なんで・・・恋愛が嫌いな私が、よりにもよって恋愛シュミレーションゲームの主人公に転生してるのよ、冗談じゃない!

塚本麗音

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なんで・・・恋愛が嫌いな私が、よりにもよって恋愛シュミレーションゲームの主人公にして転生してるのよ、冗談じゃない!(5話)

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入学式の最中、カレンはソッと懐から手帳を取り出し、ケンゴに関するページを開いた。

「(第2の攻略キャラ、ケンゴ・オールドマン。 戦闘狂の一族、戦う事が大好きな脳筋バカ、考えるより先に行動するタイプ。 だけど明るくて無邪気で面倒見が良くて男気があって誰かを見下したり批判したりしない。その反面負けず嫌いで、誤解されやすく、言葉が足りず、口が悪い。 金にも権力にも執着をしていない一族だから、戦闘での報酬は必要な分だけを貰ったら、後はすべて領地に回している。 だから領地は他のキャラ達の中で1番に広い)」
そこまで読むとカレンは手帳をまた懐にしまった。
「(金と権力に執着心がないって言うのは魅力的だな。 何より整備が整った広い領地は、食料も人も豊富で商売のやりがいがある。 ゲームの時から1番気にいっているキャラなんだよなぁ)」
壇上を見ると、理事長がまだ長い挨拶をしていた。

この世界においてカレンが女であると言う事を知っているのは、両親達以外では国王、司祭様そしてこの聖オルフェン王立学園の理事長だけ。
「(この世界において人に魔力を与えるのは妖精達だ。 魔力持ち同士の両親がいたとしても、その子供が魔力を持って生まれてくるわけじゃない。 だから私が王妃なったところでその子供が必ずしも魔力持ちになるとは限らない事を国王もよくわかっている、それよりも私が高い地位の誰かの嫁になる事で、戦争になる可能性の方を危惧して回避に手を貸してくれてる、技術対抗戦でみんなを納得させる事ができれば……)」

そして学園生活が始まった。
本来のゲームならキャラクター達と接触をし、早々に何かしらのイベントの1つや2つは行われていたはずなのだが、今の自分は男のふりをしている。
キャラ達が遠巻きに学園生活を送る自分を見ているが、それ以上の接触はない。
ただ1人、ケンゴを除いては。
「レン! 今日こそは俺と勝負だ!」
「あ! ケンゴ、ちょうどいいところに来た、今度お店を出す商品としてパンケーキを作ったんだ、食べて感想聞かしてくれないか」
昼休み食堂で女子達と話をしていたところケンゴが現れた。
戦闘モード全開のケンゴに対してカレンは生クリームやベリーできれいに飾ったふわふわのパンケーキを笑顔で差し出した。
ケンゴはそれを受け取ると無言のまま食べ始めた。
「そこまで甘くないから、結構うまい! 上に乗ってるこの白いのなんだ?」
「生クリームだよ、牛乳とバターの間的な食べ物、甘さはハチミツの量を自分で調節できるからね」
説明するカレンを尻目にパンケーキが気に入ったのか、ハムスターのように口いっぱいに頬張る。

幾度と無くケンゴはカレンに戦いを申し込んでくるので、すでにカレンの周りにいる女子達はケンゴに慣れてきた。
もっともカレン自身、その申し出をのらりくらりと躱していて、今のところ戦った事は1度もない。

「レン様、またお店を出されるのですか?」
「え! その妖精のカメオを出している雑貨店のほかに何かやるんですか?」
「はい、商店街にある雑貨屋の近くにスイーツ専門店を開こうと思っているんです。 領地の方でも売っていたワッフルやクレープ、パイやタルトとクッキーの他にもこのパンケーキと後、アイシングクッキーも出します」
「このふわふわのパンケーキをいつでも食べられるなんて幸せですわぁ」
貴族令嬢達も平民の少女達もみんな幸せそうにパンケーキを頬張っていた。
「アイシングクッキーって何ですか?」
訪ねてきた女子生徒にサンプル品のアイシングクッキーを見せた。
ドレスやアクセサリー、花や蝶などの形をした色とりどりのアイシングクッキーに女子達が騒ぐ。

「(……大学生時代、友達に付き合ってあんまり興味が無かった、スイーツ研究同好会に参加していた事がところで役に立つとは思わなかったな~)」
そう思いながら、はしゃぐ女子達を見つめていると、後ろからボソっと男子の声が聞こえた。
「チッ! 女に媚びやがって」
「成金貴族のくせして」
チラッと後ろを振り返ると数人の男子達がこっちを睨んでいた。
「男の嫉妬ってみっともないなぁ」
「あ? なんのことだ?」
ボソっと言ったカレンの一言に隣でパンケーキを食べ終え、アイシングクッキーを頬張っているケンゴが反応した。
「……いいや、何でもない。 美味しい?」
「おお! でも剣の形がいい」
「ブフっ。 考慮に入れておくよ、ありがとう」
ケンゴの反応にカレンは思わず吹き出してしまった。
そんな2人の様子を影から覗き込む人物がいた。
そしてその人物が話しかけてきたのは、その週の休みの朝だった。

その日は、朝早くから新しいお店の下準備やお店に出すスイーツの反応が良かった物のリストをまとめたりと忙しい中、彼は来た。
「朝も早くからアポも取らずにすみません。 お邪魔しています、レン・アルフォード」
身長143センチの小柄な体型を隠すように、フリルのついた白いブラウスにグレーの半幅マントと同じ色の半ズボンのスーツ、クリーム色のベリーショートの髪に瞳と同じモスグリーンの杖を持った、愛らしい少年がニコニコしながら立っていた。
その名はヒューイット・ランチェスター、ちなみに年齢は13歳、飛び級で学園に入学するほどの天才。

「これは、ランチェスター卿ではありませんか、ご連絡いただければお出迎えしましたのに、私に何か御用でしょうか?」
「うん! 1つ気になる事があってね」
何の連絡もなく唐突に書斎まで来ると言うのには、こちらの商品を気にしての事だろうと言う事は分かっていた。
何しろランチェスターの家は大貴族でありながら何世代も続く商人の家系でもある。
しかしこちらも商売、そうやすやすと手の内を見せるわけにはいかない、と並べていた資料を見られる前に手早く閉まった。
実際この空中都市の商店街にあるお店の半分近くはランチェスターのお店、敵に回すのも得策ではないと、持て成す事になった。

ヒューイットを客間に通して持て成している間に、カレンは資料と仕事を職人達に割り振った後で、客間に向かった。
向かう途中、手帳を開いた。
「(第3の攻略キャラ、ヒューイット・ランチェスター、商人一家の次男、ランチェスター家始まって以来の天才児、ついた異名はランチェスターの申し子。 備えあれば憂いなしがモットーの性格、好奇心旺盛で人を惹きつけまとめる。 しかしその反面、束縛を嫌い、ワンマンになりやすく、わがままでちょっと皮肉っぽい、そこら辺は子供のまんまねぇ。 てか、前世は30歳、今世で15歳合わせると45歳のおばちゃんから見たら13歳なんて子供でしかない、恋愛対象どころじゃないわ)」
と、ため息と共に手帳を閉まった。

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