハインリッヒ様のお姿を見つけて駆け寄った。
「シャーロット嬢、今日は会う約束はしていないはずだが」
「はい。わかっております。今日で最後です。今日で最後に致しますので、私にお時間を下さいませ」
私はハインリッヒ様の腕を掴み、空いているサロンに引っ張って行った。
「どういうことだ。今日で最後とは?」
「言葉通りでございます。今までご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。私は自分の気持ちを押し付けて、ハインリッヒ様のお気持ちを考えておりませんでした」
ハインリッヒ様は困ったような顔をして私を見ている。私は勢い止まらず話を続けた。
「ハインリッヒ様は傷があってもなくても私にはこの上ない程の素敵な方ですが、私に言われても心に響かないと思いますが、ハインリッヒ様は本当に素晴らしい方なのです。私がハインリッヒ様の傷を消します。なのでこれからは自信をお持ちになって下さいませ。どうか、お好きな方を見つけ幸せになって下さいませ」
「何を言っているんだ。この傷は消えない。宮廷医師にそう言われた」
私は両手でハインリッヒ様の頬を触り、目をじって見た。
「私を誰だと思っているのですか? 私はシュープリームス家の長女です。あなたの傷など消してご覧にいれます」
ハインリッヒ様は苦々しい顔をして私を見ている。
「ハインリッヒ様、今までありがとうございました。短い間でしたがあなた様の婚約者になれて幸せでした。これからは好きな方と幸せになって下さいませ。さようなら」
私は両手を魔力を込め呪文を唱える。
私の両手からは眩しい光が溢れ出してくる。光は私とハインリッヒ様を包みこむ。
私は意識を失った。
ハインリッヒ様はこの時間なら王宮にいるはず。
アーノルド殿下には『無茶するなよ』と言われたが、無茶する以外ない。
私がいくら傷など気にならないと言ったところでハインリッヒ様は心をひらいてはくれないだろう。
好きな人に言われてこそ心を開くと言うものだ。
私の気持ちはもう決まっている。ハインリッヒ様が幸せになるためにはこれしかない。
「ハインリッヒ様!」
私はハインリッヒ様のお姿を見つけて駆け寄った。
「シャーロット嬢、今日は会う約束はしていないはずだが」
「はい。わかっております。今日で最後です。今日で最後に致しますので、私にお時間を下さいませ」
私はハインリッヒ様の腕を掴み、空いているサロンに引っ張って行った。
「どういうことだ。今日で最後とは?」
「言葉通りでございます。今までご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。私は自分の気持ちを押し付けて、ハインリッヒ様のお気持ちを考えておりませんでした」
ハインリッヒ様は困ったような顔をして私を見ている。私は勢い止まらず話を続けた。
「ハインリッヒ様は傷があってもなくても私にはこの上ない程の素敵な方ですが、私に言われても心に響かないと思いますが、ハインリッヒ様は本当に素晴らしい方なのです。私がハインリッヒ様の傷を消します。なのでこれからは自信をお持ちになって下さいませ。どうか、お好きな方を見つけ幸せになって下さいませ」
「何を言っているんだ。この傷は消えない。宮廷医師にそう言われた」
私は両手でハインリッヒ様の頬を触り、目をじって見た。
「私を誰だと思っているのですか? 私はシュープリームス家の長女です。あなたの傷など消してご覧にいれます」
ハインリッヒ様は苦々しい顔をして私を見ている。
「ハインリッヒ様、今までありがとうございました。短い間でしたがあなた様の婚約者になれて幸せでした。これからは好きな方と幸せになって下さいませ。さようなら」
私は両手を魔力を込め呪文を唱える。
私の両手からは眩しい光が溢れ出してくる。光は私とハインリッヒ様を包みこむ。
私は意識を失った。
58
あなたにおすすめの小説
彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった
みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。
この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。
けれど、運命になんて屈しない。
“選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。
……そう決めたのに。
彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」
涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
番を辞めますさようなら
京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら…
愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。
※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる